今日はソウルの東側の江南(カンナム)ではなく、西側の鷺梁津(ノリャンジン)についての話。汝矣島(ヨイド)の近くにある韓国最大の水産市場、大人の公務員天国と呼ばれる鷺梁津の安くておいしい多様な食べ物、韓国の就職難と公務員の生活文化まで調べてみよう!
ソウルで一番安くてボリュームたっぷりのご飯とデザートが食べられる♥ たくさん食べる人におすすめのコース(笑)
ソウル汝矣島(ヨイド)と鷺梁津(ノリャンジン)
63ビルと鷺梁津(ノリャンジン)水産市場
漢江(ハンガン)の南西の下、汝矣島(ヨイド)にはソウルを象徴するビルが一つある。金色で目につく63ビル。(63階建てなので63ビル)
このビルの前では、毎年ソウル花火大会が開かれ、漢江公園があって多くの人が訪れる場所の一つだ。 最近は汝矣島に “ザ現代ソウルモール” ができてショッピングも楽になった。
しかし今日お話しする鷺梁津(ノリャンジン)地域は、すぐ隣にあるが高層ビルが立ち並ぶ汝矣島とは違い、非常に立ち遅れた地域だ。
63ビルの隣を通るオリンピック大路の向こう側に見える鷺梁津が今日の主人公。
汝矣島(ヨイド)はチャムシルみたいに元々島だったから汝矣島と鷺梁津の間には小さな河川が流れていて、近いけど遠く見える!
鷺梁津(ノリャンジン)は西海と仁川(インチョン)から来る船が休む交通の要地だったため、高麗時代から海上交易をしていた漁村地域として有名だった。
それで水産市場がここにあるんですが、63ビルの隣にある”鷺梁津水産市場“は韓国最大の水産市場で、日本で例えると東京の築地市場。
海産物が好きで、韓国式の刺身やワタリガニ蒸しなどを安くてボリュームたっぷり食べたいならおすすめだけど、私みたいに複雑なところが嫌いならおすすめしない場所(笑)
市場なので相場を知らない一般人はぼったくられるかもしれないけど、それでも他のところよりは安くて新鮮だよ!
ソウルで一番安い
鷺梁津(ノリャンジン)学院街と江南(カンナム)開発
水産市場の隣に位置する鷺梁津駅の塾街は、前回の記事(リンク:ドラマ『イルタ・スキャンダル』解説➁ チェ·チヨルの涙、ノリャンジンカップ飯と考試院食堂)で説明したように、各種公務員試験と教師任用試験などを準備する公試生(公務員試験を準備する受験生)が多い場所だ。
ここに塾街ができた理由も、1970年代の “江南開発” のためで、江南の記事(リンク:韓国で1番地価が高い土地 ソウル・江南(カンナム)の始まり)で江南への移住のために強制的に有名学校を移転させたというが、その次の対象は当時の有名塾だった。
1980年代初め、すでに江南の不動産価格が上がってしまって反対側の西側に塾が集まっていたのだ。それで現在江南(漢江の南側)の東側には今の江南区8学区があり、西側には鷺梁津(ノリャンジン)があるのだ。
韓国で有名な大学入試塾 “鐘路塾(종로 학원)” が鐘路にない理由(笑)
どうにかして江北から人を追い出すという意志(笑)
多様で安価な食文化
メイン道路周辺には各種塾があり、その奥には長期間試験に挑戦する受験生のための考試院(コシウォン)、考試テル(コシテル)などの宿舎と、カップ飯と考試食堂(考試ビュッフェ)に象徴される多様な飲食店が用意されている。
経済事情が良くない受験生が多いため、鷺梁津は食べ物と生活物価がソウルで一番安いところとして有名だ。
鷺梁津の象徴はカップ飯と考試ビュッフェ、スーパーマーケットセールだよ~!(笑)
最近はありふれた食べ物のカップ飯は、一皿におかずまですべて盛られていて忙しい受験生にはとても手軽な食べ物だった。
歩道を混雑させ、非衛生的な露天商を一か所に集めてリニューアルしたのが今の “カップ飯通り(컵밥 거리)” だ。 鷺梁津には露天商でない食堂でもカップ飯のメニューを見つけることができる。
普通はご飯の上に目玉焼きを基本にハムや豚肉炒め、ツナやキムチ炒め、チーズなどのトッピングメニューを追加して食べるスタイル。もちろん肉が入ったり、トッピングが追加されるほど値段は高くなる。
基本価格は3000ウォン台から始まり、最近は3500ウォンから5000ウォンの間が最も多いという。注文は店の前の食品サンプルを見て選べばいい。
若者の口に合わせてあるからトッピングの種類がとても多いよ★
キノコ+タコさんウィンナー+サムギョプサル+ご飯+ソース+天然チーズを着せたフライ+マグロ+のり粉+スイートコーン+ごま+炒めキムチ+マヨネーズなど、すべての材料を一緒に入れた皇帝カップ飯(황제 컵밥)が有名なので、一度は味わってみるのもおすすめだ。
値段は7000~8000ウォンぐらいだそうだが、鷺梁津でこの値段なら皇帝だ(笑)
そして有名な “考試ビュッフェ(고시뷔페)” は韓国の “運転手食堂(기사 식당)” とほぼ同じで、豚肉炒めやプルコギのようなメインおかずにトッポッキやチャプチェ、キムパプ、餃子などのおかずとスープ、ちょっとした果物やデザートがある。
当然食べ放題だが、運転手食堂との差は、2~3,000ウォン安い価格だ。
韓国の運転手食堂が気になってたけど探すのも難しくて雰囲気が気まずい人は考試ビュッフェで経験すればいいよ~(笑)
考試ビュッフェは普通1人5,000~6,000ウォン程度の値段に上がってはいるが、ご飯1食に1万ウォンが基本の最近の韓国の物価を考えると非常に安い。
特に食券制度で運用しているため、1枚6,000ウォン、10枚50,000ウォン、1ヵ月(3食)26万ウォンのような方法を利用すれば、より安く利用できる。
1人3,000~4,000ウォンの時期よりは大幅に上がったが、他のところはもっと上がったから絶対安い。 さらに量は絶対もっと多いし。
他にトースト、ワッフル、生フルーツジュース、サンドイッチ、串焼きなどのおやつの値段もソウル市内のどこよりも安いので、食べることだけを考えると一度は見物する価値のある場所だ。
運転手食堂よりは若い世代の好みのメニューがもっと多いよ♥
大手スーパーより安い町のスーパー
物価が最も高いソウルという特性まで考慮すれば、食べ物と考試院(コシウォン)の価格は安いが、それでももっと生活費を節約しなければならないので鷺梁津にはセールをするスーパーマーケットが多い。
“在庫一掃(땡처리)”と呼ばれるセールをするスーパーが多くて食料品代も節約できる。
その中で一番有名なところが신세계 마켓(新世界マーケット)(旧グッドモーニングホームマート)と呼ばれるスーパーがあるが、韓国人の間でも鷺梁津に行ったら必ず立ち寄らなければならない名所だ。
飲み物やパン菓子などが特に安く、飲み物は100ウォン~200ウォンもたくさん取り揃えており、お菓子もほとんど1000ウォン以下の金額で購入できる。
鷺梁津学院行きの地下鉄駅に近いので、最近は外国人の訪問も増えたそうで、最低費用で様々な韓国料理やデザートまでお腹いっぱいに解決したいなら訪れる価値がある。
1万ウォン出せば何箱か持って帰れるという伝説のスーパー(笑)
韓国の就職難と受験生の生き方
韓国の就職難
この地域は今では “大人の受験生たちの大峙洞” と呼ばれているが、初期は大学入試塾が多くて、ここが今の大峙洞(デチドン)の役割だった。
鷺梁津初期の1980~90年代には大学入試塾が中心軸だったが、ほとんどが江南大峙洞と木洞に移り、1997年の韓国の “IMF通貨危機” による就職難の時期から公務員と教師志願者が増え、今の大人の塾街に変わったのだ。
史上最悪の就職氷河期で安定的な働き口である公務員の人気が上がったのだ。結局、今の熾烈な就職競争の始まりを告げたのが1997年の韓国の “IMF通貨危機”。
韓国の多くのことを変えたIMF通貨危機は、また別の記事で解説するよ。
数十年間続いた就職難と公務員試験の激しい競争率のため、就職のために何年も投資するのが基本の今の韓国社会は問題が深刻だ。
働き盛りの若い世代のほとんどが塾や読書室に数年間閉じ込められている状況で、 “公試浪人(고시낭인)”という単語が生まれたほど。
考試浪人は普通、試験準備期間が4~5年を超える長修生、N修生を呼ぶ言葉で、閑良(職に就かず遊んで暮らす人)の意味と似ている。
上記のアンケート調査を見ると、試験準備期間が長くなるほど進路変更の意向が高いが、低い合格可能性と経済的負担などが理由で調査された。
検事判事が待遇を受けた軍事政権時代には司法試験の長修生が多かったが、今は公務員試験さえ長修生が非常に多い。
上の写真のおじさんはソウル大学法学部卒業後、数十年間司法試験を準備していて精神的に異常が生じたケースで、こんな事例を防ぐためにも国家的な対策が必要な状況だ。
最近のニュースでは最低賃金が上がり、公務員の競争率が少し下がっているという。
グループスタディ(勉強会)と同居文化
鷺梁津がいくら安いとしても、試験期間が長ければ長くなるほど、両親は経済的負担が大きくならざるを得ない。 塾代と家賃を中心に毎年急騰しているから。
特にここ数年、韓国の不動産価格の高騰によって家賃が大幅に値上がりし、かなり増えたのがグループスタディと同居文化だ。
受験生のほとんどは家を離れて長い間1人でいるため、一緒に情報を共有して勉強する人を探すことになるが、最近韓国の社会問題である“カゴン族(카공족:카페에서 공부하는 사람들・カフェで勉強する人たち)” 文化を利用して、一般カフェやスタディカフェで一緒にグループスタディ(勉強会)をするのだ。
ほとんど少数のメンバーでグループスタディを始めるが、最終的には男女が出会い同居まで繋がることが多く、韓国では“セクタディ(섹터디:セックス+スタディ)”と呼んでいる。
公務員や教師志願生が多い鷺梁津地域には公試セクタディ(공시섹터디)があり、一般企業の就職に必要な英語塾が多い江南地域にはTOEICセクタディ(토익섹터디)があるという言葉が流行するほどだ。
期間は長くなり、費用は増えるので若い男女が生活費を削減するための仕方がない選択なのだㅠㅠ
大人の公試生たちの天国・鷺梁津の多様な食べ物から考試浪人問題と同居文化まで調べてみたが、学生の頃は大峙洞(デチドン)で競争して、大人になったら鷺梁津で競争しなければならない可哀想な韓国の青年たちが皆合格することを願いながら記事を終える。
鷺梁津カップ飯通りの様々なメニューの映像を見ながら終わるよ~(笑)