久しぶりに再び『ウ·ヨンウ弁護士は天才肌』! シリーズ全体で一番論争が多かったのが12話だったので、解説レビューを始めるのが難しかった(笑) 実際の韓国の企業であった構造調整方法が今日のテーマだよ。希望退職か解雇か、放送後なぜ韓国で途方もない論争が起きたのか話してみる!
放送後、韓国ではソウル市長の話で大騒ぎだったそうだけど、その理由が出てくるよ!今回もネタバレに注意!
暑かった夏、熱かった論争
希望退職か解雇か?
今回は企業のM&Aを控えた構造調整中のミル生命というある保険会社の話だ。
会社では片働きに比べて共働きの “相対的生活安定者” なので夫婦の職員のうち1人が希望退職することを誘導している。
その対象になった今回の主人公キム·ヒョンジョン次長は、人事部長から夫婦職員のうち1人が希望退職しなければ夫職員が無給休職の対象者になるという通知を受ける。
この時に、「妻として夫の行く手を阻まなければなりませんか?」、「内助はこういう時にするんですよ~」等の性差別的発言まで聞くことになり、希望退職を勧められた職員たちが会社を相手に訴訟を提起した。
残っていた産休を返上して出勤し、会社に忠誠を尽くしたキム·ヒョンジョン次長としては悔しい状況ではある。
大企業と関連した労働と人権問題なのに性差別問題まで絡んでいて容易ではないテーマㅠㅠ
ハンバダは会社(被告)側の弁護を引き受けることになった。ウ·ヨンウはミル生命の方法が、“なぜ女性に差別的な措置なのか?男性に差別的ではないのか” と疑問をあらわにしたが、家父長的な社会の雰囲気によって、結局夫婦の中で女性たちが退職に同意した部分を指摘したチェ·スヨンの発言のように判断が容易ではない問題だ。
明確な指示や表現が必要な自閉スペクトラム症のウ·ヨンウの立場では、家父長的な社会の雰囲気や見えない社会的圧迫の脈絡と雰囲気が読めないので、さらに難しい事件だ。
今回、ウ·ヨンウカップルの “付き合う時点” に対する場面が出てくる理由がまさにこの部分を見せる場面だと思う。明確な表現が必要なウ·ヨンウ。
弁護人さんの本貫はどこですか?
さらに大きな問題は、原告のキム・ヒョンジョン次長とイ・ジヨン代理の弁護士であるリュ·ジェスク弁護士。
人権と労働法専門弁護士である彼女は裁判所の前で性差別的な構造調整に抗議するデモを繰り広げるほど侮れない勢いの持ち主だ。
それに6話で人脈と地縁を重視することで登場したリュ·ミョンハ判事とは本貫が同じ豊山(ブンサン)リュ氏。
裁判前に判事はやはりリュ弁護士の本貫を尋ね、よりによってリュ·ジェスク弁護士は同じ豊山リュ氏だったが、判事より項列が高い叔母にあたるため心理的優位に立つことになった(笑)
同じ本貫だと親戚とする概念なので、家系の中の項列が高い若い人が項列が低い歳を取った人にタメ口を使ったり、逆に歳を取っても項列が低い人が項列が高い人に敬語を使う文化があった。
最近はずいぶん消えたようだけど、本貫によるタメ口と敬語、序列が重要な韓国の立場では気まずい状況であることは明らか(笑)
弁護士と社会正義
裁判でリュ·ジェスク弁護士は、ミル生命人事部長が面談時にした発言が性差別的で強圧的だと主張し、被告のハンバダ側では女性であるチェ代理が会社に有利な証言をした。
しかし、リュ·ジェスク弁護士は彼女が夫の健康悪化で会社に残って恩恵を受け、ミル生命に有利な証言をすることだと指摘した。
原告らが自発的に退社した情況がさらに必要だった状況で、ウ·ヨンウはイ·ジヨンのかばんについていた装飾が不妊治療専門病院のものであることを知り、反撃を準備した。
この程度の発見でクジラ登場させないで(笑)
クォン·ミヌはミル生命の構造調整の小細工を教えたのは同じだとし、不妊治療の利用問題を悩んでいたウ·ヨンウを揺さぶり、ウ·ヨンウはチョン·ミョンソクに会い「弁護士は世の中を良くすることに貢献しなければならない」と主張した。
しかしチョン·ミョンソクは弁護士がすることは弁護であり依頼人の権利を保護することであって「世の中をより良くすることではない」として、こう叫んだ。
무엇이 세상을 낫게 만드는 지, 어느 쪽이 사회 정의인지는 변호사가 아닌 판사가 판단할 일
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』12話 チョン・ミョンソク
何が世の中を良くするのか、どちらが社会正義なのかは弁護士ではなく判事が判断すること
弁護士のジレンマに陥ったウ・ヨンウㅠㅠ
11話では弁護人の秘密維持義務を違反したが、今は職業の基本精神から忘れているTT
졌잘싸・負けたけどよく戦った
裁判の結果と実際の事件
次の裁判、ハンバダとウ·ヨンウはイ·ジヨンが妊娠計画中だったという点に入り込んで裁判を進めたが、ウ·ヨンウは依然として深い悩みに陥っている。
「弁護士は人だ。 私たちは1人の人間として依頼人のそばで手をぎゅっと握ってあげることも私たちがしなければならないこと」と助言をしたリュ·ジェスク弁護士の発言でウ·ヨンウの頭の中はより一層複雑になった。
しかし、最終弁論で提出された決定的証拠にもかかわらず、結局裁判所はハンバダの手をあげた。
それでも“負けたけどよく戦った(졌잘싸(졌지만 잘 싸웠다))” と堂々と叫ぶリュ·ジェスク弁護士とキム·ヒョンジョン、イ·ジヨンに向かって熱い歓呼と拍手があふれた。
졌잘싸(ジョッジャルサ)は主にスポーツ競技でよく使われる略語だよ! ニュースにも登場するほどありふれた表現だが、負けても認めずに自分で慰める状況を皮肉る場合にも使ったりする。
しばらくして、ウ·ヨンウとチェ·スヨンはリュ·ジェスク弁護士の招待を受けて裁判の打ち上げに参加した。
ウ·ヨンウはリュ·ジェスク弁護士を絶滅した “揚子江イルカ” に比喩し、リュ·ジェスク弁護士は1つの海では見られない種類の弁護士だが、絶滅しないでほしいと心からの応援の気持ちを表わし終わり。
今回のエピソードは、1999年の “農協(銀行)社内夫婦解雇事件” をモチーフに再構成された実際の話だ。
当時の弁護士によると、弁護士と原告は温かいたい焼きや冷たいコーヒーとともに、いつも “ファイティン(頑張れ)” を叫んだと当時を回想し、敗訴後も原告はたくましく、後悔よりは最善を尽くしたという心情でドラマの最後の雰囲気と似ていたということだ。
“今後は他の企業がこのようなことをむやみにできないだろう” という自負心。
実際の事件の年度を見ればまた分かるだろう。 韓国のIMF通貨危機。本当に多くの会社が廃業し、国民の相当数が失職に陥った時期なので、ミル生命のように選択でもできれば幸いだった時期だㅠㅠ
ドラマの判決文を見ると、ミル生命が社内の夫婦のうち希望退職対象を妻だけに制限したのではなく、原告らが色々な条件と事情により辞職届を提出したという点を挙げて原告の敗訴を決めた。
実際の事件の場合、IMF直後の1999年2月、農協中央会(農協銀行)は社内夫婦762組に対して2人に1人ずつを名誉退職させた。
この過程で解雇された688人(解雇者の91%)は女性職員。9%の夫婦は夫が辞職したため、ある程度選択が可能だったと考えている。
「夫のために内助せよ」というドラマの中の人事部長の発言は、実際の事件である銀行支店長が言った言葉と知られ、色々な女性団体もデモと共に数年間法廷争いを繰り広げたが、2003年最高裁は “不当解雇ではない” と判決。
当時、最高裁の判決文の中にこのような文句がある。“農協(銀行)が畜協(銀行)との統合を控えて人員削減が切実な状況”。
当時は企業自体の “存亡” がかかっている緊迫した状況だったので、この程度の選択の機会を与えたこと自体が企業はできる限りのことはしたということだ。IMF時期にはただ会社が消えたケースがもっと多かったから(泣)
最悪の回?熱かった論争の理由
もちろん裁判は敗訴しても、当時IMF経済危機を理由に躊躇なく職員を解雇させた韓国の企業に警戒心を呼び起こしたことだけでも大きな成果があった裁判だ。
“企業が大変だからお前たちは無条件に我慢しろ” という明らかに誤った認識だから。
それなりに良いテーマだった12話が、”ウ·ヨンウシリーズ最悪の回“という評価が出たりもする理由は、この話の展開方式が問題だったと思う。
今回の場合はただ最初から “会社は悪い” を決めておいて強制的に感情移入させる感じというか、そこにあえて必要なさそうな感受性溢れる部分まで。
特に、韓国で文字通り大騒ぎとなった理由は、実際の事件当時、共同弁護団にパク·ウォンスン前ソウル市長がいたからだ。 ドラマの中のリュ·ジェスク弁護士のモチーフがパク・ウォンスン前市長だという議論。
このような主張に対して「過度な解釈だ」、「リュ·ジェスク弁護士は当時裁判の弁護を率いたキム·ジン弁護士をモチーフにした人物と見るのが妥当だ」、「パク·ウォンスン前市長が弁護団に入っていたのは事実だが、主な弁護士ではなかった」という反論意見もあった。
しかし、反対意見ではリュ·ジェスク弁護士がアン·ドヒョン作家の詩<練炭一枚>を朗読したが、パク·ウォンスン前市長が2010年の練炭配達奉仕行事で同じ詩を朗読した点。
そしてリュ·ジェスク弁護士事務所の場面に貼ってあったポストイットと、屋上で菜園農業をする場面は、パク·ウォンスン前ソウル市長はポストイットを市長室の壁面に貼ってあり、ソウル市ビルの屋上を菜園にする政策を施行していた点を挙げてパク·ウォンスン前ソウル市長がモチーフだ主張している。
また、今回のウ·ヨンウカップルのイルカ放飼のためのデモシーンは、パク·ウォンスン前市長が2012年にソウル大公園で飼っているミナミハンドウイルカのチェドリを放飼することにし、イルカショーを全面中断させたこと、イ·ジュンホとのデートでティッシュを拾いながら走るのは、パク·ウォンスン前ソウル市長が参加したプロギング(Plogging)シーンを思い出すということ。
※プロギング(Plogging):スウェーデンで始まったランニングしながらゴミを拾おうという運動
実はここまでくると、韓国人なら誰が見てもパク·ウォンスン前ソウル市長を連想させるしかないのだ。
ソウル市長パク·ウォンスンの死
論争が大きくなると製作陣では関連性を否認したが、この程度ならパク·ウォンスン市長に対する “献呈放送” レベルという意見が多かったのだ。
日本人からすると、韓国の政治的な問題で争っているの?パク·ウォンスン前ソウル市長をモチーフにしたものは何の問題?と思うかもしれないが、韓国人が問題視するのは政治陣営を離れ、この人が自分の女性秘書のセクハラ事件の当事者だったということで反発している。
数年間にわたり女性職員の体に接触したりわいせつなメッセージを送ったり、自分の下着姿の写真を送るなど苦しめてきたが、捜査が始まるとパク·ウォンスン市長が自ら命を絶つ選択をして捜査さえ終えられなかった事件だ。
ソウル市長になる前は女性人権弁護士で労働専門弁護士だったので、国民は彼の隠された姿に大いに失望した事件(一一”)
韓国人の立場からは、女性の性犯罪に関与しただけでも失望感が大きかったが、裁判の判決を受けたり捜査に協力もせずに悪い選択をしたため、少なくとも人権活動家として最小限の責任意識もなかったという批判が大きかった。
そのためネット上では、あえてセクハラ疑惑があるパク·ウォンスン前市長を連想させる設定をする必要があったのかという指摘が出たのだ。
リュ·ジェスク弁護士=パク·ウォンスン前市長というモチーフだけを持ってきた設定ではなく、献呈放送レベルで、むしろ犯罪者美化に見えるかもしれないからだ。
情況と証拠、被害者の証言があっても裁判の判決を受けたことはないので、被害者の立場ではさらに腹が立ってもどかしいだろうㅠㅠ
もちろん、この事件だけで故人の過去や人生全体を卑下してはならず、セクハラ(性暴力)事件の場合は死亡によって捜査が終結し、犯罪の有無が確定したわけではないので、無条件の非難は自制しなければならない。
そして、文字通り献呈放送をしたとしても、制作陣が何か犯罪を犯したわけではないから。
だが、いくら考えても製作陣は「なぜここまで?」、「あえてこの人を?」、「ここまで?」という疑問を払拭することは難しい。
この状況にもっと油を注いだ状況があったが、次の記事で別に説明する。
重い話が続いたので、前回のクジラカップルのラブラブ動画で締めくくり!(笑)
今回の議論を知っている韓国のウ·ヨンウファンの立場では、ドラマに対する愛情が一気に冷めてしまう感じだったけど、分量が多いのでその理由は次の記事で別にお話しするよ!パク·ウォンスン前市長が問題ではなくもっと大きな議論があったよ(笑)