【韓国史】「5・18民主化運動」を学ぶ│おすすめ映画・ドラマまとめ

韓国史学習

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おはる

韓国関連のニュースなどでよく登場する出来事に「518民主化運動」があります。

数年前に上映された映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』は日本でも人気を博し、5・18民主化運動に興味を持った方も多いと思います。

でも、、、

*具体的にどういう出来事だったの?

*韓国にどんな意味があって度々登場するの?

韓国史を本格的に勉強する前に、映画を通して少し知っておけば1980年代の韓国と、現在の韓国を理解するのにとても役に立つと思います。

時系列や関係性で整理したので、ぜひ参考にしてみて下さい(^^)/

5・18民主化運動(5・18민주화운동)とは?

レベルA:5・18民主化運動って?

1980年5月18日前後で韓国の全羅道光州で起こった民主化運動と、政府の弾圧過程を「5.18光州民主化運動(抗争)」、「光州民主化運動」、さらに縮約して「5.18(오일팔/オーイルパル)」などと呼びます。正式な名称は「5・18民主化運動」です。

1979年10月26日、朴正煕大統領が当時の中央情報部長の金載圭(김재규)に暗殺され、18年間の長かった軍事政権が幕を閉じ(10・26事件)、多くの韓国人はやっと独裁と軍事政権から解放されたと思いました。

しかし、10・26事件の捜査を担当していた陸軍将軍の全斗煥新軍部勢力が不法的に政権を握ろうとしたため、韓国のあちこちで民主化運動が起き、1980年5月、特に激烈なデモが起こっていた光州に政府が空輸部隊を投入、多くの市民を殺し、都市を統制、事実を隠蔽しようとした事件とそれに対する民主化運動のことを言います。

レベルB:5・18民主化運動と韓国の民主化運動

政府は5・18民主化運動の後にも、反対する国民を統制・弾圧しますが、クーデターで政権を握った新軍部の勢力に対するプロセス的な問題と新しい政府の正当性に対し、デモは収まることはありませんでした。

特に、隠蔽しようとしていた光州民主化運動の具体的な実情が学生運動圏をはじめ、国民に徐々に知られるにつれ、政府に強い怒りを感じ、民主化に対し熱望するきっかけとなったため、韓国の現代史、韓国の民主主義の歴史において、とても重要な出来事のひとつと言えます。

1980年5月以降も、諦めることなくひたすら続けてきた民主化闘争は1987年の6月民主抗争(6월민주항쟁)を通し、今日の韓国を作り上げた大きな契機となりました。

*POINT*

1979.10.26 朴正煕大統領の独裁政権の終わり

    ↓

1979.12.12 全斗煥の新独裁の始まり

    ↓

1980.5.18 光州民主化運動

    ↓

1987.6 6月抗争

    ↓

全斗煥大統領の退陣

大まかな流れを理解すれば、韓国の1980年代の時代的な流れが見え、さらに李承晩大統領、朴正煕大統領時代から引き継いで来た闘争過程まで遡って追っていくと、なぜ韓国人が今でも自国の民主主義に対して誇らしげに感じているのか少しでも共感出来ると思います。

韓国人の立場から、多くの犠牲者を出し、苦しい状況の中でも諦めず、本当に長い長い闘争と抵抗を通し、自ら手に入れた結果が民主主義だったからです。

おはる
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なので映画やドラマを見るにしても、1つだけを個別に観るのではなく、大きな流れにそって関連作品を一緒に観ることをおすすめします。

1つの作品だけを観て、難しくて理解が出来なかったとしても、大きなテーマごとに関連作品を沢山見ることで知らなかった状況や背景も分かって映画自体も楽しめると思います!

【きっかけと時代背景】そもそもなぜ5・18民主化運動が起きた?

1979年10月26日 朴正煕大統領暗殺事件の現場写真
出典:중앙일보
おはる
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5・18民主化運動は、平凡な市民、数百人が犠牲となる韓国現代史の悲劇です。

もし朴正煕大統領がずっと独裁政権を続けていたら、多分、光州の悲劇は起きなかったかもしれません。でも、他の場所で、また違う民主化運動が起きている可能性はとても高いでしょう。

とにかく数十年間の独裁をしてきた朴正煕大統領がいきなり殺されたので、全斗煥という新軍部がいきなり大統領になり、光州の事件が起こるので、1979年の朴正煕大統領の暗殺事件である10・26事件についてまず知っておくと良いです。

また、10・26事件の発生から、新軍部の全斗煥がどのように大統領になるに至ったのかも、ぜひ押さえておきたいポイントです!

まずは5・18民主化運動以前の背景について理解するのに役に立つ映画を紹介します。

※しかし、この10・26事件についても、もちろん歴史的な背景があり、色々な複雑な事情があるので、10・26事件の関連映画を先に観るのは、少し難しく退屈かもしれません。

南山の部長たち(남산의 부장들)

映画の時代背景:1979年10月26日の40日前~10月27日の夜中まで

南山の部長たち (남산의 부장들)│2020│韓国│우민호監督

朴正煕大統領はなぜ殺されたのか?

朴正煕大統領をなぜ殺さなければならなかったのか?

当時は国家権力の最高人事の1人で、大統領の最側近だった情報部長の金載圭が、なぜ朴正煕大統領を銃で撃ったのか、10月26日の40日前からの行動を通し、金載圭の心理を追いかけながら観る映画です。

なので、10・26事件の当日というよりは、その事件の背景についての映画なので、金載圭(イビョンホン)の細かい心理描写と感情の変化を主に表現しています。

また、なぜ殺さなければならなかったのかを、その当時真っ只中の釜馬抗争(부마항쟁:釜山と馬山地域の民主化運動)の対応について、朴正煕大統領と車智澈警護室長の発言から伺うことが出来ます。

タイトルの「南山の部長たち」は朴正煕政権時代、大きな権力を持っていた大韓民国中央情報部(KCIA)の部長のことを表す表現で、中央情報部の建物がソウルの南山に位置していたためです。

映画では金載圭の前の朴容珏(実際:金炯旭部長)情報部長も重要人物として登場します。

参考に南山は現在はソウル・明洞の前のソウルNタワーがある山です。

ユゴ 大統領有故(그때 그사람들)

映画の時代背景:1979年10月26日午前~10月27日夜明けまで

ユゴ大統領有故(그때 그사람들) │韓国│2005│임상수監督

朴正煕大統領が殺された10・26事件を本格的に詳しく扱かった最初の映画で、事件当日の午前から翌日の朝方までの1日の出来事を詳細に描かれていますが、映画全体がブラックコメディーの雰囲気なので、重たいテーマに対して軽いコミックタッチに表現されています。

そのため、映画の制作段階から朴槿恵大統領をはじめとした後裔者たちと、朴槿恵大統領を支持する保守系の国民から大きな反発がありました。

朴正煕大統領の死までの過程とその後の金載圭の行動まで、詳しく知ることが出来る映画なので、朴正煕大統領はどうやって殺されたか、そして全斗煥が次の大統領になった理由について気になる方にはオススメです。

【5・18民主化運動の始まりと過程】1980年5月、光州では何があったのか?

おはる
おはる

1980年5月の韓国、光州の様子について現地の状況を知ることが出来る映画を紹介します。

その当時の一般の光州市民たちの様子をコミカルに表現した「スカウト」、誰が軍と戦ったのか、市民軍は誰だったのかが描かれている「光州5・18」、政府の蛮行を誰が知らせたのか?が分かる「タクシー運転手 約束は海を越えて」が代表的でおすすめです。

時間が足りなかったり、概要だけを把握したい方はこの3本の映画でも基本は抑えられると思います。

スカウト(스카우트)

映画の時代背景:1980年5月8日~5月18日0時

スカウト(스카우트 )│韓国│2007│김현석監督

おはる
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個人的には、まずはこの映画を一番最初におすすめしたいです!!

しかし、この映画は日本でもあまり知られていませんし、韓国でも有名ではありません。

残念ながら、安っぽいB級映画のようなポスターの雰囲気から、映画を観なくても大作じゃないだろうということが感じ取れてしまいます。

でも、笑いありのテンポよく進むストーリーと、視聴者に感動を強要しないけども切ない余韻と一緒に「5・18民主化運動」というとても重い社会的ストーリーまで自然に組み込んでいる、とてもバランスが良い作品だと思うのです。

ポスターから推測できる通り、メインのストーリーは昔も今も伝統的なライバルである韓国の延世大学と高麗大学の野球部で、当時最高の有望投手であった光州のソンドンヨル(선동열)選手をスカウトするために熾烈な競争をするというコミック映画です。

映画の冒頭で「99%はフィクション」というアナウンスがありますが、映画のほとんどが1970-80年代に実際にあった野球界の今では考えられないような色んなエピソードを十分に再現しています。

しかし、「光州民主化運動が起きる10日前」という字幕から始まり、「5月18日0時」で終わるこの映画は、主人公が体験する出来事を通し、平凡な一般市民が味わう光州民主化運動の雰囲気だけでなく、当時、反政府運動をしていた学生たちと、学校の実際の運動部の学生たちが対立をしなければならない様子までとても自然に盛り込まれています。ぜひ観てほしい作品です。

光州5・18(화려한 휴가 )

映画の時代背景:1980年5月18日 前後

光州5・18(화려한 휴가)│韓国│2007│김지훈監督

空輸部隊の軍人の出征シーンから始まるこの映画は、5月18日の光州の様子を一番詳しく見せてくれる映画です。

なぜ光州の市民が抵抗しなければならなかったのか、

誰が市民軍を撃ったのか、当時亡くなった人は誰だったのか、

に対して、詳しく描かれています。

光州民主化運動を真正面に扱った韓国では初めての大作映画として、700万人を超える観客動員数で、映画としても大ヒットした光州民主化運動の代表的な映画です。

主人公の兄弟と周りの光州市民たちがどのように反政府デモに参加したのかを、とても典型的な姿とセリフで描かれていて、目に見えているストーリーかもしれませんが、それが光州の多くの人たちが経験した実際の話だったので、感動の押し売りや行き過ぎた演出として評価するには、歴史的事実がもたらす重みは決して軽くありません。

当時の政府の言葉のように、光州市民は本当に「北朝鮮のスパイと北朝鮮を支持する反乱勢力」だったんでしょうか?

映画の韓国版タイトルの『화려한 휴가(華麗なる休暇)』というのは、当時の空輸部隊の作戦名でした。

タクシー運転手 約束は海を越えて(택시운전사)

映画の時代背景:1980年5月18日~1週間程度

タクシー運転手 約束は海を越えて(택시운전사)│韓国│2017│장훈監督

2017年、当時韓国の映画歴代興行ランキング10位に入り、1,200万人を超える観客数を動員した「タクシー運転手 約束は海を越えて」は、2018年に日本でも公開され大きな話題になりました。

この映画は、これまでよく知られていなかった光州民主化運動が世界に知られるようになった過程を描いた作品です。

ソウルのタクシー運転手の主人公(ソンガンホ)が、ドイツの記者のユルゲン・ヒンツペーターに会い、光州の惨状を知り、光州の出来事に対する認識が変わっていく過程は、当時やその後の他の地域の韓国人たちの姿と大きく変わりません。

異邦人として、第3者の立場から見る光州市民の姿と、事件の真実を世界に知らせるヒンツペーターの努力は、韓国という国の歴史を考えると、とてつもない歴史的偉業でした。

基本の内容は実話なので、余計に信じがたい映画のようなストーリーは、実話がもたらす力が何なのか、マスメディアの役割は何なのか、もう一度考えさせられます。

「もし、あの時、世界に知られなかったら…」

「もし、韓国政府の思惑通り、そのまま隠蔽されていたら…」

「そうだったら、今の韓国はどんな姿だっただろう…」

恐ろしい想像をしてしまう映画です。

【5・18民主化運動が現代史に与えた影響と結果】1980年5月以降の韓国の姿

ペンちゃん
ペンちゃん

それで、すぐに変わったことって何もないじゃん?

5・18民主化運動って、そんなに大きな意味がある?

おはる
おはる

政府による、より強力な隠蔽と統制の中で、

あの日の出来事はあの日の出来事として変わったことはありません。

しかし、あの日の光州の市民たちの血と叫びは、ヒンツペーターを始めとする色んな偉人たちの努力によって歴史的な始発点となり、韓国の民主化運動の象徴のように胸の中に残り、その後の色んな出来事の中に、返さなければならない心の荷物として、また、諦めてはいけない深い使命感を与えてくれたのには間違いありません。

光州の出来事の写真やビデオをこっそりと分けて観て、政府の弾圧に最後まで抵抗しようとした1980年代のその後の韓国人たちの様子を描いた映画を紹介します。

弁護人(변호인)

映画の時代背景:1978年~1987年

弁護人(변호인)│韓国│2013│양우석監督

2013年、1,000万人以上が観たというこの映画は、韓国の盧武鉉大統領の実際の体験をモチーフにして作られた映画です。

主人公は、釜山の高卒出身の1人の若い弁護士ソンウソク(ソンガンホ)。

行きつけの食堂のおばさんの息子が時局事件に巻き込まれ、ソンウソクは否応なしに息子の面会に行くことになりますが、息子の残酷な姿を見て、彼の弁護をすると決心。その裁判を受ける過程が描かれる法廷映画です。その後ソンウソクの人生は180度変わっていきます。

映画の中で、食堂の息子(大学生)が捕まえられた理由は、1981年に実際にあった「釜林事件(부림사건)」がモチーフです。読書サークル夜学活動をしていた大学生、教師、会社員、数十人を拘束し、ひどい拷問からの自白を強要し、彼らを北朝鮮のスパイとしてしまったこの事件は光州以降の殺伐とした韓国の雰囲気を見せてくれます。

民主主義を叫ぶ彼らに、政府としての一番手っ取り早い方法は「北朝鮮」を利用することだったからです。経済も、政治も、人権も、民主主義も、北朝鮮と休戦中の韓国では「国家保安法」は、誰も何も言えない、無敵の法律だったんです。

この事件を弁護したソンウソク弁護士は、その後人権弁護士の道を歩き、彼の生き方は韓国の現代史に色んな影響を与えることになりました。

映画の最後のシーンは実際にデモ中の盧武鉉大統領の姿です。

盧武鉉大統領の若い頃の出来事をたどれば、1980年の光州以降、市民運動をしていた人たちが弾圧や統制を受けながらも、6月民主抗争に続いていることが分かります。

南営洞1985(남영동 1985)

映画の時代背景:1985年~

南営洞1985(남영동1985)│韓国│2012│정지영監督

心臓が弱い方は少し覚悟が必要な映画かもしれません。

南営洞(남영동)」とは、韓国ソウルの南山の近く、警察医(対共分室:北朝鮮と国家安全の担当部署)があった場所の地名です。

情報部があった「南山」と警察医「南営洞」は軍事政権時代を経て、韓国人にとっては、恐怖と死の象徴の単語となりました。

市民運動をしたり、反政府運動に実際に参加しなかった平凡な人たちにとっても、その単語は恐怖でした。政府を批判していた人が急にいなくなったり、しばらくして半身不随になって帰ってくるなんていう噂をよく聞いていたからです。生きて帰ってきたら運が良いっていう程なので、その恐怖がどれだけだったか、想像できるでしょうか?

有名だったその場所、「南営洞警察の調査室」に関する映画です。※調査室と書いて、拷問室と読む場所

その中でも、当時、拷問技術者として有名だった警察イドゥハン(実際の人物はイグンアン(이근안))から、22日間の拷問を受けた市民運動家キムジョンテ(実際の人物はキムグンテ(김근태))の話で、酷い拷問風景をありのままに見せてくれる映画です。

朴正煕大統領から全斗煥大統領まで、そして映画「弁護人」から「1987」まで続く長い期間、残忍な拷問と圧迫の中で信念を貫き犠牲になった多くの人たちがいたので、韓国人たちは民主主義を諦めることは出来なかったのです。

映画は、拷問室と拷問シーンがほとんどなので、映画的な面白さは少し弱く、重苦しく感じると思います。

1987、ある闘いの真実 (1987)

映画の時代背景:1987年1月~6月

1987 ある闘いの真実(1987)│韓国│2017│장준환監督│

(책상을) 탁! 하고 치니, (놀라서) 억! 하고 죽었다

(机を)ドン!と叩いたら、(驚いて)オッ!と言って死んだ

当時を経験した韓国人たちにとって、忘れることが出来ない言葉です。

1987年1月、南営洞で調査を受けていたソウル大生のパクジョンチョル(박종철)さんが水拷問の末に死亡し、隠蔽に失敗した治安本部長が、死亡原因について説明した時の言葉です。

あまりにも呆れて笑いすら出てこない警察の言い訳と、ソウル大生パクジョンチョルさんの死は、韓国の歴史の大きな転換点となります。

5・18民主化運動の後、勢いついた市民たちの抵抗は、強制的に食い止めていた軍事政権の手口が明らかになり、これまで溜まっていた国民の鬱憤が大爆発します。

事件の隠蔽の真実を明らかするための抗議デモは、大統領選挙の直選制への改憲を要求する全国デモに急速に広がったにも関わらず、1年後に開催される1988年ソウルオリンピックのために任期を伸ばそうとした全斗煥大統領は「護憲宣言、改憲拒否」を発表し、怒っている国民に対し火に油を注ぎました。

その年に予定されていた大統領選の直選制改憲を要求するデモ中、延世大学のイハンヨル(이한열)さんの頭に催涙弾が当たって亡くなる事件が起きます。国民たちの怒りがこれ以上武器では抑えられなくなり、結局政府は改憲を発表、降伏を宣言し、長く長かった独裁政権は終わりを迎えました。

映画では、事件を隠蔽するために、何のためらいもなく拉致と拷問までもする警察の姿と、真実を明らかにしようと各自の位置で命を懸けて戦った多くの市民の間の緊迫さが描かれており、その時代の政府の目から隠れなければならない多くの民主闘志の偉大さをもう一度感じさせてくれます。

朴正煕大統領の暗殺直前の釜馬抗争から始まった小さな民主化の種は、光州で銃と刃、そして血と歌で復活し、弁護人南営洞を通して多くの市民たちの犠牲と努力の末、1987年夏になってやっと大統領直選制を実現させる花となります。

イハンヨルさんのお葬式で、演説者がこれまで亡くなった多くの市民烈士の名前を読み上げる映画のエンディングのシーン(実際の映像)は、その凄絶な叫びが韓国人の心と記憶に永遠に残り、現代を生きる韓国人にも絶対守らなければならないという義務感として、30年後の朴槿恵大統領の弾劾のろうそくデモで、その精神が受け継がれていることを世間に知らせました。

朴槿恵大統領の弾劾のろうそくデモ
出典:Back2Analog

護憲撤廃、独裁打倒!

暑かった1987年の夏、熱い太陽くらいに強烈だった闘争の様子が描かれた映画です。

1980年、光州にいた人たちはどうなったか?

おはる
おはる

5・18民主化運動を扱った作品は多くありますが、当時、光州にいた人たちの「その後」を扱った作品は多くありません。特に、加害者となった当時の軍人たちの様子は見つけることが難しいです。

韓国の民主化に大きな影響を与えたあの日の出来事は、そこにいた人たちにどんな影響を与えたのか知ることが出来る映画を紹介します!

20年後の「加害者の姿」を知れる映画「ペパーミントキャンディー」、26年後の「被害者の姿」を知れる映画「26年」、30年が過ぎ「観察者の姿」を知れるドキュメンタリー映画「5.18ヒンツペーターストーリー」の3本です。

ペパーミントキャンディー(박하사탕)

映画の時代背景:1979年~1999年

ペパーミントキャンディー(박하사탕)│1999│韓国│이창동監督

スーツを着て、線路をふさぐ主人公の男、ヨンホ。彼はなぜ涙を流しているのでしょうか。

1999年から遡っていく彼の時間を通して、過去の記憶から自由になれない一人の男の人生を振り返ります。

逆走する汽車のシーンからはじまる7つのエピソードで紹介されるヨンホの過去は、美しいものではありませんでした。

その記憶の回想の末、1980年5月の出来事がヨンホの心と体に大きな傷を残したことに気づきます。彼女に初めて出会う1979年まではペパーミントキャンディーのように純粋だったのに、誰が、そして何が彼を怪物に変えてしまったんでしょう。

彼は悲劇的な現代史を通して、国家権力から暴力を強要された被害者でもありますが、彼自身も国家権力の道具として使われた加害者でもあるため、彼の人生は映画の中の行動のようにアイロニーで矛盾的です。

「다시 돌아갈래(もう一度戻りたい)」と叫ぶその男を見ていると、加害者になってしまった人たちの姿が少しは感じられる映画です。

視聴者の立場からすると、前ぶりもなく時間が遡っていく独特な映画の構成により、後半にならないとストーリーが理解できない難しい映画ですが、その新鮮なテーマや構成で当時韓国の大鐘賞映画祭の大賞を受賞し、評論家からも好評でした。

オープニングの場面で絶叫するシーンとセリフは、その後、多くのパロディとして使われ、韓国映画最高の名場面のひとつとなりました。

26年 (26년)

映画の時代背景:1980年から26年後

26年(26년)│2012│韓国│조근현監督

전재산 29만원.  돈이 없어서 추징금을 낼 수 없다.

(全財産29万ウォン。お金がないから追徴金を払えない。)

-裁判中の全斗煥の発言-

全国民を怒らせた全斗煥大統領の発言を聞いて、誰もが思ったことがあるだろう…

「誰かあいつを殺してくれたらいいのに。」

その思いと想像を実現しようとした人たちの話が、映画「26年」です。

あの光州の日から26年後。

親や兄弟を亡くし、厳しい生活を余儀なくされた当時の子どもたちは、成人し、それぞれの理由で復讐を夢見ます。

生きてきた過程も、生きている理由も違うけど、彼らの目標は同じでした。

全斗煥

未だに謝罪もせず、何不自由なく暮らしている加害者と、26年間ずっと苦しかった被害者たち。

彼らの復讐は正当化できるでしょうか?

そうやって復讐をすれば、彼らは少しは楽になるのでしょうか?

民主主義」を抑圧してきた人たちを懲らしめるために、「非民主主義」を受け入れるかについて考えさせられる映画です。

裁判の全斗煥大統領の29万ウォン発言の後、WEB漫画で人気を集めていた作品を映画化したものなので、漫画的な想像が加味された映画です。

1回は考えたことがあるだろう破格的なテーマと内容だったので、映画の制作過程は一筋縄ではいかず、何度も制作取り消しを経ました。

結局、クラウドファンディングで資金を集めて映画は完成し、エンドロールには約3分間、寄付者の名前が流れます。

The Hinzpeter Story (5.18 힌츠페터 스토리)

映画の時代背景:1980年~2016年

The Hinzpeter Story (5.18 힌츠페터 스토리)│2018│韓国│장영주監督

映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」に出てくる実際の人物でドイツ人記者のユルゲン・ヒンツペーターが出演する映像を土台に制作されたドキュメンタリー映画で、KBSで放送された「青い目の男(파란 눈의 사나이)」の劇場版だと言えます。

映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」でヒンツペーター記者の実際に撮影した1980年5月の光州の写真・映像が細かく紹介されます。当時の市民の姿と、厳戒軍の蛮行がそのまま残されています。

昔の資料が多く、画質や状態が悪い部分もありますが、ヒンツペーター記者と当時の市民軍だった生存者の説明を通して、当時の話を直接聞くことが出来ます。

タクシー運転者のキムサボクさんに、もう一度会いたいというヒンツペーター記者の願いは叶わず、キムサボクさんの死後になってやっと彼の子どもに会うことが出来たことが悔やまれますが、韓国の現代史において重要な「観察者」だった彼の功労は永く記憶に残るでしょう。

左:実際のヒンツペーター記者 右:映画「タクシー運転手」中のヒンツペーター記者
出典:한국일보

5・18民主化運動前後の韓国社会はどんな様子だった?

おはる
おはる

古いドラマなので見つけるのが難しいですが、1970~1980年代の韓国史の全体的な流れが分かるので、勉強になるドラマ2本を紹介します。

民主化運動だけでなく、その時期に韓国で起こった重要な出来事も多く出てくるので、上記に紹介した映画の総まとめとも言えます。

砂時計(모래시계)

映画の時代背景:1970~1990年代

出典:나무위키

砂時計(모래시계)│1995│SBSドラマ│全24話

1995年に放送されたドラマですが、「歴代の韓国ドラマの中で最高の作品は?」と聞かれたら、今でも多くの票を集めるドラマです。

長く長かった軍事政権が終わってから放送されたので、5・18民主化運動を扱った初のテレビドラマとして、「テレビに5・18民主化運動のシーンが出てくる」ということだけでも、ものすごく話題になりました。

1991年に設立されたSBS放送局が、今日の地位を築きあげた代表作と言っていいほどその波及力はすごく、「帰宅時計(귀가시계)」や、「退勤時計(퇴근시계)」などとも呼ばれ、ドラマの時間になるとソウルの道路の交通量が減ったり、遊興施設も人が少なくなったり、多くの店でもドラマを見るために早く閉店したりするほどでした。

幼馴染みの2人の友達が、それぞれ経験する1980年代の韓国現代史を通じて、5・18民主化運動や三清教育隊(삼청교육대)、大学の学生運動の姿や、政治ヤクザなど、政治から経済まで総合的に見せてくれます。

お互いに違う道を歩み、違う道を歩むしかなかった彼らの人生は、独裁と軍事政権がどのように国民にとって悲劇だったのか、友情と恋愛さえも苦しい選択をしなければならない主人公の姿を通して赤裸々に描かれています。

나 떨고있냐(俺、震えているか)」をはじめとし、多くの名台詞と新たなスターを誕生させたこのドラマは、韓国史の勉強のためだけでなくても十分に面白いので、時間的な余裕があれば、ぜひ見てほしい名作です。絶対後悔はしないです。

ドラマ放送後、いきなり有名観光地になった正東津駅(정동진역)*2013年撮影

正東津は江原道の最東に位置し、日の出スポットとしても有名。*2013年撮影

第5共和国(제5화공화국)

映画の時代背景:1979年~1997年

出典:나무위키

第5共和国(제5공화국) │2005│MBCドラマ│全41話

共和国:主権が国民にある国家のこと

共和国は大きく捉えて、憲法が変わる場合に他の共和国と区分するため、次の共和国が始まりますが、厳密に言うと、大統領の選挙法と任期のような「政権形態」と「選出形態」に対して憲法が変わると新しい共和国が始まります。

ですので、ドラマ「第5共和国」は、韓国での5番目の共和国、つまり全斗煥大統領の任期中(1980-1988年)の出来事が描かれた41話の本格的な政治ドラマです。

1979年の朴正煕大統領の死から1980年の5・18民主化運動、1987年の6・29宣言、退任、そして裁判過程まで全斗煥大統領時代のほとんどの大きな出来事が含まれています。

特に、1979年の朴正煕大統領の死後、全斗煥将軍がクーデターを起こす12・12事態(1979年)について、一番詳しく描かれている作品として韓国でも有名です。

12・12事態(クーデター)の展開過程と全斗煥将軍が大統領の座に着くまでの細かい秘話なども出てくるので、他の作品で主に扱う1979年と1980年の間を連結させてくれる役割をする作品とも言えます。

また、1980年代に起こった三清教育隊(삼청교육대)事件北朝鮮の戦闘機亡命事件大韓航空旅客機爆破事件以外にも、国際グループ強制解体ジャンヨンジャ(장영자)・イチョルヒ(이철희)金融詐欺事件のような、他の作品にはほとんど扱われていない経済分野の出来事まで描かれているので、1980年代の歴史教科書のような構成です。

政治ドラマらしく、男女の主人公の恋愛ストーリーのようなものは一切ないので、極めて男性的なドラマであるにもかかわらず、かなりの好評と人気を博した作品です。
本来の全斗煥大統領の男らしい性格と全斗煥大統領を演じた俳優のイドクファ(이덕화)さんの熱演により、制作陣も予想していなかった「全斗煥美化論騒動」に陥ったり、日本ではこのドラマを美少女化した漫画が描かれたりなど独自のマニアファン層が現れたりもしました。

10・26事件と12・12クーデター、5・18民主化運動が全体の半分を占め、残りの経済分野の事件などが中心で、他の事件と退任後、裁判過程などは簡略に紹介されますが、後任の盧泰愚(ノ・テウ)大統領と金大中(キム・デジュン)大統領、金泳三(キム・ヨンサム)大統領の逸話や性格までも垣間見ることが出来るため、多様な面白みを感じることができるドラマです。

おすすめの観る順番!

おはる
おはる

出来るだけ実際の順序に近づけて映画を紹介しました♪

歴史の勉強ということで時間軸を追って観ることをおすすめしますが、10・26事件に関する映画「南山の部長たち」や「ユゴ大統領有故」などは背景知識がないと、理解が難しくて面白くないかもしれません…(私も最初は理解が出来ず、何回か挑戦して最後まで観ることが出来ました…^^;) 

5・18民主化運動について学んだ後に観たり、ドラマ「第5共和国」はナレーションの解説があるので、「第5共和国」を観た後に観るのも良いかもしれません!

以上、「5・18民主化運動」に関連するおすすめ映画・ドラマでした!

各作品の細かい解説記事などは、今後上げていく予定です(^^)/

ぜひ参考にしてみてください☆

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