韓国の歴史試験 “韓国史能力検定試験” とは？

おはる

みなさんこんにちは！

今回は韓国でも人気の韓国史の試験「韓国史能力検定試験（한국사능력검정시험）」について紹介します。韓国史の勉強に興味がある方は、ぜひ試験に特化した韓国史の勉強にもチャレンジしてみてください♪

・・・目次・・・

韓国史能力検定試験とは？
難易度
韓国史能力検定試験の出題形式
実際の問題を紹介！
実際に問題を解いてみよう！
受験資格・どうやったら受験できる？

韓国史能力検定試験とは？

韓国史能力検定試験（한국사능력검정시험)

・試験公式HP：국사편찬위원회 한국사능력검정시험
・韓国史能力検定試験（한국사능력검정시험）
　→　約して　“韓能検（한능검）”と呼ばれる
・韓国の国家機関の韓国史編纂委員会が主管する資格試験（※国家試験ではない）
・韓国国内で試験を実施（※過去に日本でも実施されたことがあるが、近年では実施なし）
・年６回程受験チャンスがある
・公務員を目指す人には、ほぼ必須の試験
・試験は深化と基本の２つで取得点数により１～６級に分けられる
　(１級が最上級)

ここ最近では、アイドルのI･O･Iキムソヘさんが１級、NCTのドヨンさんが２級、元Secretのヒョソンさんが３級を取得されたことで話題にもなりました。

難易度

試験は難易度により「深化」と「基本」の２つに分かれており、点数によって級が決まります。どちらも100点が満点で、問題は全てマークシートで答えます。記述式問題はありません。

おはる

2020年5月実施の第47回試験より試験のレベルが、現在の「深化（심화）/　基本（기본)」の２つになりましたが、それまでは「高級（1･2級）/ 中級（3･4級）/ 初級（5･6級）」の３つに分かれていました。なので2020年以前に発行された韓国史能力検定試験のテキストなどは難易度が３つに分かれているので注意が必要です。

韓国史能力検定試験の出題形式

１．歴史知識の理解
歴史探究に必要な基本的な知識を持っているかを問う領域です。歴史的事実·考え方·原理などの理解の度合いを測定します。
２．年代記の把握
歴史の連続性や変化、発展を理解しているかを問うエリアです。歴史の出来事や状況を時代順に正確に理解し、因果関係を把握できるかを測定します。
３．歴史状況と争点の認識
提示された資料から解決すべき具体的な歴史状況と核心的な論争点、主張などを見つけられるのかを問う領域です。文献資料、図表、写真などの形で与えられた資料から解決すべき課題を捕捉したり、弁別したりする能力があるかを測定します。
４．歴史史料の分析および解釈
資料に現れた情報を解析し、その意味を把握できるのかを問う領域です。情報分析を基に資料の時代的背景と社会的意味を解釈できるかを測定します。
５．歴史探求の設計と遂行
提示された問題の性格と目的を考慮に入れ、手続きと方法に従って歴史探求を設計し、遂行する能力があるかを問う領域です。
６．結論の導出及び評価
与えられた資料の妥当性を判別し、いくつかの資料を総合して結論を導き出すことができるのかを問う領域です。
한국사능력검정시험 시험 개요

実際の問題を紹介！

おはる

では、具体的にどんな問題が出る試験なのか、実際に試験に出題された問題を紹介します！（第54回から抜粋）

基本・深化どちらの試験も問題の難易度によって配点が１～３点に分かれています。
※問題は全て韓国語ですが、問題の紹介のために日本語訳を準備しています。

【基本 / 기본 】４・５・6級

韓国史の基本課程としての基礎的な歴史常識をもとに、韓国史の必須知識と基本的な流れを理解できているかを図る問題が出題されます。

＊配点１点の問題

イラストの中に、大きな瓦と龍頭の像の写真があります。
この写真が大きなヒントなので、写真だけでも問題は解けるかもしれません。
答えは④海東盛国とも呼ばれた　です。

下線部の国家とは、高句麗が滅亡した後に、高句麗遺民の大作榮（デジョヨン／대조영）が698年に高句麗を継承して建国した「渤海」のことです。渤海の建国により、朝鮮半島では南に新羅、北に渤海が併存する南北国時代が始まります。朝鮮半島の日本とも交易があった国です。9世紀には渤海は中国東北部の大部分と沿海州まで領土を広げ、「海東盛国」と呼ばれる程栄えていましたが、10世紀初めに契丹に滅ぼされ、一部の人は高麗に吸収されました。

他の選択肢の答えは下記の通り。
①は高句麗（고구려）
②は高麗（고려）
③は統一新羅（통일신라）

＊配点２点の問題

朝鮮時代の王とその業績を問う問題です。
「２度の王子の乱」、「第３代王」、「六曹直啓制」がヒントです。

答えは「太宗（テジョン／태종）」で、②号牌法を施行した　です。
太宗の時に施行されたこの制度は、16歳以上の男子はみな号牌（名札）を携帯しないといけない制度で、人口数を把握し身分を証明するためのものでした。

他の選択肢の答えは下記の通り
①世祖（セジョ／세조）
③正祖（ジョンジョ／정조）
④高宗（コジョン／고종(興宣大院君／흥선대원군)）

＊配点３点の問題

朝鮮半島の国と文化遺産を当てはめる問題です。
この問題では「新羅」の文化遺産について問われているので、答えは①拜洞石造如來三尊立像が正解です。慶州にある三国時代の新羅の代表的な遺跡です。

他の選択肢の答えは
②高麗(고려)　③百済(백제)　④高麗(고려)

【深化 / 심화 】１・２・3級

１～３級レベルの深化レベルは、「韓国史の体系的な理解を基に、韓国史の重要な出来事と概念を総合的に理解し、歴史史料を分析・解析する能力、韓国史の流れの中で時代的な状況および争点を把握する能力を評価」とされています。基本的な知識を理解した上で応用能力を図る試験です。

＊配点１点の問題

この問題は、韓国の歴史書についての知識を問う問題です。
歴史書が書かれた時代、書いた人、与えた影響などなど…色んな形で出題されます。

この問題の答えは　④本紀、列紀など紀伝体形式で叙述されている　です。
問題の「歴史書」は妙清の乱(1135～36)を鎮圧した金富軾(キムブシク／김부식)が書いた＜三国史記（삼국사기)＞です。＜三国史記＞は韓国で現存する一番古い書物で、紀伝体形式(皇帝の年代記と個人の伝記とを合わせて記述する形式)で書かれています。

他の選択肢の説明の答えは以下の通り。
①＜발해고(渤海考)＞
②＜조선왕조실록(朝鮮王朝実録)＞　
③＜삼국유사(三国遺史)＞　
⑤＜동명왕편(東明王篇)＞

＊配点２点の問題

朝鮮時代の教育機関に関する問題です。
朝鮮時代の教育機関は、大きく分けて以下の通りに分かれています。
＊初等教育機関ー私立ー書堂(서당)、
＊中等教育機関ー国立ー中央の四部学堂(4부학당)
＊中等教育機関ー国立ー地方の郷校(향교)
＊中等教育機関ー私立ー地方の書院(서원)
＊高等教育機関ー国立ー中央の成均館(성균관)

問題では、地方教育機関をきいているので「郷校(향교)」についての説明の　④中央から教授や訓導を派遣した　が正解です。

他の選択肢の説明は以下の通りです。
①國子監(국자감)　②書院(서원)　③成均館(성균관)　⑤國子監(국자감)

*配点３点の難易度MAXの問題