ドラマを鑑賞するための事前情報は全部ちゃんと読んでくれたよね?(笑) 1話から多くのことがネタバレになった回なんだ! 解説記事、長くお待せしたからすぐ始めよるね!
ネタバレがあるけど、ドラマを見る前に読んでも、視聴後に読んでもいいよ!
おばさんの予言
7時だよ!みんな起きて!起床起床!ウ・ヨンウの出勤でレビュースタート! プレイボタン早く押して~!
かわいらしくきれいな色味のオープニング映像が始まり、
朝7時
クジラの時計がアラームを鳴らしたら、深い睡眠のためのアイマスクと耳栓を外し、出勤準備を始める。ベッドの上にも床にも、部屋の中にはクジラがいっぱい。
一般人には非常に小さな音や生活騒音までも、自閉スペクトラム症には非常に大きく聞こえたり刺激があるという。そのせいかウ・ヨンウは大きなヘッドホンをして出勤をするのだ。
大きなマッコウクジラと一緒にソウル漢江の橋を通ると、前を読んでも逆に読んでも“駅三駅(ヨクサムヨク)” に出て、
どこか変に見えたウ・ヨンウの後ろ姿が、横断歩道の人たちの中に混ざると、ウ・ヨンウも1人の人間というだけで、これ以上変に見えない。
ウ·ヨンウの初出勤途中、クジラが陸地に上がってきた話の始まり。
母親なしで父親1人で苦労して育てなければならなかった娘ウ·ヨンウは、発語が遅かった。
夫が妻を疑って束縛する癖がある大家さんに父がいじめられた日、父の法典を覚えて喧嘩を止めたウ·ヨンウに大家のおばさんは、
우리 영우, 나중에 커서 변호사하면 되겠네
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』1話より
ヨンウは大きくなったら弁護士になったらいいね
と、お祝いしてくれた。
未来を予見するおばさんの先見の明、そして超強力なネタバレだよね(笑)
回転ドアの秘密
変な紹介のあいさつをする理由
ウ·ヨンウが父親の写真を見ながら、一般人の表情を練習して出勤準備をする場面をよく見れば、壁面にぎっしりと貼られているメモが見える。
このメモをよく見ると、各種の英語の回文単語たちと “私の中のパズル(내 안의 퍼즐)”(イ·ギルス詩人の回文で作った詩)みたいな回文でできた詩が書かれている。
“鴈、スイス~(キツツキ、トマト~)”で始まるウ·ヨンウの自己紹介の挨拶は、単純に笑わせたり自閉スペクトラム症を戯画化するために出たものではない。
メモ1つまでもかなり細かい設定。
ラインが合わず乱れていると不安を感じる自閉スペクトラム症が、対称とバランスのとれた回文を好む理由でもあるが、
ウ·ヨンウの立場では、見知らぬ人に会った時の緊張や震えを回文になった自己紹介をしながら、和らげていく過程なのだ。
これは建物やオフィスの出入り口に入る前の深呼吸と一緒で、指で数字を数えてから入る行動でも見られる。
新しいシチュエーションを迎える準備時間。
そんなウ·ヨンウにとってハンバダの “回転ドア” は彼女が体験したことのない恐怖で不規則なのだ。
回転ドアの秘密
所要時間38分を予想していたウ·ヨンウの計画に従うも、出勤したハンパダの建物には難関が待っていた。 “回転ドア”。
この回転ドアは、海と陸地の境界のように、障がいを持ったウ·ヨンウの社会進出を遮るように立っている。
回転ドアが苦手なウ·ヨンウに対する他の人物の行動を通じて、私たちはその後のストーリーを推測できる。
ウ·ヨンウの初出勤の時、イ·ジュノがかけてくれた言葉、
아, 문이 너무 힘들게 돼 있죠?
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』1話より
あ、ドアがすごい大変ですよね?
ドアが大変なだけで、ウ·ヨンウに問題があるわけではないということだ。
そしてウ・ヨンウと “一緒に” 回転ドアを通過する。
2回目の出会いで、ウ·ヨンウが回転ドアの短所を話しながら建物主を説得しようか悩んでいる時にも、イ·ジュノはウ·ヨンウの意見を非現実的で不可能だと話す代わりに有名な台詞を残した。
왈츠를 춘다고 생각하시면 어때요?
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』1話より
ワルツを踊ると考えてみたらどう?
今回もやはり代案だけ提示したのではなく、“一緒に” ワルツを踊りながら回転ドアを通過した。
これから2人が恋に落ち、困難と偏見に共に直面し、それを一緒に通過していく人物であることを露骨に示したのだ。
ワルツは2人が一緒に踊らなければならないダンスだということを考えるなら、ウ·ヨンウが社会に進入するためにはイ·ジュノが一緒でなければならないという意味ではないだろうか。
そうして誕生した第1話の名場面 “回転ドアのワルツ”。
しかし、公明正大な私たちのクォン·ミンウは1話から違っていた(笑)
チェ·スヨンとの退勤途中、ウ·ヨンウを発見しては “ウ·ヨンウが強者”として、強者をなぜ助けるのかと話す。
助けるべきか迷っているチェ・スヨンに、
그럼 도와주신 던가요
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』1話より
じゃあ助けてあげれば
という冷笑的な言葉だけを残し、行ってしまう。
誰が見ても、この人は今後もウ·ヨンウを助けてくれない人。ウ·ヨンウのライバルでもある。
権謀術数のファンの立場でみると、“強者” をなぜ助けるのかという言葉にはクォン·ミヌも “弱者” に対する配慮があるという台詞ではないかと1人で想像している(笑)
しかし、人物紹介の記事で紹介したように、チェ·スヨンは率直ながらも率直になれない。
この場面でもチェ·スヨンはクォン·ミヌと一緒にそのまま通り過ぎようとしたが、結局帰ってきて回転ドアを握ってくれた。
チェ·スヨンは同期に対する心配と哀れみ、そして競争心と嫉妬まで全てを持っているので、ウ·ヨンウと共にこの世の偏見を共に突破できる人物ではない。
しかし、ウ·ヨンウに対する偏見を、少しでも止められるようにしてくれる人物であることを、この場面で見せている。
********** 注意 4話のネタバレあり **********
ネタバレになるが、この回転ドアに関して一番面白い人物はトン・グラミじゃないかと思う。
ハンバダに訪問したトン・グラミは、ウ·ヨンウの「回転ドアに気をつけて」という言葉に集中するあまり回転ドアのタイミングを逃したり、ウ·ヨンウと一緒に出る時は回転ドアを通過する代わりに、横のドアから “一緒に” 通過する姿を見せてくれた。
学生時代からウ·ヨンウの困難を間接的に経験したトン・グラミを象徴するように、回転ドアでもウ·ヨンウの立場を体験し、ウ·ヨンウと共に自分たちだけの道を切り開いていく姿を見せているのだ。
ウ·ヨンウの前に置かれた社会進入という大きな壁を直接的に助けることはできないが、いつもそばで一緒にしてくれるトン・グラミを見せてくれる場面。
********** 注意 4話のネタバレ終了 **********
このように回転ドアを通じて、たった1話だけでも色んな場面に描かれる周辺人物の態度から、以後ウ·ヨンウとの関係とキャラクターたちの性格まで全てを一発で知らせる作家の贈り物のような装置だったのだ。 それぞれの人物に合わせたきめ細かな演出。
作家がネタバレしてるじゃん(笑)
その後も回転ドアが出たらどうやって通過するのか穴があくほど見ているよ(笑) 没入の副作用(笑)
特別な弁護士か?変な弁護士か?
저는 자폐스펙트럼 장애를 가지고 있어 여러분이 보시기에 말이 어눌하고 행동이 어색할 수 있습니다. 하지만 법을 사랑하고 피고인을 존중하는 마음만은 어느 변호사와 다르지 않습니다.
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』1話より
私は自閉症スペクトラム障害を持っていて、皆さんが思うに言葉が下手で行動がぎこちないかもしれません。しかし、法律を愛し、被告人を尊重する気持ちだけは、ほかの弁護士と変わりません。
大韓民国初の自閉スペクトラム症の弁護士ウ·ヨンウ。
ドラマ『ウ·ヨンウ弁護士は天才肌』は天才で自閉スペクトラム症を持つ新人弁護士ウ·ヨンウが法務法人ハンバダに入社し、様々な事件依頼を解決していくストーリーだが、
このドラマの興味深い点は、主人公が事件を解決することを重点に見せてくれるありふれた法廷ドラマと違って、事件のケースをウ·ヨンウの状況に代入してウ·ヨンウの内的成長を自然に繋げている部分だ。
“ウ·ヨンウ弁護士の事件解決~” といったドラマではなく、“事件を通じたウ·ヨンウの成長ドラマ”!
今回の1話でウ·ヨンウ弁護士の初事件は、殺人未遂罪を傷害罪に変更しなければならない事件だった。
振り返れば、1話のすべてがネタバレだったと言った言葉のように、言葉を話せなかったウ·ヨンウが大家のおばさんの前で初めて吐いた言葉がまさに “傷害罪” だった。
ウ·ヨンウ人生の最初の単語と、弁護士としての初めての事件が全て “傷害罪” につながっている。
時間と場所は変わったが、登場人物も同じだ。応援に来た父から大家のおじさん、おばさん。
このようにウ·ヨンウが殺人未遂罪を傷害罪に変更するストーリーの面白さだけでなく、幼いウ·ヨンウが初めて傷害罪と話し始めたように、傷害罪事件を通じて弁護士を始めるという意味を加えている。
依頼人として出会った大家のおばさんが会議室で嬉しさで抱きしめようとした時、体を後ろに引いていたウ·ヨンウが事件終了後にはおばさんをそっと抱きしめる場面を見ると、ウ·ヨンウはすでに一段階成長したように見える。
********** 注意 2話のネタバレあり **********
続く2話では、ずり下がったウェディングドレス事件だったが、両親から精神的に独立するのが本当の大人だというテーマで事件とウ·ヨンウを連結させた。
父親の言う通りに生きてきた依頼人の事件を解決していたウ·ヨンウは、“自らご飯の準備が出来てこそが本当の大人”というクォン·ミヌの話を聞いて、自身の人生について悩んだ。
いつも “パパ” がすべてを解決してくれたウ・ヨンウだったから、単純に依頼者の悩みだけではない。
すべてはウ·ヨンウを成長させるためだったのだ。
********** 注意 2話のネタバレ終わり **********
また、これまでの法廷ドラマの主人公たちは、冷酷だったり徹底したエリートというイメージが強かったとすれば、『ウ·ヨンウ弁護士は天才肌』は自閉スペクトラム症の弁護士というキャラクターを活用して暖かい法廷ドラマでありながら成長ドラマを作り出している。
それを生かす重要な要素は、事件を解決する法理がありふれておらず、新鮮だということだ。
その一方で、主人公のためにむやみに法理を持ってきたり、実際の法条項に合わない用語を使用したりもせず、
実際の事件に合った法理と用語を使っているので現実的な没入感を与えている。
『ウ・ヨンウは天才肌』は日本のドラマと似ていると感じても、より見やすかった理由でもある。
個人的には『リーガルハイ』も面白かったけど、日本のドラマ特有の訓戒たっぷりの台詞よりも、視聴者に考える時間を与える方がいいな。韓国版は絶対観ちゃダメ!(笑)韓国が嫌いになるかも(笑)
ウ·ヨンウ(우영우)という名前の最初の文字と3文字目が同じ “ウ(우)” 。
名前の漢字までは出ていないが、漢字では優越さの”優”かも知れないし、愚かの “愚” かも知れない名前。
失言したチャン·ミョンソク弁護士に、自分は “普通の弁護士” ではないので大丈夫だと淡々と話すウ·ヨンウ。
ウ·ヨンウの “ウ” はどんな漢字なのか、特別ながらもおかしな弁護士ウ·ヨンウの成長ストーリーは次回に続く。
参考までに、トン・グラミが “異議あります!” を練習する時に出た映画のタイトルの中で映画『無垢なる証人』は『ウ・ヨンウ』の作家の作品だよ(笑)
すべては実話 「なぜ私は彼らを弁護するのか」
1話のエピソードである “アイロン事件” は、2012年にあった実話の事件を基盤にしたエピソードだ。
80代の夫の軽度認知症を看病し、いじめに耐えられず殺害しようとした容疑で起訴された70代の女性に対して、裁判所が殺人未遂容疑の代わりに傷害罪を適用した事件。
ドラマのように当時被告人のおばあさんには殺人未遂容疑が適用され起訴されたが、認知症を患っていたおじいさんをこれまで献身的に世話してきたという点、子どもたちの嘆願書、そしておばあさんの「本当に悔しい」という訴えに耳を傾けたある韓国選弁護士の活躍のおかげで殺人未遂容疑は無罪判決、最終執行猶予を受けた事件だ。
国選弁護士だったシン·ミニョン弁護士の<なぜ私は彼らを弁護するのか>に盛り込まれた話で、細部情況と道具などはドラマで脚色されたそうだ。
実話の内容を探してみて面白かった部分は、実際の事件でおばあさんはドラマのようにアイロンではなく「鉄製変圧器」で額を何度も殴った事件だという記録。
笑っちゃいけないけど、何かこれはちょっと危なすぎないかなと思う(笑)下に写真を添付してみるね(笑)
1話のエピソードの他にも、ウ·ヨンウが弁護を引き受けた事件の多数が実話に基づいているという。
製作陣は実際に事件を引き受けた弁護士たちが出した本をエピソードの原作とし、各弁護士·出版社と著作権利用許諾および契約を結んだ状態。
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』のエンディングクレジットに、エピソードの原作として名を連ねた本は全部で3冊。
著者名 | 本の名前 | 出版社 | 出版年 | ドラマになった回 |
シン·ミニョン弁護士 신민영 변호사 | <なぜ私は彼らを弁護するのか> 왜 나는 그들을 변호하는가 | ハンギョレ出版 한겨레출판 | 2016年 | 1,3,6,10話 |
チョ·ウソン弁護士 조우성 변호사 | <一つの喜びが千の悲しみに勝つ> 한 개의 기쁨이 천 개의 슬픔을 이긴다 | ソ・サムドク 서삼독 | 2022年 | 4,11,13,14話 |
シン·ジュヨン弁護士 신주영 변호사 | <法廷の達人> 법정의 고수 | ソル出版社 솔출판사 | 2020年 | 7,8話 |
実際、弁護士たちの事件の話だというから、もっと面白くて没入感ができて嬉しい。
各エピソードの実際の事件と原作に対する追加の説明は他の記事で補充する予定!
1話で回転ドアのワルツも良かったが、個人的に気に入ったウ·ヨンウとイ·ジュノの初握手場面と共に1話の話はここで終わり~!
繊細な演技も良かったけど、ウヨンウの手が小さすぎてびっくりしたよ(笑) なんか本当に保護しなければならない父性愛を感じさせた場面(笑)