【パラサイト】#7 冷蔵庫とキムチ│韓国の葬式文化

映画で学ぶ韓国の歴史・社会

韓国の冷蔵庫、キムチのキムジャン

地下にいるクンセのためにを食事を与えてとお願いするムングァンは、クンセが食べるものを「全部私の給料で買った」とチュンスクに言います。

しかし、ギテクとパク社長の車での会話のシーンで、パク社長はムングァンの唯一の短所はひとつだけ、「沢山食べること」と言います。「毎日2人前食べてたよ~」と。

でしょうね。そうやって寄生していたんでしょう。

家主が変わっても、地下の居住者が変わっても、地下の居住者に命の箱になってくれる冷蔵庫。

ダソンが夜中に食べていた大きなケーキも、後から入居したドイツ人が食べているソーセージとビール以外の食料も、みんな保管してくれる韓国の冷蔵庫の話。

韓国の家庭には「キムチ専用冷蔵庫」がある!

おはる
おはる

韓国の家庭には「キムチ専用の冷蔵庫」があるってことは、

家に冷蔵庫が2台もあるってこと??

はい、そうです(笑)

2011年以降、キムチ専用冷蔵庫の普及率90%以上なので、一人暮らしを除いたほとんどの家庭にあると見ていいです。

一般の冷蔵庫も日本に比べて大型冷蔵庫を好みますが、キムチ冷蔵庫もやっぱり、大型を好みます。

誰かが分析した正解はなくても、これは両国の食文化と居住文化の影響でしょう。

韓国は汁と鍋を含めて「おかず」と「キムチ」の文化です。

健康のために「1食3おかず」、「ダイエットのために1食3おかず」なんていう言葉からみると、韓国人たちは一体どれだけよく食べるんでしょうか^^?

韓国旅行に行かれた方はご存じかもしれませんが、韓国ではほとんどの食堂でメニューを注文すれば、休む間もなく、注文していない色んな種類のおかずがさっさっさ~とセッティングされていきます。

メインの料理の種類によって若干の違いはあっても、基本のおかずはだいたい似ています。

簡単な食事や粉食屋(簡単なのりまき等食べれる食堂)の場合、1,2種類のキムチを基本に、たくわんと各種ナムル、卵焼き、あるいはかまぼこやソーセージ炒めなど出てきて、メニューが韓食や肉になれば色んな野菜や包む用の野菜が追加されたりもします。

欧米人には特に驚かれる、このおかずはほとんどがおかわり無料\(^o^)/

残さず、思いっきりおかわりしてください。

このようなおかずは家庭でも食べます。

ひょっとしたらもっと多い種類のおかずを食べたりもします。

毎食、主のメニューが変わっても、基本的な食膳の柱は大きく変わりません。

お母さんが作り置きした各種のおかずは、普通は全部なくなるまでずっと食膳にあがります。

そのためには、各種のおかずと材料を保管する冷蔵庫が必須です。

さらに色んな種類のキムチまで保管しなければならないので、広い保管場所が必ず必要になります。

日本に比べて比較的広い家の大きさや、アパートの構造の影響、大型車を好み、せっかくなら大きいものを好む傾向も理由でしょう。

一番売れるキムチ冷蔵庫の大きさがどんどん大きくなり、700リットルも足りなくなり、今では800リットルを超え、900リットルが人気モデルにまでなりました。

昔、サムスンとLGの冷蔵庫が同級レベルの時に、どちらが多く入るか、100億ウォンの訴訟を起こしたことがあります。

熾烈な攻防の末、お互いに訴訟を取り下げし終わりましたが、それでも、飲み水900リットルを想像してみてください。とんでもない量です(笑)

そんなこんなで、家が大きい訳でもなく、家族の構成員が少しずつ減ってきている時代で、どこまで変身しようとしているのか…

iPhoneの画面のようにどんどん大きくだけなっています。

不思議なことに、そこそこの小さな家も800リットルくらいはだいたい入ります。

おはる
おはる

それでも足りないなんて!!!(笑)

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キムチの種類と量がね… 多いからしょうがないんです!

このキムチたちは、長い間保管するため、一般の冷蔵庫1台では空間が足りません。

そしてキムチがいくら熟成、発酵の料理だといっても、温度変化に思った以上に敏感です。

酸味の強さによって用途を分けて使用したりもしますが、それでもある程度は、自分が予想した時期と範囲で熟成されなければなりません。

温度変化を減らすため、冬のキムチ漬けしたキムチを壺に入れて、土の中に埋めて保管していた伝統的な方法を使用していました。

冬のキムジャン

都市化と冷蔵庫の登場によりその機能は代替されましたが、普通の冷蔵庫に保管するキムチはどうやらその味が落ちてしまうんです。

それで、1995年

彗星のように現れたのがキムチ専用冷蔵庫「キムチ冷蔵庫」です。

壺を土に埋めて保管することに着目し、冷蔵庫内部全体の温度変化を一定に保つシステム。

これは単純に見えるけどかなり大きな違いがあるんです。

キムチ冷蔵庫

冷気を循環させる既存の冷蔵庫は、内部の物の配置の状態と位置によって温度の差が大きく、冷蔵庫のドアをよく開け閉めすればその差がもっと大きくなってしまいます。

キムチ冷蔵庫は内部全体に冷却コイルを配置して均一に温度を作り、キムチだけ一か所に保管してあまり開けなくていいシステムです。

蓋部分にフィルターがついている。キムチを箱に入れて温度を一定に保つ。

そうやって誕生したキムチ冷蔵庫は実際にもその効果は大きく、韓国の全お母さん達のほしいアイテムになり、補助冷蔵庫の概念で小さかった大きさももっと大きなサイズに変わり、今ではどれが一般冷蔵庫で、どれがキムチ冷蔵庫なのか分からないサイズにまで大きくなりました。

技術の発達はさらにすごく、浄水器機能に自動製氷、

炭酸水機能やコーヒーメーカーまでは時代の流れかと思いますが、

本当に冷蔵庫のドアを開けてテレビを見る人がいるでしょうか?

あえて冷蔵庫の搭載のラジオを聞く?

バーコードを当てれば在庫の把握もしてくれ、オンラインショッピングも可能な

冷蔵庫が教えてくれるレシピで料理をする人達がいると思ったのか….

私のお母さんは10年以上使用しても、

温度調節のボタンを一回も押してなかっただろうに、

使用者のための機能なのか、開発者のための機能なのか分からない

「あまりにも賢い」冷蔵庫になってしまった時代。

そうやって賢い冷蔵庫に保管されたキムチが

不思議なことに、さらに美味しくて利用はしていますが…

それでも幼い時、町の人たちを集めてキムチを漬ける時の

お母さんの横で貰った「出来立てのあのキムチ」が最高です。

キムチひとかけらに嬉しくて駆け回っていた、

あの時代の空腹は消えちゃったけど、

あの時のあのキムチの味は、永遠に消えることはないでしょう。

あの時は冬だったら町のお金持ちも貧乏な家も、みんな集まって一緒にキムチを漬けて

친한 집들끼리 같은 항아리에 담아 묻어두고 

내 것, 네것 구분없이 나눠 먹던 시절.

親しい家同士が同じ壺に入れて埋めて置き、自分のもの、

あなたのもの、区分なく分け与えていた時代。

따뜻했던 생명의 박스. 그 시절 김치 항아리.

温かかった命の箱。その時代のキムチの壺。

葬式と葬式文化 

葬式には、「ユッケジャン」

認知症にかかった姑が嫁をいじめます。

めずらしい「牛肉のサムギョプサル」が食べたいと言い、

雨が降った日に突然、ワラビのナムルを探したり、

ラー油、里芋、卵の解き方、長ねぎの使い方…

食べ物の文句、調理法に対するいじめまで

時にはシラフで、時には認知症の姿で

本当に認知症なのか、いじめるための演技なのか…

嫁はとても大変です。

トイレがうまく出来ず、シャワーを浴びせてくれた嫁に

「お客さんは真心で迎え入れるべきた」と突拍子もない言葉を残した姑は

しばらくしてこの世を去ります。

弔問客を真心こめて迎えるため

葬式場の販売用の料理の代わりに直接材料を準備していた嫁は

市場のど真ん中で涙をポロポロ流します。

今までの全てのことは

葬式の料理である「ユッケジャン」の材料と料理法。

「ユッケジャン」という単語と「親切なコミュニケーション」を忘れた姑は

そうやって自分の葬儀を嫁にお願いしていたのです。

(韓国の有名な料理漫画「食客」のあるエピソードです)

“ユッケジャン(육개장)”

ユッケジャン

赤いスープの甘辛いユッケジャンは韓国の葬式で出てくるメイン料理です。

なんでユッケジャンを食べるの?

韓半島の肉食文化は13世紀、モンゴルの高麗侵攻以降と推定されますが、朝鮮時代までの「牛」の存在は農業の必須動物だったので、健康な牛の屠殺が厳しく禁じられていました。

このような理由で回復が必要な患者や、真夏の「伏日」、普段はよく食べることができない高タンパク質の栄養補充が必要な時、あるいは民家の宴日など犬を捕まえてスープをつくり食べていた保養料理から出発したこの「ケジャン」のもととなる「ポシンタン(犬肉のスープ)」が由来です。

犬肉のきつい臭いをなくすため辛くて味が濃いヤンニョム(たれ)と長ネギとワラビを入れて煮込み、

だんだん犬肉を嫌いな人が増えて、肉の状況が余裕がない時、老いた牛を屠殺した牛肉を材料として作ったものが「(牛)肉が入ったケジャン」、「肉ケジャン」の始まりだといいます。

<ユッケジャンが広まった色んな理由>

●昔から赤色はお化けから守ってくれる色と言われ、唐辛子の真っ赤な色に葬式場の周辺をさまようお化けから弔問客を守ってくれると考えられていた

●赤色はお葬式で食欲がない人たちの食欲をそそる色だから

●遠い所から来た弔問客と疲れた遺族のために高タンパク質の保養食

●沢山の弔問客を一度に迎えなければいけない喪主にとっても、一回作って長く煮込むと味がもっと良くなるユッケジャンが一皿簡単に提供するにも最適

韓国の墓参りと最近の葬式

映画の後半部、亡くなったキジョン(ジェシカ)は「火葬」され、「納骨堂」に納められたようです。

現在の韓国の代表的な葬儀の方式です。

仏教と儒教が根底にあった韓国では1990年代までは、基本は墓地をつくり「埋葬」が80%以上で大多数でしたが、2000年代に入り「火葬」が急増、今では逆に80%以上を占めています。

これまで、火葬をしていたのは仏教僧や信者、未婚の青年子女、墓地の買えない人に多くみられましたが、最近は自分の意思で火葬にする人が増えてきています。

葬式の費用の中で一番お金がかかるのが埋蔵地問題、都市化に伴う埋蔵敷地の不足と死後管理問題により今では火葬が選択ではなく、基本になりました。

ペコム
ペコム

韓国の火葬は「遺骨」にするのではなく、「遺灰」にします。

もちろん、埋蔵地の費用問題もありますが、毎年何回もある「墓参り」に行かないといけない韓国の文化から「移動距離」と「管理」に対する認識の変化が大きな理由じゃないかと思います。 

最低でも春、秋2回は墓にお参りし墓地を管理しなくてはいけなくて普通は春の「寒食日(한식날)」、秋の「秋夕(추석)」に合わせて訪問します。

故人の忌日や誕生日にも行く場合があるので、何人もの故人を参る場合は、これもまた大変なんです。

特に寒食日や秋夕の場合にはみんな一緒に都市郊外の共同墓地に集まるのでものすごい交通渋滞で子孫たちはとっても大変でした。

こんな苦労を経験したからか葬式と墓参りに対する認識もまた大きく変わり、最近のあるジャーナリストの世論調査を見ると、親世代の場合、自身の死後、自身の墓参りと墓の管理を期待したい人に「子ども」を挙げましたが、その次の世代の成人の子どもの場合は、自分たちの子どもよりも「夫婦」間で管理するくらいを望んでいました。

韓国式の「墓参り文化」が子どもの世代までずっと伝わっていくには、現実的にとても大変だということを知っているからでしょう。

葬式の方法もまた、このような社会的認識の変化を通して「埋葬」から「火葬」に急速に変わり

ほとんどが都市近郊の近い納骨堂に納められますが、最近ではこれもまた費用の問題と管理の問題、環境保護の問題などの理由で、火葬した粉骨を山や木などに遺骨箱なしに埋める方式の「自然葬」、「樹木葬」などの方式の人気が高まっています。

映画の中のギテクは意図せずムングァンを「樹木葬」で弔います。

日本植民地時代の名残りが今でも…

このように、現代韓国の葬式文化は、長い伝統と慣習から離れ、次第に簡素化、現代化されましたが、意外と日本植民地時代の影響がまだたくさん残っていて、今でも「私たちの姿」になってもいます。

これは1934年朝鮮総督部が「儀礼準則」を通して強要した内容です。

寿衣

 これまでは故人の生前に一番良い服だった高価な絹の寿衣は、麻と木綿の寿衣に変わり、故人に対する意味を格下げしました。

屏風

 遺影の周りにたてていた屏風は、日本の王室を象徴する菊の花の装飾と造花にかわる

遺影と菊の花

腕章とリボン

 遺族の腕章の場合は、喪主と慰問客を区別しやすくし、朝鮮人たちの集会を警戒し独立運動を監視するための方法のひとつという意見もある

韓国人にとっては、さみしい由来…

3年喪と49日

韓国の伝統時代劇や映画を観ると、主人公や重要人物が山の中の掘っ立て小屋のような場所で一人喪服を着ているシーンが出てきます。

他人の協力要請にやむを得ず応じ都市に行ったり、まだ3年が経っていないので離れることができないとも言ったりもします。世間を離れていた重要人物が世界に再び戻ってくる場面です。

悲壮感も感じられるこの演出は、親の墓の前で「3年喪」を行う姿です。

子どもが生まれて、親の世話で3年くらい経たないと1人で立てないように、親を離れて過ごそうとするにも3年は恩恵を返すということ。

しかし3年 を唱えた孔子の弟子もまた、あまりにも長いと言うくらい、残された者にとっても本当に過酷な方式です。

家でもない墓地の前で3年も暮らすなんて…

残される自分の子どもに本当にそれを望む親がいるでしょうかTT…

このように時にはあまりにも過酷な習慣が伝統になったりもします。

1年 はほとんどなく100日「」をしたり、

仏教式「四十九日」をしたり、初めから「3日喪」が普通となった現在。

今となっては葬式専門業者たちが全てを代わりにしてくれ、火葬に向かう間にもお金持ちの気分を味わってとリムジンにも乗せてくれます。

キジョンは普通の人たちのように「納骨堂」に納められましたが、ムングァンはお金持ちとかがするという「樹木葬」で永眠します。

日当たりがいい金持ちの家の庭で、今は金持ちの気分を楽しんでいるかもしれません。

死にも「差」が存在するのです。

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