最近韓国では俳優のソン·ジュンギ主演のドラマが話題だよ!『財閥家の末息子(재벌집 막내아들)』。タイトルだけ聞くとお母さんたちが見る昼ドラのタイトルみたいだけど(笑) 今年最高人気ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の視聴率を突破して人気上昇中だよ!
残念ながら日本での正式放映スケジュールはまだないけど、今の人気なら必ず日本でも見られると思うから、前もって調べてみようと思うよ☆
ドラマのストーリーだけでなく、韓国の文化や背景まで、韓国の現代史の話がいっぱい詰まっていて、ぜひ紹介したいドラマだよ! 放映前にゆっくり予習してみよう~
2022年の韓国最高人気ドラマは?
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』に勝ったドラマ
今年の夏、『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』(2022)の大ヒット以来、静かだった韓国ドラマ市場に新たな超大ヒット作品が登場!
ソン·ジュンギ主演のJTBCドラマ『財閥家の末息子(재벌집 막내아들])』が放映3週、8回目で20%に迫る視聴率を記録し、今年最高のヒット作に浮上した。
12月11日に放送された11回の視聴率が21.1%を記録し、チャンネルENAドラマ『ウ·ヨンウ弁護士は天才肌』の全体最高視聴率記録17.5%を超え、2022年に韓国で唯一20%を突破したドラマとなった。
視聴率10%台のドラマも出にくい最近、3回で10%台(10.826%)を突破したが、急速な上昇傾向を続けている現在、韓国最高の話題ドラマだ。
ワールドカップの時期に同じ時間帯で得た結果なのでもっと驚くべき成績(笑)
韓国でミニシリーズに分類されるドラマの今年の最高視聴率を見ると、21.1%の『財閥家の末息子』と17.5%の『ウ·ヨンウ弁護士は天才肌』が1、2位。
続いて『ウ·ヨンウ弁護士は天才肌』以後、下半期を率いた2つのドラマであるキム·ヘス主演のtvN『シュルプ』16.9%、ナムグン·ミン主演のSBS『1,000ウォンの弁護士』15.2%があり、上半期のイ·ビョンホン主演のtvN『私たちのブルース』14.6%の順だ。
その下にはMBC『ビッグマウス』13.7%、SBS『アゲインマイライフ』12.0%、SBS『社内お見合い』11.6%、tvN『二十五、二十一』11.5%があった。
今年まだ視聴率20%を超えるドラマが出ていない状況なので、折り返し地点にきている『財閥家の末息子』の20%突破を期待しているところ!(とブログに書いている間に11話で21%達成(笑))
ドラマ『財閥家の末息子』を選んだ理由
このうち、このブログ【iumもっと知りたい韓国の話】では、上半期に『二十五、二十一』を解説し、遅れているが『ウ·ヨンウ弁護士は天才肌』の解説を終える予定だが、次の解説は『財閥家の末息子』を優先的に考慮中だ。
実は、『ウ·ヨンウ弁護士は天才肌』の次の作品として下半期の人気作である『シュルプ』と『わずか1,000ウォンの弁護士』を考えたが、『シュルプ』は歴史歪曲問題があり除外、『わずか1,000ウォンの弁護士』は途中でドラマの完成度が急に落ちて諦めることにㅠㅠ
【iumもっと知りたい韓国の話】では、単純な人気作品よりは、ドラマと映画を通じて韓国文化と歴史について紹介することを基本に考えているので適当な作品を選ぶのが難しいところだが、韓国の文化体育観光部と韓国コンテンツ振興院が制作支援する作品『財閥家の末息子』ならある程度信頼できそうなので選択!(笑)
面白い作品を紹介することも大事だけど、歴史を誤解したり、間違った情報を伝えないように考慮しているので、ファンタジースタイルの時代劇やロマンス中心の作品を紹介できない部分はご了承ください(笑)
『財閥家の末息子』の基礎情報
JTBCの自信、破格の編成
現在、韓国のJTBC放送局で放送中のドラマ『財閥家の末息子』(2022)は、同名の人気ウェブ小説を原作としている。
韓国のサムスングループをモチーフにした原作の話題性、俳優ソン·ジュンギの1人2役、JTBCが初めて試みる週3回放送などの理由で、放送前から期待が高かったドラマだ。
特に金土日の週3回の放送は破格的で話題だったが、ドラマの人気によって早く失敗するか、早く人気になるかのどちらかだったからだ。
無謀に見えたJTBC放送局の自信は大成功し、今年最高視聴率のドラマになった。
NetflixようなOTTのように全編公開ではないが、1週間に多くの回を見ることができるので確かに良い~!あまり待たなくてもいいから(笑)
『財閥家の末息子』は現在の時代のスンヤングループ財閥総帥一家の秘密雑務を管理する秘書ユン·ヒョヌ(ソン·ジュンギ)が亡くなって、過去の時代の総帥一家家族の末息子チン·ドジュン(キム·ガンフン/ソン·ジュンギ)に生まれ変わり、“2回目の人生” を生きるファンタジードラマだ。
スンヤングループのトップ一家の家族間の権力争いを基本にしているため、経済と企業の話がメインで、秘書のユン·ヒョヌ(ソン·ジュンギ)が自分の死に対する復讐のために力をつけていくストーリー。
もともと庶民の秘書出身から財閥の末息子に人生がリセットされたチン·ドジュン(ソン·ジュンギ)が未来に起こることを覚えている点を利用して、スンヤングループ会長のチン·ヤンチョル(イ·ソンミン)と対立する対決構図が興味津々に繰り広げられる。
私たちがよく想像する “今の記憶はそのままで、生まれ変わって宝くじや株式詐欺” が現実になったストーリー。 面白くないわけがない(笑)
原作のウェブ小説と人気の理由
『財閥家の末息子』の原作は2017年に韓国で人気だったウェブ小説が原作だが、貿易およびマーケティング会社で25年ほど勤めたという作家の山景(サンギョン)が、本人の経験と資料調査をもとに韓国の実際のグループの話と現代史まで盛り込んで大好評を得た作品で、韓国ウェブ小説市場を成長させた作品の1つだ。
原作のウェブ小説とドラマ、どちらも韓国で実際に起こった事件と状況を積極的に溶け込ませ、視聴者の好奇心を刺激しているが、特に物語の中心軸であるスンヤングループは現在のサムスングループを、ライバルとして出てくるデヨングループは現代グループをモチーフにして、両グループの競争を実際の歴史と比較してみる楽しみもある。
実際の企業や歴史的事件を単純にモチーフだけに使ったのではなく、各キャラクターと様々な設定、大小のエピソードを実際と似たように詳しく描いており、ドラマの中の各種設定と状況を探ってみると、数人の実際の人物の名前が自然に思い浮かぶほどだ。
だから超おすすめ!ドラマを見ると1980年代から現在までの韓国現代史の流れが自然に見える!ちょっとした世界史はボーナス(笑)
原作とドラマの違いはあるが、結局人気の核心は、明確な設定を持つ原作のキャラクターと、事件をさらに細かく脚色し、復讐を夢見る主人公の “回帰物” という人気コードをもとに、実際の事件に想像力を加え、好奇心と知りたい気持ちを誘発するのだ。
そこに、金土日の週3回という挑戦的な編成とそれにふさわしい速い展開、そして主演俳優のソン·ジュンギをみすぼらしくさせるほどの配役を十分生かす俳優たちの狂った演技力まで。
ソン·ジュンギ主演のドラマなのに、ソン·ジュンギが出る部分がむしろ面白くないという評価があるくらい(笑)
新しいトレンド “回帰·憑依·還生”
“回憑還(回帰·憑依·還生)”の流行と各種作品
ウェブ小説やウェブトゥーンですでに1つのジャンルになっている “回憑還(回帰·憑依·還生)” コードは、より大衆に身近に近づき、興味を誘発する効果があることは明らかだ。
“回帰もの” は最近いろんな作品でよく使われ愛されるジャンルと構造だから。
基本設定自体によって、ややもすると非常に荒唐無稽な話になるが、演出力と構成力が後押しされれば、色々な時間的・空間的制約をなくすことができるので、これより良い素材もない。
もちろん、その演出力と構成力が生半可だった時には、漫画よりも幼稚に見える結果を作ったりもするということを私たちは何度も確認した。最近の韓国ドラマの中ではSBSドラマ『ザ·キング 永遠の君主』(2020)がその代表的だった。
【ium】でもちょっと紹介したほど、韓国では最悪のPPLドラマとして有名だが、実はドラマの方が面白くて完成度が高かったら、それほど悪評が殺到することはなかったと思う。
PPLが我慢できないほどドラマ自体がめちゃくちゃだったのが問題TT
※PPL…ドラマなどに出てくる間接広告
“回帰”という単語の通り、”自分の過去に戻ること“だ。
現在の状況で大きく後悔すること、または命を失ったり危険な状況で自分の過去の姿に戻るのだ。 もちろん、現在まで知っているすべての事実を記憶したまま帰ってこそ、話が面白くなる。
“憑依”の場合は、まったく別人になることで同時性を担保とする。
今この世界でこの時間で違う性格と能力を持った人になる場合もあり、最初から世界を変えてマーベルアベンジャーズシリーズの “マルチバース(Multiverse)” のように平行世界が存在し、その世界の中でこの時刻の違う人になる場合もある。
“還生”もやはり別人になるが、同時代ではないとう違いがある。最初から未来になるかもしれないし、過去になるかもしれない。
そういう意味で見れば、スンヤン家の解決師だったソン·ジュンギがスンヤン家の孫、全く別人として生まれる『財閥家の末息子』は還生と憑依を基本に、回帰する作法までも混ざっていると見られる。
とにかくこの “回・憑・還” は、最近のお茶の間ドラマを主導するジャンルに成長したことは明らかだ。
最近放送されたSBSドラマ『アゲイン·マイ·ライフ』(2022)は、検事だった主人公のイ·ジュンギが殺された後、20代前半の年齢まで戻って復讐を計画する “回帰もの” の内容で、キム·ヒソン主演のMBC『明日』(2022)は、死神たちが無念な死を防いだり、誤って死んだ人を送り返す役割をする “還生もの” のコードを持っていた。
このように整理してみると、知らないうちに本当に多くの作品に “回・憑・還” コードがあったね!本当に流行ってるようだね(笑)
新造語 “이생망(イセンマン)”とMZ世代
多様な内容のウェブ小説やウェブトゥーンは、韓国の映画やドラマ創作の源泉になっているが、市場規模が3兆ウォンに迫る韓国ウェブトゥーン、ウェブ小説界は最近、回帰ものが席巻しているという。
そのため、これを原作とする作品が多く放送され始め、大ヒットした『財閥家の末息子』もまたその中の1つに過ぎず、私たちが知らない間に映画やドラマでも回帰、憑依、還生コードはすでに大勢のジャンルになっていた。
10~30代が主に楽しむウェブ小説、ウェブトゥーンのようなコンテンツは、自然にこれら世代の欲望を投影する場合が多くならざるを得ないということを勘案すれば、回帰ものジャンルの流行には少し苦い時代像が反映されていると思う。
“이생망(イセンマン:이번 생은 망했다(今回の人生は終わった)” という韓国のMZ世代の流行語のように、現実に挫折すると昔に戻って新しく始めたいという願いが込められているように見える。
現実の困難と成し遂げられないことは “回・憑・還” ジャンルでは簡単に成し遂げられるㅠㅠ 基本設定の変化により蓋然性は減ることもあるが、消費者が感じる快感はさらに大きいからだ。
まるでこれらの世代に馴染みのあるゲームで、間違って終わった時に保存しておいたデータを再び開いて始めるように、人生の失敗に対する恐怖を反映している流行というコラムを読んだ。
欲望が大きいほど、他の状況になりたい熱望も強いため、ゲームが生活化された世代は、もし死んだり失敗しても再び始めることができ、回帰という “チートキー” 等を利用して簡単にレベルアップする設定を好むという意見。
韓国NAVERシリーズ累積再生回数1億8000万回を超えた人気ウェブ小説『全知的読者視点(전지적 독자 시점)』が映画化を準備中だというが、この作品もやはり、現実では敗北者である青年が人生を再び始めて世の中を救うという設定の回帰ものだ。
このような作品の核心は、より便利に、劇的に自分の立場を反転させようとする大衆の欲望がドラマに深く投影されたという点だが、人によっては現実逃避だと非難することもできるが、”イセンマン(今回の人生は終わった)、青年失神、就放者(就職放棄者)” 等の新造語で表現されている読者世代の心理が反映された回帰ものジャンルの流行は当分は続く見通しだ。
若い世代でなくてももどかしい現実世界、作品を通じてでも代理満足してみようとㅠㅠ
『財閥家の末息子』の基本情報と最近の韓国ドラマの人気ジャンルである回帰物に反映された時代像について調べてみたが、映画『パラサイト 半地下の家族』の最初の記事で紹介した世界映画界の “福祉” に対する流れと比べてみると、流行が急速に変化していると見られる。
過去に戻ったスーパーヒーローの主人公が、再び与えられた“2回目の人生” のチャンスを通じて、難関を跳び越え復讐に成功する典型的な構造を『財閥家の末息子』ではどのように構成したのか、原作小説とはどんな違いがあるのかは、次の記事で詳しく紹介する。
日本で正式に放映されるまでに事前情報を知っておこう!
Netflixは早く放映せよ~放映せよ~! (笑)