前回の記事(リンク)で “世界初の映画公開” を韓国で行う理由に盛り込まれた韓国と日本の映画文化の違いについてお話ししたけど、今日は韓国映画界興行ランキングの基準点となる “1000万観客の映画” についてご紹介!ここにも日本とは違う面白い違いがあるよ~(笑)
できれば1000万観客の映画すべての鑑賞をおすすめするけど、時間が足りない方のために分野別おすすめ映画も紹介する予定だよ★
観客数 “1000万” 映画の意味
ボックスオフィス(Box Office)って何?
もともと劇場のチケット売り場を意味するボックスオフィス(Box Office)は、映画の興行成績を指す用語だ。
韓国では観客数 “1000万” 人以上の映画を超大ヒット映画のベースラインとしている。
世界中を基準に “10億ドル” の売上突破という指標を主に使っているが、他の国々も観客数を集計してはいるものの、全体の売上高を優先しているそうだ。
日本は興行収入100億円を基準にすることがよくあるが、重要な指標として使用しているわけではないようだ。
映画を「どれだけ多くの人が見ただろうか?」が気になる場合には観客数計算が楽だが、映画製作の最終目的が収益であることを考えると、「それでいくら稼いだの?」がもっと重要なのが正しくもある(笑)
ただし、国ごとに人口数やチケット価格の差、為替レートなどの複合的問題があるので、売上高だけで興行基準を集計するのも無理があるように見える。
同等の指標ではないため、各国別にどれだけ人気があったのか体感できないんだ。
日本だけ見ても映画観覧料が韓国より高いから日本の “100億円” の映画と韓国の “1000万観客” の映画では、どちらがより人気だったのか比較にならない(笑)
なぜ観客数を基準にするのか?
では、韓国映画界はなぜ観客数を基準にするのだろうか?
これは前の記事(韓国で世界初公開をする理由:リンク)で述べた韓国の違法コピー文化、そして大衆文化と余暇活動の中心が映画であること、その両方が繋がっている。
違法コピー文化が蔓延していた時期の韓国では、ビデオテープ、DVD、ブルーレイなどの2次収益モデルがほとんどなかった構造だったため、ほとんどの売り上げが劇場の入場収入だった。
日本のように映画パンフレットを買ったり、いろんなグッズを買ったりする文化でもないから、ひたすら劇場内での収益に頼っていた売上構造だったのだ。
パンフレットや関連雑誌をわざわざお金を出して買うのが理解できなかったよ(笑) 韓国人の立場では、映画館はポップコーンだけ食べる所だって~(笑)
この差によって韓国の映画製作会社はどうにかして一人でも多くの人が劇場に来てこそ収益を出せる環境だった。
そのため、観客数を強調して目標を設定したり、他の映画との競争を誘導するマーケティングが中心になったのだ。
これに慣れた韓国人も自然と観客数を人気映画の基準にするようになった。
韓国も売上高を利用したランキング選定を試みたことがあるが、マスコミの関心を集めることができず、再び観客数集計に変えたほどだ。
映画だけでなくゲームや公演などの分野に2次収益モデルが豊富な日本がうらやましいところが多い。収益が大きくなってこそ、その分野も成長するから。
2次、3次収益モデルや関連産業の成長が遅い韓国文化の特殊な環境の中で、アイドル歌手たちの韓流熱風は歌謡産業全体の新しい収入源となり、NetflixのようなOTTプラットフォームの登場は、韓国映画界に日照りの中の恵みの雨のような効果を与え、大きな力になった。
Netflixが韓国に投資する理由の記事(リンク)で『イカゲーム』の “後光効果” を話したように、関連市場全体が拡大する好循環構造になっている。
おはるに多様な音楽ジャンルのファンが厚い日本が羨ましいと言ったことがあるけど、韓国の場合はまだ特定分野だけに集中している部分が残念ㅠㅠ
800万はあるが、900万はない
結局、韓流の影響で映画が輸出されたりOTTプラットフォームのような追加収益構造が登場するまで、韓国映画界は最大限多くの人員が映画館に来るようにすることが最も重要だったため、マルチプレックス映画館の数が急増した。
そして、より多くの観客を誘致するために、前の記事(リンク)の4DXやScreenXのような新技術を積極的に開発したのだ。観客当たりの入場料単価を何とか上げなければならなかったから。
しかし、ここには小さな罠が隠れているが、マルチプレックス映画館のこのような努力は、映画界や映画製作会社のためではない。
“1000万観客突破映画” というキーワードは、実は映画館の収益極大化のために作られたマーケティング用語かもしれないんだ。
観客が増えるほど映画館と製作会社が分け合う入場料収益も増えるが、観覧客が食べて飲んだ費用はひたすら映画館の収益だから、より多くのお金を稼ぐ最後の勝者は映画館だったのだ。
それで映画館はより多くの新記録、より多くの人気作、より多くの流行やトレンドを前面に出して人々の関心を誘導する方式を使用した。
だから登場したのが無料チケットや割引チケット、あるいは1+1チケットだ。
観客数がある程度到達すれば、入場収益よりは、記録やマーケティングポイントのために低価格チケットをむやみにばら撒くんだ。
普通100万単位を突破する直前に勢いが弱くなった時に使う方法で、そうすれば “〇00万突破映画~!” と言いながら広報できるからだ(笑)
興行の加速度を高めるこの方法を頻繁に使えば使うほど、映画製作会社の入場料収益は大きく増えないが、人々が食べて飲むのは有料チケットと無料チケットの区分がない(笑)
上の表は韓国の歴代1000万映画順位(左)と売上順位(右)だが、この表を見ればどんな映画が新記録を無理矢理作るために努力したのかが分かる。
韓国映画館の入場料単価引き下げの横暴が通じないハリウッド直配級映画『アバター』は観客数は5位だが、売り上げは3位で観客数17位だった『アベンジャーズ インフィニティ·ウォー』の場合は売上順位8位まで上がる。
割引イベントをたくさん行った映画は、1人当たりの入場料単価が低くならざるを得ないから、全体の売り上げは大きく伸びないんだよ。
こんな環境の中で起きる現象が、“韓国に900万映画はない” だ。
900万人を突破した映画は “1000万観客” という象徴的意味を占めるために無料チケットをばら撒いてでも1000万人を突破しようとした結果生まれた言葉。
興行速度が800万人台から落ちたらもう諦めるけど、900万台で止まるのはもったいないから。
1000万という峠さえ越えれば、ニュースなどで話題になり、また弾みがつくのだ。
「1000万人突破したって? 私だけ見てないのかな? 私も見ないといけないのかな?」となるから(笑)
もちろん、なんと4ヶ月も上映して1000万人を狙った映画『ボヘミアン·ラプソディ』のようにどうしても失敗する場合もあるよ(笑) 9,948,386人の記録で5万人足りない(笑)
1000万観客映画の意味と特徴
マルチプレックス映画館の独占的地位を利用した集計方式は徹底的に映画館訪問に有利に組まれた広報戦略で、映画配給会社とマスコミ社の隠密な協力かもしれない。
しかし、売上の極大化を追求するこのような慣行は、中小映画製作会社や芸術映画には致命的だ。映画公開の初期に座席数をぎっしり満たせなければ、すぐに上映を中止するからㅠㅠ
スクリーン独占と集中攻撃、多様性不足などの問題が生じるのだ。
作品の完成度よりはあらゆる年代に通じる適当な水準の “ポップコーンムービー” が量産される理由でもある。
NetflixのようなOTTプラットフォームができるまで、放送局の横暴も似ていて、お金になる有名な作品だけを放映していたのだ(一一”)
それにもかかわらず1000万映画は韓国興行作の究極的な目標になったが、これは韓国全体人口5100万人のうち1/5が同じ映画を見なければならない途方もない数値であるため、単純な広報だけでは絶対に容易ではない。
もちろん、1000万観客は数値上の表現であって、実際に1000万人の人が映画を見たという意味ではない。
チケット販売量を集計したものなので、2回以上の観た人もいれば、購入後に観なかった人もいるかもしれないから。
普通、両親がその映画の話をしたら1000万突破の映画だよ(笑)
1~2ヶ月の短い上映期間で1000万人を突破した映画は基本的に老若男女区分のない人気要素を備えた場合が多いが、特に “歴史” や “愛国心” の有無が非常に重要だ。
歴史や愛国心という要素が追加されれば高齢者や壮年層世代までも巻き込み、学生たちの団体観覧までも可能だから。
韓国初の1000万観客突破映画は2003年に公開された北派スパイ事件を扱った映画『シルミド』で、歴代1位は李舜臣将軍の壬辰倭乱を題材にした映画『バトル・オーシャン 海上決戦』であることだけを見ても分かる。 韓国の歴史的事件+主要人物+新派+ギャグ 全てが登場。
『シルミド』は韓国に半地下文化ができた理由が分かる映画で、iumの過去記事を参考に(リンク)すると分かるよ★
そして意外ととてもよく効く要素が韓国では “新派(신파:シンパ)” と呼ぶ悲しいストーリーだ。無理に悲しすぎる場面を演出することを多くの人が批判するが、それでも人気がある(笑)
2003年の『シルミド』の初突破以来、2023年に公開された『犯罪都市3』までの観客動員数1000万人以上は計30本で、韓国映画が21本に外国映画が9本。
「お~ランキングに入るだけのことはあるね」という作品がほとんどだが、「これがどうして1000万?」って思う映画もある(笑)
次の記事からは「この映画を1000万人も見たって?」と思う映画から必ずおすすめの映画までテーマと内容別に分類して紹介してみる。
韓日両国の映画観覧文化の違いから始まったが、両国の歴代ボックスオフィスランキングだけを比較してみても性向が大きく違う!視聴する映画を選びやすいように整理して帰ってくるよ~ みんなお疲れ様!^^