38度線と非武装地帯DMZ
国境線 :(名詞) 国と国の間の境界線
辞典に出てくる国境線の意味は、国と国の間の境界線だ。
でも韓国人と日本人の場合は、国境に対する概念が違うので一般的ではない。
韓国は北朝鮮のために国境に鉄柵がないとおかしいし、日本は島という特殊性のため国境が海でなければおかしい。
ただ当たり前のように思っていた概念が、ヨーロッパを汽車旅行したりレンタカー旅行をしたりすると「あぁ、本当に違うんだな」と思うようになるだろう。「これが国境だと?」 となる場合がすごく多いから(笑)
韓国史と韓国文化を学ぶには、韓国の文化、政治、経済まで全てに影響を及ぼしているのが北朝鮮の存在なので、韓国の国境線、韓国の国境について調べてみようと思う。
一番有名なのは38度線(38LINE)と呼ばれる初期の国境線だ。
1945年8月、韓国に残っていた日本軍の武装解除を分担するために、米国とソ連が便宜上、朝鮮半島の地図の北緯38度地点にラインを引いた。
韓国と北朝鮮の分断の始まりだったが、地図上にだけ存在する線なので、実際には地上に鉄柵やラインがあるわけではない。ところどころに表示板がいくつかある程度で、人も自由に行き来が出来た。
このラインは朝鮮戦争(1950-53)の時、北朝鮮は西からもう少し南へ下り、韓国は東から北に少し上がった状態で休戦状態になり、今は38度線が基準ではないため、“ 軍事境界線 ”と呼んでいる。これが現在の国境線(休戦線)。
現在は、年配の方はまだ「38度線」と呼び、若い人は「休戦線」と呼ぶ場合が多い。
38度線と同様、軍事境界線も地図上の表示であり、実際に地上のラインは描かれていない。ただ便宜上板門店の境界線や、ソウル平壌を結ぶ道路の地点には区分されている。
そして軍事境界線に兵士たちがくっついていれば戦争が起こるかもしれないという意味で、南北に2kmずつ、総4kmの中間地域を “非武装地帯(DMZ)” にし、南北とも全員出入り禁止にした。
一般人が想像する国境線の意味の鉄柵は、軍事境界線から2km離れた距離に2重3重の高い鉄柵になっているのだ。韓国の場合は、さらにその南側に民間人統制線まである。
南方限界線の鉄柵がある所を韓国では前方、最前方地域と呼び、韓国の軍人たちにとっては地獄のような所だ。
2000年代初めに入隊した俳優ウォン·ビンさんが膝の負傷で予定より早く除隊したことがあるが、ウォン·ビンさんがいた場所がDMZ担当部隊だったので、昼夜を問わずパトロールをしなければならないところだった。
もともと、兵役を終えた韓国の男性は芸能人の軍生活に対して厳しいが、ウォン·ビンさんが義兵除隊について謝罪インタビューをしたときは、「そこはそれくらいなる」、「もともと膝を痛めることが多い所だ」と言うほど悪名高い地域なので、みんな早期除隊を認めたほどだ。DMZ担当部隊の中でも有名だった地域。
韓国の男性がウォンビンさんを理解した理由は、上の写真は普通、前方地域でも “歩いてパトロール” が可能な地域だとしたら、下の写真のウォンビンさんがいた区域は “這って上がらないといけない” 地域が多かったからだ。「神の捨て地」と呼ぶ所 (笑)
「地獄」か「もっと地獄」かという違いだけが存在する南方限界線の下で、5~15kmの地域には民間人統制線がある。 略して民統線(민통선)と呼ぶところで、一般人にはここまでが限界。
道路ごとに検問所があるので、事前に許可を受けた人のみ出入りできる。普通、放送局の制作チームや自分の土地が民統線上にある農業者だけが出入りする所だ。このラインの上に密かに入れば、北朝鮮のスパイや越北の試みと見なして処罰を受けることになる。
板門店と共同警備区域JSA
一般人の場合、北朝鮮と15~20キロ離れた民統線が限界点なので、北朝鮮領土や北朝鮮軍の実際の姿を見るには、坡州(パジュ/파주)の板門店(パンムンジョム/반문점)と前方にある展望台に行かなければならない。
北朝鮮軍が目の前にある板門店の場合、ニュースによく耳にするが、一般の人は特別観光コースを申し込まなければならないため非常に難しいので、普通よく行く場所は坡州にある臨津閣(イムジンカク/임진각)だ。
板門店の南側の下に北朝鮮失郷民たちが集まって祭祀を行った場所や、自由の橋、鉄道中断点、平和ヌリ公園などがあり、ちょっとした安保観光ができる。
最近は、北朝鮮により近づける都羅展望台が出来たので人気が低迷中だが、都羅展望台も事前に申し込まなければならないため、自由に出入りできる所は依然として臨津閣だ。
最近の南北平和ムードの中で、鉄道が延長された都羅山駅にある都羅展望台(ドラチョンマンデ/도라전망대)は、施設もきれいで北朝鮮もよく見えるという長所がある。
しかし民統線上にある地域で北朝鮮が近いだけあり、事前申請をすれば訪問が可能だ。 主に近くにある第3トンネルとセットで行くところだ。
都羅山展望台では、北朝鮮の地と北朝鮮軍の姿も見られるけどほとんどの地域が写真撮影禁止区域なので、目で見て頭の中にちゃんと保存しておかないと(笑)
北朝鮮軍が目の前にいて、ニュースにもよく出てくる板門店の場合、外国人は訪問可能で、韓国人は団体のみ申請可能だったが、2020年からは韓国人個人も申請可能になった。
事前申請期間も60日前の申請から2週間前に縮まり、以前よりずっと簡単になったので外国人も1度は挑戦してみるのもいい。
板門店は写真の中の水色の建物で、韓国と北朝鮮の会談のために1953年の休戦交渉の際に建てられたので非常に古い。その板門店の建物の南北に韓国と北朝鮮のそれぞれの建物がある。
この地域は韓国と北朝鮮の軍人がすぐ目の前にいるので、互いに争うなと国連軍が一緒に警備をしているため、共同警備区域(JSA, Joint Security Area)と呼ぶ。
2017年、北朝鮮軍のオ·チョンソン(오청성)という青年が銃に撃たれながらも北朝鮮を脱出した場所は板門店だったが、このように歴史的にも南北の実際の衝突が非常に多い場所だ。
私、ペコムの場合、映画『JSA(공동경비구역 JSA)』(2000)が大好きで、一度は行ってみたい。 韓国人もほとんど行ったことのないところだから。
ちょっと古い映画だけど、板門店も見られるし、DMZ地区の様子も出るから鑑賞しておくといい映画だよ。いや、絶対に観てほしい映画(笑)
最近ロシアのウクライナ侵攻のニュースを見て、韓国人が疑問を抱くのが、“国境に軍人を送ったので侵略行為だ” というニュース。
韓国人の立場では「国境に軍人がいたら侵略なの?」、「もともと国境には軍人がいないといけないでしょ?」こういう反応が多いから、国境線について調べてみたよ(笑)
韓国現代史を学んでいると、北朝鮮と関連した事件・事故のほとんどが板門店やDMZで発生しているから、予め基本情報を知っておくと良い。
映画に出てくる歌手キム·グァンソク(김광석)の「二等兵の手紙(이등병의편지)」という歌は、韓国でとても重要な歌なんだけど、その話は今度機会があればするよ。 みんなお疲れ!
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