『パラサイト』にもCGがある?ギウの目標と最低賃金
意外なCGのシーンたち
豪雨が降る水害シーンの撮影ビハインド。
どこにCGが使われたのか考えてみると水害の場面以外に特に思い浮かぶ部分がなかった。
長さ50m×24m、高さ4mの超大型水槽の中に、自宅と周辺の家20軒を作り、水50tを使って再現したシーン。
あふれる濁った汚水は、俳優たちの肌の健康のために顔用の泥パックを溶かして作ったものだそうだ。
その他には思い浮かばなかった理由は、結末部分に雪が降る風景を撮らなければならないのに、撮影最終日に奇跡のように雪が降ったという記事を見て、ギテクの家と周辺の通りをリアルにするために撤去予定の再開発地域を訪問し、ドア、窓、器などを持ってきて小物として使ったという記事もあったからだ。
DEXTER社のCG作業映像を見て一番驚いた場面は、パク社長の家の前の路地。
実際にある場所で撮影したと思っていたのに、あえて家の前の路地までCGだとは想像もできなかった。
わぁ~本当にこれもCGだったの?という声が自然に出たよ。むしろCGじゃないものを見つけないといけない状況だね!(笑)
家の前の玄関や路地の場合、周辺全体が高い塀に囲まれて澄んだ空を広く見ることができる場所は、パク社長の家の庭だけが唯一の場所だという象徴を込めたかったそうだ。
登場もしないギテク家の近所の人たちの職業設定までしたというから、映画監督たちは本当に多くの想像をしながら映画を作っているようだ。 だからポンテールって呼ぶんだろうけど。(笑)
547年監督と記者の計算の差
근본적인 대책이 생겼습니다 .이 집부터 사겠습니다.
映画『パラサイト』中
根本的な対策が出来ました。この家から買います。
というギウの決心は、成功するまでにかかる時間は “547年”。
悲喜劇とよばれるジャンルを開拓したポンジュノ監督は、結末だけは希望を与えたくなかったと話した。 世の中に存在する現実そのままを見せたかったと。
“ポン・テール(봉테일:ポンジュノ+ディテール/ポンジュノ監督はディテールまでこだわることからついた名前)” らしく、監督が予め計算してみたら、最低賃金基準で547年くらいかかるそうだ。そしたらこれはあまりにも残酷な結末T_T
映画の中のパク社長の家は本物の住宅ではなくセットだが、1階の建物の面積だけで200坪と土地が550坪だったというが、設定上似たようなソウルで高い土地の平倉洞(평창동)の相場を考えると、現在の基準で100億~200億ウォンの間だ。
2020年韓国の最低時給は「8,590ウォン」。
これを法定勤務時間を基準とし計算してみると最低月給は約180万ウォン。最低年俸は約2,160万ウォン。
計算の便宜上、2,200万ウォンで考えた時、547年かかるとされ、パク社長の家はだいたい「120億ウォン」で推測すれば、計算が一致する。
住宅価格「120億ウォン」、所要時間「547年」
1ウォンも使えず全額貯金しないといけない可哀そうなギウのために、記者はギウの年俸全額を韓国の平均年利率2%の積み立てをかけてあげて、これを魔法の「福利元利金」として計算をしたら、547年だったら「57兆ウォン」集めることができ、「120億ウォン」ごときは125年あれば十分だという。
福利のマジック!
そしたら、あとはギテクとギウの寿命さえ伸びれば実現可能だろうか?
ポンジュノ監督くらい残忍なこの記者は、もうちょっと計算をして、“不動産も時間が経てば価格が上がる” という理由で、韓国の平均年3%の不動産収益率だけ適用すれば120億ウォンのこの家の価格は547年後に157,780兆ウォンになるそう。
「兆ウォン」、「兆」だよ!!
この数式があってるのか分からないけど(笑)
宇宙が消える時まで、名前が「ギウ」である全ての韓国人が子どもの世代まで全て集めても不可能な金額。
記者は547年はポン·ジュンノ監督が「希望拷問」をしていると話した。
現実の中の「貧富格差の加速度」をあまりにも知らずにいると。
でも記者がもっと残忍…T_T
韓国の最低賃金 そして23.64年
OECD基準が出れば、いつでも上位圏を占めていた韓国の「欲」は、「最低賃金」と「勤労時間」でも同じで、最低賃金の場合、いつも5本の指を争う下位圏で、勤労時間は毎年メキシコと1位を争う超上位圏国家…。
いつでも中間がない韓国。熱い国でしょ?(笑)
最近何年「ライフワークバランス」ブームで、勤労環境が早く改善されているけど、最低賃金6,000ウォン台がわずか3年前の韓国の現実。
文在寅大統領の「2020年最低賃金10,000ウォン」の選挙公約は、2020年の目標値に到達できなかったので、公約失敗に対して、国民に謝罪をしなければならなかった。
10,000ウォンを目標にしたこの3年間の最低賃金の上昇は、今ではついに日本と同じ水準まで到達しましたが、雇用主と自営業者たちのものすごい反発を呼び今年は速度を調節している最中だ。
韓国の最低賃金は、今では日本と同じくらいになったけど、日本もOECD上位圏ではないみたい。私たちはチング(友達)!(笑) 遠い道のりだ…。
いつ最低賃金が10,000ウォンになるのか分からない現実の中、実はギウは正解を知っていた。
돈을 아주 많이 버는거에요.
映画『パラサイト』中
お金をめちゃくちゃ稼ぐんですよ。
「最低賃金」は言葉通り「最低」というだけで、「最高」賃金になってしまったおかしな世の中。
お金をめちゃくちゃ稼がない限り、その格差は縮めることができない。
犯罪を犯さなければいけない?一攫千金狙わないといけない?
地下にいるクンセのために食べ物を頼むムングァンは「クンセが食べるものは全部私の月給から買った」と忠淑に強調する。 堂々としているということだ。
だがギテクとパク社長の車の中の会話シーンで、パク社長のムングァンの唯一の短所はただ1つ、
「たくさん食べる」って言うよね。 「毎日2人前食べる~」って。
結局支出があるから貧乏ほどお金を集めることができない。
だからムングァン夫婦も寄生してきていたのだろう。 犯罪でなければ生きていけない世の中。
「23.64年」
中小企業平均所得勤労者の、ソウル平均中小型アパートを買うまでにかかる時間。
中間の中間である “平均” の生活をしようとしても、 “平均” は本当に難しいことが今になって分かった瞬間。
エンディングクレジットであなたが逃した2つ
焼酎1杯と犬の名前
映画の後半に死亡したキジョンは普通の人々のように「納骨堂」に祀ったが、ムングァンは金持ちでもするという「樹木葬」で前庭に埋められた。 犯罪の痕跡を隠さなければならなかったからㅜㅜ
「平均」にもなれなかった人たちは、そのように死で映画は終わり、エンディングクレジットが上がってくる。
エンディンクレィジットで逃した1つの情報は、パク社長の子犬3匹の本名が出るということ。
子犬の飼料にこだわり、呼び鈴の上に子犬たちの写真の額縁を配置したのは、金持ちの子犬たちとの比較だろう。 地下の人たちと子犬の暮らしの比較。
それなりに重要な役割を担当したと思ったのか堂々と上がってくる子犬たちの「本名」は チュニはジャガイモ、ベリーはハンマー、ププはムンチ(塊)だった。 (笑)
そして韓国人だったら、ほとんど聞けなかっただろう歌、”焼酎一杯(소주한잔)” が流れる。
映画が終わって暗転し、1分後に最初の歌詞が出てくるので、聞くことが難しい歌。
韓国では「パリパリ(빨리빨리:早く早く)」退場する文化のせいなのか、エンディングをゆっくり鑑賞することはかなり難しい。
クッキー映像が予告されている「マーブル映画」くらいにならないと、座って見ることはできないけど、すでに出ていく人たちのせいで簡単な環境ではない。
ポンジュノ監督が作詞してギウが歌った歌で、なんとアカデミー映画祭の主題歌賞にノミネートされたのに、韓国人の99.9%は存在すら全く知らない歌。
2時間の喜悲劇を終えたら、気分が良くないだろうと、軽く楽しい気持ちで始まったけど、その終わりは決して軽い足取りではないだろうと、そういう観客のために「焼酎1杯」を入れたかった監督の意図。
映画の余韻を引き継いでほしいという監督の言葉のように、映画が終わると屋台の焼酎一杯が思い出されるが、懐事情を考えると、今は「屋台」も容易ではない現実。
庶民の象徴という「屋台」は値上がりし、ドラマでしか見られない風景になってしまった。
韓国人には「焼酎一杯」と言えばすぐに思い浮かぶ歌を紹介して仕上げようかと思う。歌手イム·チャンジョン(임창정)の歌で韓国のカラオケに行ったら隣の部屋でよく聞こえる歌の中の1つだ。
『パラサイト』レビューを終えて 制作過程映像
『パラサイト』の映画1本で本当に長い記事を書いてきたが、このような映画もあるということを知らせたかった。 いや、それよりは「映画一本にも本当に多くの文化と背景が込められている」ということを共有したかった。
繊細なディテールや解釈などは私も専門家たちのレビューを見て感嘆したけど、韓国文化や韓国史に関心がある人たちには映画を通しての学習も役に立つということを教えたいから無理して長くなったよ。
『パラサイト』#1の記事でポン·ジュンノ監督のインタビューのように、映画やドラマは地球人をつなぐ1つの言語だと思う。
難しくて退屈な本より楽で楽しみながらパートや時代別、テーマ別、人物別に基本構想を決めて作品を鑑賞すれば本当に “学習” になると信じている。
1つずつでも積んでいくと、後で点が線になって繋がっていく。その時まで最大限連結できる作品を紹介するように努力してみる。
ここまで読んでくれて本当にありがとう!
みんなお疲れ様!