韓国の教育熱を扱ったドラマに試験用紙流出場面がよく出てくる理由は、2000年代に変わった韓国の入試制度のためだよ。ドラマ『イルタ・スキャンダル』と『SKYキャッスル』の比較を通じて新制度の長所と短所を簡単に調べてみよう!もう小川で龍が生まれない理由ㅠㅠ
韓国の大学入試制度を知っておくと、いろんなドラマのシーンが分かりやすい(笑)
試験用紙流出事件が頻繁に出てくる理由
韓国の大学入試制度 随時と定時
韓国の教育熱を扱ったドラマに試験用紙の流出場面がよく出てくる理由は、それだけ高校の内申成績が重要だからだ。
これまで韓国の大学入試制度は高校3年生の末に受ける修学能力試験(수학 능력 시험)を基本としてきたが、たった1回の試験成績だけで未来を決めるシステムは、学生たちに苛酷にならざるを得なかった。
試験当日、体調が悪かったりミスでもした日には復旧できないから。
それほど重要な試験なので、緊張しすぎて試験を台無しにする学生も多くて、このような負担を緩和するために、日本式大学別考査や修学能力試験年2回実施などの代案を試みたが、むしろ学生たちをさらに苦しめているという反応だった。
また毎年議論になっている試験全体の難易度と科目別難易度によって点数が変わり、目標とする学科によって “運” の要素も作用するので、きちんとした評価が難しいという意見も多かった。
それで2000年代から本格的に導入された方式が “随時制度” だ。
“随時入学制度”
文字通り、随時で入学生を選抜するという意味で、既存の修学能力試験の成績で選抜する方法は定時(定時、定時入学制度)と呼んでいる。
随時は定時募集前に内申成績と学生簿評価を基本に選抜する方式で、定時は修学能力試験点数を基本に選抜する方式だ。
随時制度は2002学年度から比重が大幅に拡大して以来次第に増え、今は80%に近い割合を占めている。
そのため、2000年代の韓国の学生にとって内申点は従来の修能試験の点数よりも重要になったのだ。
定時と随時の比率が完全に変わって、今では修学能力試験なしでも大学入学が可能だ。
入学査定官が必要な理由
随時制度は試験1回ですべてが決定される弊害を減らし、高校時代に着実に積み上げてきた内申成績を反映するため、学生たちの修学能力試験に対するストレスを減らし、学業成就度のレベルを高める効果がある。
“随時” という名称のように、大学別の募集日程と基準に対する自律権が保障され、各大学と学科で希望するオーダーメード型人材を選抜できるようになった。
大学によって異なるが、ほとんどは高校3年生の1学期に選抜している。
修学能力試験という一発の強力なストレスを受けるか、内申成績という何気に地道なストレスを受けるかの違い?(笑)
アメリカの入試を参考にしたこの制度は、初期には “入学査定官制度” と呼ばれていたが、随時入学制度に名称が変わった。
大学別、学科別基準に従って提出された学生たちの資料を各学校の “入学査定官” が判断して選抜する方式だ。
国英数の科目を中心にだけ評価した修能試験とは異なり、全教科の内申点数を反映する場合が多く、担当教師たちの評価が含まれた “学生簿” を一緒に含むので、大学ごとに多様な選考が実施でき、学生たちも各自の素質と成績に合わせて志願が可能だ。
学校生活記録簿(학교생활기록부)は小·中·高校生の成績を記録した帳簿のことで、略して“学生簿(학생부)” または “生記簿(생기부)” と呼ぶ。
教師の評価と学生時代の活動(生活)の内訳は数と点数ではないから、これを”判断”しなければならない人が必要なんだ。それが “入学査定官”。
学校生活記録簿って何?
これまでは内申成績と学生の人柄評価が一行ほど書かれているくらいだったが、範囲を拡大して生徒の校内外活動の内訳全体とさらに深い教師の意見を盛り込んだのが学生簿(生記簿)だ。
学生簿(生記簿)には教科活動、教師意見、部活動、ボランティア活動、受賞経歴、読書活動、進路活動、自律活動などの項目別に年間500文字から700文字以内の記録をすることになっている。
特定の学生にあまりにも多くの情報を書いたり、疎外される学生にあまりにも少なく記録してはいけないということだよ。
これらの記録は “ナイス(나이스)” と呼ばれる教育行政情報システム(NEIS: National Education Information System)に入力する方式で、教師や学校の思うままに修正したり追加したりすることはできず、保護者や学生もオンライン照会が可能なシステムで、大学志願時には出力して提出している。
学校と塾だけが行き来していた韓国の学生たちが、学生簿にできるだけ多くの情報を満たすために部活動やボランティア活動をするようになったのは幸い肯定的な要素だ。
日本の学生たちが一番羨ましかったのが、多様な部活動だよ!
保護者説明会と入試コンサルティング
内申等級制度の限界
随時制度が活性化され1番大きな変化は、塾の講義と国英数の科目だけを重視していた文化が、少しは良くなったということだ。
塾の講師に押されて無視されていた教師の権限が強くなるなど、公教育の強化に肯定的な影響があった。
だが、生徒たちが教科成績だけに没頭せず、正しい人格を育てながら、自分だけの長所を生かせるように作ったこの制度の問題点は一言でいうと、複雑だ。
各活動が認証を受けられる要件から履修のための基準時間と方法まで、あまりにも多様で複雑なため “情報の格差” が生じていた。
高い塾に通わせずに子どもの長所だけ活かして大学に通えますよ~という政府の広報に親たちは騙されたのㅠㅠ
内申成績は科目別に9段階の等級制で運営されて等級による格差が大きくない。
上位圏の学生の場合、ほとんどが1~2等級なので、大学の立場では等級だけで志願者の成績の差を区分することは難しい。
内申等級は高校ごとに、学生全体の学力水準と学校試験の難易度によっていくらでも変わることがあるので、各大学ごとに出身高校による加算点を付与する内部基準がある。
学校全体の平均学力が高い江南8学区の名門高校生の場合は、内申等級が低くても加算点を与える方式だ。
学校別試験は修学能力試験のように全国的に順位が出ないために現れる現象だ。
今の韓国の学生たちは「お前何位?」の代わりに「お前何等級?」と聞いている。
ドラマ『SKYキャッスル』が出た理由
しかし、出身高校による加算点にも限界があるから、同じ等級の内申成績なら学生簿(生記簿)が重要になるのだ。
みんな似たような部活動やボランティア活動だけでは差別性が生じないので、自分だけの強みを作って強調しなければならないが、学生簿に記録として認められる条件から自分が望む大学の入試情報まで種類も多く複雑なので “保護者説明会” や “入試コンサルティング業者” ができたのだ。
ドラマ『SKYキャッスル』で数億ウォンの入試コーディネーターが登場した理由。
ドラマ『イルタ・スキャンダル』には塾主催の入試説明会の場面がよく出てくるけど、保護者が入試制度を勉強してこそ、子どもに必要な書類を準備できるからだ。
特に最も多く使われる方式が “受賞経歴作り” で、数学や科学分野の競技大会をはじめ各種分野別の受賞履歴が非常に重要だ。
しかし、子どもが目標とする学校(学科)で、どの程度加算点を与えるのか、どの受賞履歴がその大学で認められて認められないのかを知らなければならないので、情報がなければ何もできない。
子どもが属している高校の内申点数に対する加重値から受賞履歴に対する加重値まで、大学ごとに基準が異なり、当然のことながら、これらすべては該当大学の対外秘事項であるため、一般の保護者は情報が不足せざるを得ない。
学校や塾で教えてくれる入試情報では細かい準備ができないんだよ。専門業者が存在する理由!
自己紹介書?自己紹介小説!
このような情報の格差は、最上位圏の大学を目標にするほど大きく広がり社会問題になっているが、特に上位圏の学生たちの競争が激しい医大と法学部が激しい。
今は過去のように「貧しい家庭だから教科書だけで勉強したのに修学能力試験満点を取って医大に進学できました~」が不可能な理由が、
勉強が上手で内申1等級を受けることはできても、各種受賞履歴や海外ボランティア活動、語学研修加算点などは保護者の能力によって変わるからだ。
語学研修は夢にも見られず、学校から授与される賞状はもらえるが、郊外で主催する様々な大会に参加することさえ情報とお金が必要だからだ。
格差が大きくない最上位圏では、小数点1つでも増やせる学生簿の項目1つが大きな影響を及ぼすの。
彼らだけのリーグが繰り広げられている最上位圏の学生たちの競争で大きな格差を作ることの1つがまさに “自紹書(자소서)” だ。
“自己紹介書(자기소개서)”
内申成績、学生簿(生記簿)と一緒に必ず提出する書類で、入学査定官に自分について説明する文だが、韓国では “自己紹介小説(자기소개 소설)”、“自小説(자소설)” と呼ばれるほど変質して運営されている。
学生の強みと能力をアピールするために過去の履歴を包装できるように自己紹介書を代わりに書いてくれる専門業者がいるのだ。
学生簿全体の運営方向についてコンサルティングを受けてから、細部項目別に専門業者の助けがさらに必要だという話だ。
結局、お金にお金がまた追加される状況で、今は就職のための自己紹介書業者もいる(一一”)
ドラマ『イルタ・スキャンダル』と『SKYキャッスル』の違い
結局、基本的な書類準備から様々な活動追加のための “スペック積み“(多様な履歴を学生簿に追加する)には情報とお金が必要なので、多様な長所の学生を選抜し、学生たちの学業負担を減らすために始まった随時入学制度は、富裕層の子どもたちの高速道路ETCとして活用されている現実だ。
修学能力試験時代までは存在した“小川で龍が生まれる(개천에서 용이 태어난다)” という文章が、今は“江南で龍が生まれる”、“金持ちの家で判事が生まれる”に変わった状況。
SKY(ソウル大学、高麗大学、延世大学)と呼ばれる韓国の名門大学は、韓国を代表する学校であるだけに、小川(貧しい家庭)で生まれた龍のための国家奨学金制度が非常によく整備されているが、2017年の教育部の調査によると、SKY在学生の73%は国家奨学金が必要ない “金のスプーン” 出身だそうだ。
富の継承が自然に行われている韓国の入試制度。
結局、学校だけ熱心に通って内申成績だけ良いだけでは、限界があるしかない現実なのだ。
熾烈な内申競争を見せるのがドラマ『イルタ・スキャンダル』なら、最上位圏の学生たちが医大、法学部に進学するためにスペックを作るのが、ドラマ『SKYキャッスル』の姿なのだ。 話題の “私の部屋の中にリビング(내 방 안에 거실)” という新造語を作ったお金持ちの子どもの写真をもう一度見ながら今日はここで終わり~!