これまでドラマ『イルタ・スキャンダル』に出てくる韓国の入試制度と教育熱についてご紹介してきたけど、今日はチェ·チヨルが食べる “ご飯” についてお話しするよ!大変な時に食べた考試食堂のご飯からナム・ヘンソンのお弁当まで追跡してみよう!
大峙洞(デチドン)で学生たちの入試競争が繰り広げられている間、ソウルの西側では成人たちの考試競争が激しいという。ソウルで物価が一番安いという”鷺梁津(ノリャンジン)”の話もあるよ~!
チェ·チヨルのご飯
チェ·チヨルの涙
偶然の誤解によってナム・ヘンソンに追われていた1兆ウォンの男、チェ·チヨル。
韓国の私教育市場を先導するイルタ講師だが、派手な見た目と違って栄養失調にかかって入院までする身だった。
チョン·スヒョン学生の死によるトラウマのせいで毎日悪夢を見て、敏感な性格によって摂食障害まであったからだ。
ナム・ヘンソンに追われながらも数学的計算をする性格だから消化がよくなるはずがないよ(笑)
そんなチェ·チヨルのためにチ·ドンヒ室長が見つけた “国家代表おかず店”。
どんな美味しい店の食べ物も口に合わなかった彼が、お弁当を食べた瞬間涙を流した。
食べ物の味に感動して涙まで流すのは無理な設定のようだが、チェ·チヨルには事情があった。
苦労して任用試験を準備していた彼を慰めてくれたご飯一食、貧しかった考試生の空腹を満たしてくれたあの時の食べ物の味を再び感じたのだ。
“考試受験生のご飯”
このドラマは江南・大峙洞(デチドン)の塾街を背景にした入試競争が中心だ。
しかし主人公チェ·チヨルの基本設定からご飯まで、多くの意味を付与しており、ヒロインの職業もおかず屋の代表だ。 “ご飯とおかず“。
ご飯が1人の個人に与える意味と影響、人との関係性、そして家族の中で “ご飯” はどんな意味なのかまで見せてくれている。
それではチェ·チヨルが食べたご飯の話を始めてみよう~(笑)
考試食堂
考試生チェ·チヨルの家庭事情は良くなく、突然父親が亡くなってさらに難しくなった。
そんなチェ·チヨルを気の毒に思ってご飯を用意してくれた考試食堂のおばさんは、お母さんの役割までしてくれた方で、その方の料理の味だった。
お母さんが亡くなると誰もが恋しくなるという “母の味” のように、熾烈に生きるために忘れていたその味が思い浮かんだのだ。
家族もお金もないし、受験生だから未来もなかった時期の辛さを考えると、さらに思い出される味ではないかと思うㅠㅠ
母の突然の死で弟と姪との新しい母になったナム・ヘンソンは、国家代表ユニフォームの太極マークは守れなかったが、母の味と家族は守り抜いた。
ナム·ヘンソンの母親がその考試食堂のあのおばさんであり、母の料理の味をそのまま受け継いだナム·ヘンソンとの出会いはチェ·チヨルの多くを変えた。
考試食堂のご飯は多くのことを守り、多くのことを変化させた。
大変で辛かった時間を思い出すご飯、大変で寂しい時にナム・ヘンソンの母からもらった暖かさを思い出させるご飯。
チェ·チヨルの弁当、ナム・ヘンソンお弁当
考試食堂の “あの味” を見つけたチェ·チヨルは、密かにナム・ヘンソンのお弁当を楽しんだ。
自分だけの空間で、自分が好きな時間に、1人でも食べられる長所がある弁当を食べるチェ·チヨルはどこか寂しそうだ。
気難しいチェ·チヨルもおかずを選ぶ時だけは幸せそうに見えたが、ナム・ヘイのオールケアクラス脱落問題で、これ以上おかず店に行けない状況。
お弁当が食べられなくなると黒板に食べ物が見えるほど禁断現象を経験しているチェ·チヨル(笑)
もちろんご飯のためだけではないが、チェ·チヨルはナム・ヘイの秘密課外授業を提案した。
イルタ講師の個人課外授業は容易ではない決定であるにもかかわらず、チェ·チヨルが掲げた条件はナム・ヘンソンの弁当だった。
お互いの才能を交換する才能交換だが、あまりにもバランスがとれていない取引(笑)
しかし、チェ·チヨルの言葉のように価格と価値は違うもので、チェ·チヨルにとって弁当はそれだけの価値があったからだ。
秘密課外授業の後に食べる弁当は多分もっとおいしかったと思う。
この弁当にはナム・ヘイの母、ナム・ヘンソンの真心と感謝が込められていたから。もちろん夜明けの市場で買ってきた高級材料も入っている(笑)
塾の職員たちは既存の弁当もおいしく食べていたから、高級材料だからおいしいというわけではない。
それはお客さんでとして買った弁当と感謝の気持ちが込められた弁当の違いで、一人で食べるご飯と一緒に食べるご飯の違いだろう。
しかし、ホン·ヘインが買ってきた高くて流行の食べ物には勝てなかった。 それは仕方ないよ~(笑)
考試食堂の食べ物にはナム・ヘンソンの母親の関心と暖かさが込められていたので、ご飯を食べるチェ·チヨルの場面が寂しくは見えなかったが、チェ·チヨルが一人で食べていたお弁当には “あの味” はあるが “関係性” がなくてすべての場面が寂しそうに見えた。
しかし、秘密課外という関係と感謝の挨拶という感情が入り、その味は倍増し、チェ·チヨルの表情も明るくなった。
関係はあるが感情はない合コンの相手の女性ホン·ヘインとの食事シーンでも、チェ·チヨルは表情で表している。
高級レストランでナム・ヘンソンの家族との食事シーンを見ると洋食が嫌いなわけではない。結局 “誰と” 食べるかが重要なだけ。
ナム·ヘンソンのおうちごはんとチャン·ソジンのおうちごはん
カップルになった後、ナム・ヘンソンの家族と一緒にご飯を食べる場面のチェ·チヨルは幸せな表情だ。
関係や感情、思い出の味まで全て込められているので、弁当を食べても、家のご飯を食べても、チキンを食べても口の中いっぱい食べられたのだろう。
チェ·チヨルはもう一人ではなく “一緒に” だったから。
彼らと家族になるために馴染んでいく間、毎晩苦しめられていた悪夢も次第に消えていた。
結局、チェ·チヨルにとってどんな薬や医者より良い治療剤は、人間関係の回復だったのだ。それはご飯を通じて行われた。
バン·スアにすべてを合わせたチョ·スヒのやり方も、イ·ヒジェにそっぽを向いたチャン·ソジンのやり方も一方通行に過ぎず、正常な家族の姿ではなかったが、16話でチャン·ソジンが別居中だった夫を食事に招待し、長男のイ·ヒジェに卵焼きをあげるのは、だから象徴的な場面なのだろう。
そのご飯とおかずが与える意味を私たちは知っているから。
だからといってソンジェもいるのに、ヒジェにだけあげるのはちょっとひいきじゃないか(笑)
鷺梁津(ノリャンジン)考試院と考試院
成人受験生たちの大峙洞・鷺梁津(ノリャンジン)
ソウル汝矣島近くの鷺梁津駅のすぐ前にある “鷺梁津学院街(노량진 학원가)” 一帯は消防職や警察職などの公務員試験、教師任用試験準備学院が数十校余りと考試院、ワンルームが入り混じっている。
韓国で公務員を準備する公試生(公務員試験の準備をする受験生)は、誰もが必ず一度は通っていくというところが鷺梁津学院街だ。
この地域は “成人受験生たちの大峙洞” と呼ばれているが、大学入試競争の大峙洞を経た学生たちは大学卒業後、ここで就職競争をしている。
『イルタ・スキャンダル』のチェ·チヨルも教師任用試験を準備したからここで勉強したはずだ。
公務員や教師任用試験は普通短期間で合格することが非常に少なく、地方から上京して寝泊まりしながら勉強をすることが多い。
それでここには考試生のためのワンルーム(コシテル)と考試院などがある考試村が形成されている。
浪人生、三浪生、四浪生も珍しくなく、長期間居住している受験生が多く、塾代の他にも費用が多くかかる構造だ。
経済事情が良くない受験生を対象にする地域だからノリャンジンは韓国で物価が安いところで有名だ。
上の写真の規模の考試院(コシウォン)の場合、普通50万ウォン前後の家賃だったが、最近はノリャンジンもたくさん値上がりしているそうだㅠㅠ
考試生のための安い食事
受験生のほとんどが20代の年で、“一人ご飯” をよく食べるので、鷺梁津の食堂には一人ご飯族のためのメニューが多い。 特に、食欲旺盛な青年たちなので、食べ放題の食堂が多いのが特徴。
それで食堂だけでなくアイスクリーム、トースト、生フルーツジュース、サンドイッチ、串焼き、ワッフルなど20~30代向けのおやつを売っているお店もたくさんある。
もちろん食堂とおやつともに値段はソウル市内のどこよりも安く、量も多くて値段は安いところが鷺梁津だ。
その中で鷺梁津を代表するのがカップ飯と考試食堂(考試ビュッフェ)。
以前はドラマ『イルタ・スキャンダル』のように一般食堂の形態が多かったが、最近はほとんどバイキングスタイルに変わって“考試食堂(고시식당)” あるいは “考試ビュッフェ(고시뷔페)”と呼んでいる。
低価格で人気なので、近所のサラリーマンや一般の人もよく利用する。
そしてもう一つの代表メニューである “カップ飯(컵밥)” は、ここでできたフランチャイズが海外で大ヒットしたほど新世代に人気だった。
忙しくて時間が足りない受験生たちが路上の屋台で立って食べたり、考試院に持ち運べるように茶碗にすべてのおかずを一度に盛った構造で、低価格と簡単さが長所だ。
考試ビュッフェは普通5~6千ウォン、カップ飯は3~4千ウォン程度の値段で、ご飯一食1万ウォンが基本の最近の韓国の物価を考えるととても安い。
他の所に比べて無条件量が多いから価格は本当に安いんだよ。
ドラマ「一打スキャンダル」に出たチェ·チヨルのご飯を通じてご飯が与える意味とノリャンジンの考試ビュッフェまで調べてみたが、成人の大峙洞「ノリャンジン」の文化と食べ物に対する本格的な記事でまた戻ってくるよ。