名前にも階級があった 両班と賤民
韓国に金・李・朴・崔さんが多い理由は以前紹介したとおり!
朝鮮後期以降、猫も杓子もみんな姓(名字)を持つようになってから起こったことなんだけど、逆に、朝鮮中期までは姓があるということだけでも上流階級という意味でもある。
これをもとに韓国歴史ドラマを鑑賞するときのちょっとした情報を1つ紹介!
普通は服を着た姿だけ見ても分かるが、格下げされた家の主人公が貧困の中で復活するストーリーが多いから、服は乞食のようだが、姓がある名前ならその人の家の過去を知ることができる。
結局、韓国の歴史ドラマによく出てくる変な名前の大半は、奴婢や賎民の名前だ。
奴婢がテーマだった人気歴史ドラマ『推奴』(2010)の場合、男性主人公は「イ·デギル(이대길)」だが、女性主人公の名前は「オンニョン(언년이)」。オンニョンの兄の名前は「クンノム(큰놈)」。
ある(어느)+あま(女性を罵った言葉:년)、オンニョンの「ニョン(년)」は韓国でよく使う「狂ったあま(女)、悪いあま(女)」などの悪口で「ノム(奴:놈)」と一緒に使う単語なので、「ニョン(女:년)、ノム(奴:놈)」は現代韓国人の名前では使わない。
これはまだマシなケースで、奴婢や子どもの場合は「ケットンイ(犬のうんこ:개똥이)」、「マルトンイ(馬のうんこ:말똥이)」、「ソトンイ(牛のうんこ:소똥이)」などのうんこ(トン:똥)シリーズから、親切に(?) 漢字で作ってくれた姜阿只(カンアチ:강아지(仔犬))、松牙之(ソンアジ:송아지(仔牛))、亡阿只(マンアジ:망아지(仔馬))の動物シリーズがあり、その(저)+あま(년)か、どの(어느)+あま(년)か分からず「オンニョン(언년이)」や「小さいあま(작은 년)」、「小さい奴(작은 놈)」といった悪口シリーズもある。
女性たちがよく使っていた「雪中梅(설중매)」、「菊香(국향)」、「蓮花(연화)」などの植物シリーズは、たいへん美しい名前に当たる。
家主との契約で働く平民を表す「モスム(作男:머슴)」と、賎民・奴婢の名前「トルセ(돌쇠)」、「マダンセ(마당쇠)」、「カプドリ(갑돌이)(男)」、「カプスン(갑순이)(女)」は現代の韓国でも労働者と力の象徴としてよく使われる言葉で、「キョウリ(冬:겨울이)」や「ヨルミ(夏:여름이)」のように生まれた季節や時間を象徴する名前もあった。
韓流ドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』(2003)の主人公の名前である「チャングム(장금)」も時間の概念が含まれている女性の名前で、当時の発音は「長い」という意味で「ギルグミ(길금이)」と呼ばれたのだろう。
美しい外見を表現するコプダンイ(곱단이:古邑丹伊)、イェブンイ(예분이:礼分伊)という名前もあるが、名前だけを見ても、当時の奴隷の主人が彼らをどのように待遇していたのか分かる。
もちろん、奴婢の名前をつけてくれるだけでもマシだ。ただ数字で呼ぶ場合も多かったから。TT
朝鮮の王の名前が一文字の理由 廟號(묘호)と 諱(휘)
卑しい差別の1つに、奴婢たちの名前には、両班(ヤンバン)や平民の名前にあまり使わない漢字を使うので変な漢字が多い。
同じように両班や平民も、王の名前に入る漢字は使えなかった。
中国に伝わる伝統で、王の名前に入る漢字を書いたり、むやみに呼ぶこともできなかったので、朝鮮時代の王たちの名前のほとんどは1文字だ。王の名前の漢字を1文字にして民衆が不便を感じないようにする「配慮」らしい。配慮…
1文字の名前が配慮があるっていうこと?
だから王の名前には、難しくてあまり使わない漢字を使ったそうだよ。王のせいで、その漢字を使えなくなるから、あえて難しい漢字を使って、名前も1文字で。ここまですれば、あの時代の配慮じゃない?(笑)
一般的に、王の名は「廟号(묘호)」で呼んでいるので、本名である「諱(いみな:휘)」を知らない場合が多く、2007年の人気歴史ドラマのタイトル「イサン(李祘:이산)」は、韓国人も「イサン(李祘)って誰?」という反応が多かった。
韓国で世宗大王級の聖君として学ぶ “正祖(정조)” の本名は李祘(イ·サン)だ。正祖は知っていながら、本名は知らないことが多い。水原華城に行ったことのある人は正祖を聞いたことがあるだろう。
そういえば、ドラマ『根が深い木(뿌리 깊은 나무)』(2011)で、世宗大王の本名は “李珥(イド)” ってことを知った!
韓国人もその時に知った人が多いんだよ。実は私も^^;(笑)
映画『王の運命 歴史を変えた八日間(사도)』(2015)に出てくる思悼(サド)の息子が正祖だよね?
正解!
歴史ドラマ・映画は、それなりに役に立つ良い勉強方法だと思う!
1文字名の使用は、朝鮮時代の前の高麗時代にも王族の特権のように使われたが、特異なケースとしてドラマ『ホジュン(1999)』の姓、“許(ホ・허)氏” 家門があげられる。
許氏は伽耶国時代、王族の姓であり、太祖·王建(高麗の建国の王)を助けて高麗の開国功臣だった。 決定的な助けをした開国の功臣という準王族の地位を得たため、1文字の名前が許され、その後も規定を無視して1字の名前を誇りのように守ってきたという。
そのため、許氏一族は今でもほとんどが1字系の名前を使っている。
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