
【百想芸術大賞】の記事(リンク)で最近の “韓国映画危機論” について簡単にお話ししたけど、今日は韓国の映画界と映画館文化についてご紹介するよ!これまで韓国映画が発展した理由も、そして危機の理由も日本とは違う!

ほとんどのハリウッド大作映画が韓国で世界初公開される理由も珍しいよ(笑)
韓国の映画文化や人気作からみる韓国社会を解説するシリーズ★
この記事と一緒に読むともっと理解しやすいですよ!
■日韓の映画文化 世界初の映画公開を韓国で行う理由 ←本記事
■韓国映画の歴代興行ランキング① 韓国での観客数1000万人の意味
世界初の映画公開を韓国で行う理由
韓国の違法コピー文化

出典:중앙일보
ハリウッド大作映画のほとんどが韓国で世界初公開されるのを知ってる?
2000年代以降、多くの有名映画が韓国で初公開されているが、その始まりは面白いことに “韓国の違法コピー文化” のためだった。
朝鮮戦争以後、超高速経済成長を成し遂げた韓国は “X世代” の全盛期と呼ばれた1990年代から、歌謡や映画のような大衆文化の需要が爆発し、当時、韓国の路上では人気歌謡のテープや香港映画、日本の漫画やゲームパックまで違法コピーされたものを簡単に購入できるほどだった。

経済成長で購買力が高まったが著作権の認識レベルは成長できなかったんだよㅠㅠ
最新の人気歌謡が複製されて路上で売られるテープは、アメリカの音楽ランキングを象徴する “ビルボード” と発音が似ている “ギルボード(ギル(길):道、路上)” と呼ばれ、韓国の音楽アルバム市場を占め、2000年代初め、MP3音楽の時代にはMP3音源を違法に共有する “ソリバダ(소리바다:音の海)” というプログラムがオンライン音楽市場を掌握した。同じ発音の韓国語の“海(바다:バダ)” と “受け取って(받아:パダ)” という意味からついた名前だ。
「音の海、音を受け取って~(소리의 바다, 소리를 받아~)」という意味のソリバダは、今のTorrentと似た形式で個人間ファイルを共有してダウンロードするシステムだ。

ソリバダはなんと韓国の株式市場に上場までしたほど規模が大きくなったよ(笑) 韓国の違法市場規模が分かるよね?(笑)(2022年上場廃止)

出典:옥천신문
映画やゲームプログラム、小説本、漫画本にもファイル共有システムが導入され、2000年代初めまで韓国には違法コピー品使用文化が蔓延した。
“お金を払って買ったらバカ” って言われるくらいだったからㅠㅠ
このような悪習に変化を与え始めたのが、2000年代初めに急増した韓国の第1世代アイドル歌手ファンダムだ。
ライバルグループとの順位競争のためにアルバムを購入し、自分の推し歌手の収益のために正式音源を購入する運動が始まり、韓国の違法音源文化が多く消えたのだ。

SM、JYP、YGのような大手芸能事務所が出来て、取り締まりが厳しくなった理由もある!

出典:네이버뉴스
音源市場は幸い急速に正常化したが、映画やゲーム市場の場合は10年程前まで違法コピーとその流通が蔓延し、そのせいで映画配給会社は違法コピー映画が流通する前に早く公開し、最大限の売上を得るために “世界初公開” をしなければならなかったのだㅠㅠ
これは経済力と国民の認識が共に改善されなければならない問題で、最近の中国の姿が過去の韓国の姿だと考えれば良いだろう(笑)

この過程をすべて見守った立場からすると、最近の韓国は本当に大きく変わった! 味方しているわけじゃないよ~(笑)
韓国映画市場の規模

出典:조선일보
このような現象はほとんどの後進国でありふれた姿だが、ハリウッドの映画配給会社が韓国を放棄できなかった最大の理由がある。
韓国映画市場の規模が非常に大きかったから、そのまま放置することはできなかったのだ。だから急いで公開するのだ。
韓国映画市場は2000年代初めに急成長し、2019年統計基準で全世界ボックスオフィス規模4位の映画強国になるほど成長した。
全世界のボックスオフィス市場の規模430億ドル(55兆ウォン)のうち25%ほどを占める北米市場を除けば、1位中国、2位日本、3位韓国の順だ。

売上規模が小さければ放っておくが、そうするには大きすぎる市場規模(笑) 逆の意味では正式市場規模が大きいのに違法規模も大きかった国(笑)

出典:사례뉴스
「韓国くらいの国ならそのくらいは当たり前じゃないの?」とも言えるが、韓国の人口数を忘れてはいけない。韓国の人口は日本の半分にも満たない5000万人。
国別人口比で計算して1人当たり年間映画を見る回数に換算すると、韓国は年間4.37本で1位、アメリカ3.8本、フランス3.1本、日本1.2本程度の数値になるそうだ。
世界で1人当たりの映画を一番多く見る国が韓国だという話だ。

これは韓国の大衆文化と余暇活動の中心が映画館中心の社会構造とも関連している。 ネットカフェとカラオケが多い理由も同じように安く楽しめる所があまりないTT
流行の早い韓国

出典:파이낸셜뉴스
こうした韓国初公開の事例は、先に述べた市場規模のほか、“口コミに積極的” な韓国映画文化を反映した動きもある。
韓国人は流行が早くIT消費量も多いので、SNSや口コミなどの広報積極性がより大きく、映画配給会社は観覧客の反応を早くフィードバックしてもらって対策を立てることができるそうだ。
特定のジャンルやテーマの映画にこだわらず、多様な映画を楽しみながら、時代の流れに沿った流行についていく積極的な性向を見せるということだ。

口コミの力を極端に見せてくれたのが2023年公開されたディズニーの『リトル・マーメイド』と『マイ・エレメント』だった!

出典:인사이트뉴스
製作会社ディズニーで歴代級の期待を受けた『リトル・マーメイド』は韓国で65万人動員にとどまり、全世界興行も惨敗を記録し、公開前から興行不振を心配していた『マイ・エレメント』は韓国で口コミが広がり、興行逆走行の末、680万人を突破し、北米を除く世界2位の売上を記録中だ。
さらに、口コミと流行だけが早いのではなく、韓国のほうが早いのがもう一つあるが、それは “公開曜日”。
新作公開日の場合、日本やアメリカ、イギリスなどほとんどの国でオープニングの売り上げを最大化するために金曜日にやっているのとは違い、韓国はほとんど水曜日に新作を公開している。

日本、アメリカ、カナダ、イギリス、インドなどは金曜日、ヨーロッパとオーストラリアなどの国は主に木曜日に公開されるそうだ。水曜日もたまにあるけど珍しいって(笑)

出典:메디컬리포트
韓国も2000年代初めに週休2日制が定着し、映画公開日は土曜日から金曜日に、金曜日から木曜日まで繰り上げられていたが、2010年代からはほとんど水曜日に変わった。
毎月最終水曜日に5000ウォンで映画を見ることができる “文化のある日(문화가 있는 날)”(2014年から施行)の影響だという意見もあり、積極的な口コミを広げる韓国人の特性に合わせているため、水曜日の公開が売り上げに一番効果的だからという意見もある。
明らかなのは、そのおかげで同じ週に同時公開しても、ヨーロッパより先に韓国で見られることだ。

映画市場が大きい国の中で日付変更線で言えば一番早い同じラインに韓国、日本、オーストラリアしかない(笑)

出典:조선일보
日本と韓国の映画市場の違い
その中でオーストラリアは国家内部に時差が3ヶ所に分かれているうえ、主に木曜日公開なので韓国より遅く、日本の場合は独特な市場の性格からハリウッド大作の公開がかなり遅れているため、韓国が世界初になるケースが多いのだ。
それに韓国の特性上、序盤の反応を見るには悪くないので、映画配給会社も好んでいる。

おかげで映画広報のために訪問する有名スターたちをよく見ることができて韓国人の立場でもありがたいよ(笑)

出典:머니s뉴스
各国の特殊な環境と相違点も影響が大きく、中国の場合、米国に次ぐ大きな市場規模を誇るが、閉鎖的な検閲と政治的問題などの制限事項が多く、日本の場合は世界的な主流とは全く違う独自の映画文化と環境だから韓国が選ばれるのだ。
特に日本はアニメとテレビドラマの劇場版が主流で、外国作品は公開も遅い方なのでトレンド速度に遅い反面、流行に敏感な韓国は世界市場の主流とトレンドに積極的についていくから重要視しているんだ。

日本は韓国より人口が2.5倍ほど多いけど、映画を見る人口に変換すると韓国も1億人ほどの数値になるので、韓国と日本の市場差は大きくないそうだ。

出典:네이버뉴스
2022年の映画『タイタニック』を抜いて世界歴代興行順位3位に上がった映画『アバター2 ウェイ・オブ・ウォーター』の成績を見ると、中国$245,993,511、韓国$107,948,362、日本$32,446,229の順だった。
14億人の人口の中国売上の半分に近く、1億人の人口の日本より3倍の売上が韓国から出たのだ。
もちろん日本での興行低調は捕鯨シーンが日本を狙ったものだという解釈や広報過程のイルカショーなどで日本国内で生じた問題の影響、そして当時日本で上映中だった他の競争作の強さからかもしれない。

2022年、日本ボックスオフィス1位の『ONE PIECE FILM RED』に『THE FIRST SLAM DUNK』、『すずめの戸締まり』『Dr.コトー診療所』まで華麗なるライバルたち(笑)

出典:다음뉴스
でも同じ時期、韓国では『THE FIRST SLAM DUNK』、『すずめの戸締まり』、『アバター2 ウェイ・オブ・ウォーター』も興行新記録を立てたのを見ると、日本との性向の違いは確かにある。
日本の歴代興行ボックスオフィス10位圏にアニメーション6編が上がったことを見ても、日本は大衆文化の中心がアニメや漫画本にあるため、これまで映画館の施設投資に消極的であり、『アバター2 ウェイ・オブ・ウォーター』の場合、3D装備不足など技術的な問題による24フレーム上映で序盤から観覧客の酷評があふれたという記事を読んだ。

今までのどんな映画よりも、画質やスクリーンのサイズが重要だったから十分共感できる理由だったよ!(笑)
投資、そして字幕と吹き替え
日本に比べて相対的に大衆文化と余暇活動の中心がドラマ、映画にあった韓国ではこれまで映画観覧のための投資を続けてきた。
その中の一つが、皆さんも経験したことのある映画館システムである “4DX” と “ScreenX” だ。動く椅子の4DXと3面スクリーンのScreenXが韓国を代表する映画館チェーンのCGVの主な輸出品。
このように韓国の映画館はより映画に没頭できる様々な努力と投資を続けてきているが、観客の心構えもまた違いがあると見られる。

大したことないようだけど、大きな違いがまさに “字幕と吹き替え”。

出典:sbs뉴스.
映画『パラサイト 半地下の家族』の記事(リンク)で説明したように、西洋圏の人々は字幕を極度に嫌って吹き替えをしなければならないが、これが字幕よりさらに多くの時間と過程が必要だという。
日本も吹き替え版の方が人気だと聞いているが、韓国の場合はもともとの俳優の声を聞くためにほとんど字幕版を好む。
この違いもハリウッド映画を韓国で世界初公開する理由の一つなんだ。 韓国は吹き替え版がほとんどないのだ。
今日は “世界初公開” に盛り込まれた韓国と日本の映画文化の違いについてお話ししたけど、ただ見るよりは原作に込められた意図をよく鑑賞することがもっと重要だと思う。

ポン·ジュノ監督の受賞感想で最後の挨拶で終えるよ!「たった1インチサイズの字幕という大きな壁を越えると、より多くの映画が楽しめます」