
前回のコラムでは、朝鮮時代の人たちの驚きの食事量について紹介したよ!今回は、もっと深堀して、なんであんなに食べていたのか?について調べてみたよ!

出典:동아닷컴
沢山食べていた理由? 色んな仮説
朝鮮時代の人の身長は高かったから

当時の人たちは体格がかなり大きかったのかな?韓国の芸能人を見たらみんな身長が高いからさ!

私もそうかなって思ったよ!食べる量が多いということは、基本的な体格も大きかったからだろうって推測して、朝鮮時代の人たちの身長をまず調べてみたよ。
昔の人の身長を推測するのは、遺骨が手掛かりになるのだが、特に大腿骨(太ももの骨)。大腿骨の大きさである程度の身長を推測できるそうだ。
ソウル大学医学部で15世紀から19世紀までの朝鮮時代116人の大腿骨で平均身長を分析した結果によると、男性は161.1㎝、女性は148.9㎝だった。
今もそうだが、韓国人(朝鮮人)は当時東アジアではモンゴル人と共に体格が大きい方ではあるが、食事量の差が出る程ではなく、肉食を主にしていたモンゴル人に比べてむしろ体格が小さかった。

出典:동아일보
ちなみに同じころの日本人の平均身長は、男性が155㎝、女性が144㎝で、朝鮮の人よりも小さいけど、それでも食べる量が日本人の2~3倍にまで差がでるというのは相変わらずミステリーである。
これだけでは大食いの理由が十分ではないようだ。

何か他に理由がありそうだから、色んな意見を調べてみたよ!
タンパク質が不足していたので米で補うため

出典:연합뉴스
山地が多い朝鮮は、牧畜業や漁業が発達しておらず、人口密度も低く、肉を運ぶための交通網や長期保存方式が発達していないため、肉や魚は手に入らないことも多く、それによって足りないタンパク質を補うために米や豆、麦、粟などの穀物を沢山食べていたという説が主流である。
特に平民が食べるメニューは玄米などの雑穀とスープと野菜、キムチ中心のメニューなので、いくら沢山食べてもタンパク質や脂肪をバランスよく摂取出来ないので、お腹がすぐいっぱいにならないし、すぐお腹が空くので沢山食べていたというわけだ。
結局、炭水化物だけでも沢山食べて、足りない栄養を補っていたという仮説。

出典:매일경제
これはユッケジャンの由来の記事で一度話したが、農耕中心の朝鮮時代には肉類の摂取が不足して、犬肉のボシンタンを食べなければならなかったという状況を知っているため、ほとんどの人がこれを原因と考えるのだが、実は、歴史記録を見れば朝鮮時代の肉類摂取がそれほど不足しているわけではなかった。
<朝鮮王朝実録>よりも正確で詳しい歴史記録書である<承政院日記>には、何度も牛の屠畜に関する記録が出ているが、少なくとも朝鮮中期の17-18世紀には意外と多くの牛を屠畜しており、1日に千頭程度、1年に38万-39万頭が屠畜されていると記録されている。
当時、牛1頭から得られる肉が平均的に150~200kg水準だとすれば、当時の朝鮮人口対比1人当たり年平均牛肉消費量が約4kgだったと推定する学者もいるので、十分ではなくても途方もない食事量で補わなければならないほどの状況ではないという。

出典:에누리지식뉴스
もちろん言葉通り “平均の落とし穴” があるから、都市と遠い田舎の人ほど、階級が低いほど、肉を通じたタンパク質の摂取はより難しかっただろうが、この部分を補充する資料は両班の食事量と茶碗の大きさだ。
基本茶碗の大きさは平民が大きいが、両班たちはより多くのおかずと一緒に一日5食も食べたというから、2~3食食べていた平民たちよりもっと食べていたかもしれない(笑)

両班も平民と食事量がほぼ同じで、むしろたくさん食べることを自慢する文化もあったという(笑) これを見ると単純に肉とタンパク質の不足も理由ではないようで混乱し始める。

だったら、本当にただ沢山食べてたのかな?(笑)
きつい労働 エネルギー補充のため

出典:다음뉴스
それでも本当の理由があるだろうという考えで探してみたもう1つの仮説は、カロリーをそれだけ多く使ったという説。
朝鮮は商業を軽視し農耕中心の社会だったので多くの民が農業に従事した。今も農業は体力を使うことだが、朝鮮時代の農業は本当に重労働だった。
さらに移動手段もないので歩くことも運動だった時代で。寒い冬に家の中で暖を取ろうにしても、木を採って、背負って、切らなければならないように、日常生活で各種の重労働でカロリー消費が大きかったことも沢山食べていた理由ではないだろうか?
つまり、あまりにも労働がきつかったので、消耗したカロリーを多くの食事量で補充しなければならなかったという仮説だ。

可能性がありそう! そんなにたくさん食べていても、朝鮮時代の写真には太った人は見たことがないから!(笑)
また、自然災害や不作になれば、食糧が減るだけでなく、それに伴う農業労働の負担がさらに重くのしかかり、労働負担はむしろ増え、食糧不足の時期もしばしば来るので、エネルギーをあらかじめ補充できる時に多く食べておいた習慣に起因したのではないかということだ。

出典:동아사이언스
同じ時期の他の農耕国家も同様の労働の程度ではないかと思われるが、同じ穀物でも西洋で主に食べる小麦は米より70%以上タンパク質を多く含んでいるため、米を主食として食べる人々はタンパク質補充のためにより多くの量を食べるしかなかったということだ。

それでも、東南アジアや中国農耕地域の人々の食事量と比べても、依然として差が大きすぎる(笑)
気候と自然環境 保管方法の影響

出典:오마이뉴스
朝鮮人の食事量に対する外国人の記録のほとんどは、断片的で印象的な場面だけを記録したものだから、すべての記録をそのまま信じることはできないだろう。
朝鮮を訪れた外国人の中にはそれなりに深い関心を持って見守った人がいたが、その人は朝鮮人の食事量についてこういう主張をした。
朝鮮の人たちが沢山食べる理由として「家に食料保管をする場所がない。だから朝鮮の人は食料があればすぐに食べてしまう。そして湿気が多い気候だから、保管をしようとしても、すぐに傷んでしまうのだ。」と分析したそうだ。
当然のことのようだが、韓国でキムチのような発酵食品や明太子のように塩漬けして保管する塩辛類の食文化が発展した理由の1つではある。

出典:헬스코리아뉴스
これを前の大飢饉や凶作、自然災害などと一緒に考えると、長期保管場所の不備や気候によって積み重なってきた食習慣だと考えてみることもできると思う。
特に夏の湿った気候以外にも、朝鮮の冬も大変だったことを考えると、人間は寒くなれば基本的な体温維持のためにカロリー消費が大きくなり、早く空腹を感じるそうなので、気候も少しは関係していたのかもしれない。

そこに数回の戦争と大飢饉まで経験した朝鮮時代の人々が苦労した記憶があのために食糧がある時にまず食べておくという食習慣まで合わさって大食い文化になってしまったのではないかと思う。

何か虚しい結末~そしたら本当にただ沢山食べたってことなの?(笑)

色んな状況が合わさって、生存のための自然な選択ではなかったかな?(笑)
現代韓国人の大食いの痕跡
モッパンとポグンパッ

出典:네이트뉴스
まとめてみると、単に肉の不足や気候や環境だけでは説明が足りない”ただたくさん食べる“、”食べることを楽しむ“という独特な傾向があるようだ。
コラム「朝鮮時代の人は世界で有名な大食いだった?」の記事でも紹介した「ご飯は食べているのか?(밥은 먹고 다니냐?)」のような韓国人の言語使用のように、韓国の文化には “ご飯” に対する強い執着や重要性があり、実際の食生活でも“食べることをかなり楽しんできた”人々のようにみえる。
それを象徴的に見せてくれるものの1つが、全世界に “モッパン(먹방)ブーム” を起こした韓国のモッパンだと思う。

「なんであんなの見るんだろう?」と思うけど、とりあえず見ていると止められないよね(笑) 朝鮮の人が沢山食べる明確な理由を見つけることはできなかったけど、初期に韓国のモッパンYouTuberを見ていた私たちの心情が、朝鮮人の食事量を見ていた外国人宣教師たちの立場ではないだろうか?(笑)

出典:조선일보
このような韓国人の食性?も時代の流れによってダイエットや健康ブームとバランスの取れた食事管理まで流行し、今は米があまりにも多く残っているという。
しかし、韓国旅行をしたり、韓国人と食事をしたことがある人は分かると思うが、まだ朝鮮時代の食事量の名残が残っている部分を見つけることができる。
“食後ポグンパッ(식후볶음밥)”

出典:데일리
食後のポグンパッの代表的なメニュー、カムジャタンからタッカルビ、サムギョプサル、コプチャンにしゃぶしゃぶ、イイダコにトッポッキまで、どんな食べ物を食べても仕上げのコメントは、
“ご飯炒めてください(밥 볶아주세요)”
ほとんど全ての食堂のメニューにはメイン料理の下に「ポグンパッ(볶음밥)」が書かれていて、全ての韓国料理の必須コースのような感じだ。
※ポグンパッ(볶음밥)→볶다(炒める)+밥(ご飯)=炒めご飯

メニューに「デザートのポグンパッ(후식 볶음밥)」と書いてあるところもよく見かけるが、これが本当に「デザート」なのか、ご飯を食べたのに追加でご飯を食べるのがどうやって「デザート」になるのか分からない時が多い(笑)
韓国人の間ではメインメニューがポグンパッで、先に食べる肉や料理は前菜と呼ぶこともあるそうだ。
すべてはポグンパッを食べるために経る過程に過ぎない(笑)

問題は、まだ食べるの? お腹いっぱいなのに?と思うけど私も拒否できない味ㅠㅠ♥

出典:머니투데이
食事のシメをご飯にするのを見ると、韓国人には本当に大食いDNAが流れているのかもしれない。「ご飯に本気の民族(밥에 진심인 민족)」で合っているのかも…
ご飯と関連した面白い韓国語表現

出典:디스패치
このような韓国人のご飯に対する “本気”は様々な韓国語表現にも表れているが、多くの状況と感情を“ご飯” を通じて表現している。
韓国人がよく使うご飯に関する面白い韓国語の文章をいくつか紹介しながら、朝鮮人の食事量シリーズは終わりにする。

韓国人の友達がいたら使ってみよう‼
쟤 진짜 밥맛 없지않냐?
【直訳】あの子本当に食欲がないんじゃない?
【意味】顔だけ見ても食欲が落ちるほど見たくない、縁起が悪い、相手にしたくない
【解説】主に女性が若い女性や学生がよく使う表現
【似ている表現】 아휴~ 꼴 보기 싫어~ (꼴=모양=얼굴)
저래서 밥은 벌어먹겠냐?
【直訳】あんなふうにしてご飯はもうけて食べるのか?
【意味】無能力だ、自らの能力や他人に手にすることもできないほど情けない
【解説】主に大人や目上の人が目下の人や若い人を評価する時に使用
【似ている表現】그렇게 일해서 밥값은 하겠어? (밥값=밥의 가격=일당=월급의 가치만큼 일을 할 수 있는가? 약간의 무시와 한심함이 담긴 표현)
다 된 밥상에 숟가락 얹는다 *よく使う!
【直訳】準備が出来た食卓にスプーンをのせる
【意味】人が完成させた仕事の仕上げに割り込んで利益だけを得る場合をいう
【解説】主に仕事の進行過程には参加しなかったり、大変なことは避けて仕上げだけに参加して楽しようとする行動をする時、憎らしい人に対する表現として非常によく使う。

よく使うこの “다 된 밥상에 숟가락 얹는다” は自分に使う場合は、非常に謙遜な表現になる。
이번 과제에 내가 한건 별로 없어~ 너희가 차려놓은 밥상에 나는 숟가락만 얹은거지
俳優ファンジョンミンさんのインタビュー
今回の課題は私がしたことはあまりないよ~ 君たちが用意した食卓に僕はスプーンだけのせたんだよ。
韓国の有名映画俳優ファン·ジョンミンが映画授賞式受賞の感想で撮影スタッフと監督が準備した食卓にスプーンだけのせたという発言。

ご飯と関連した表現はもっと沢山あるけど、また次の機会に韓国語の記事で詳しく扱うことにする。今日の表現だけぜひ使ってみよう!
自分はスプーンをのせただけだと謙遜な感想を述べて大きな話題になったが、その後授賞式の感想などを話す時にとてもよく使われている表現だそうだよ☺