韓国の住民番号と住民登録証② 未成年と触法少年の問題

住民登録番号と住民登録証の変化

韓国に身分証がなかった訳ではない。 1950年から1961年まで各市·道で発給した市民証と道民証があったが、現在の住民登録証と比較すると面白い点が多い。

当時、市·道民証は本籍と出生地、住所はもちろん、職業と身長、体重、特徴、言語、血液型などが記載されていた。

その後、1962年に一度修正を経て、1968年の問題のキム·シンジョ事件(1･21事件)以後、住民登録法改正で10月20日から現在の住民登録証が発行された。今との違いは、当時の住民登録証は横型ではなく縦型だったこと。

法を改正したものの、住民登録証の発給と付与は義務的な事項ではなかったので、朴正熙大統領が先頭に立って広報しなければならなかった。

それでこの記事の最初の写真は、住民登録証を発給された時の写真で、韓国人の中で最初に発給された朴正熙大統領の住民登録番号は110101-100001。12桁の番号だった。

この番号は、住民登録番号に特別な原則がなかったら可能だったわけだが、1975年からは情報化時代に備えて個人区分を明確にするために、前の数字は各個人の生年月日を使い始めた。

また、北朝鮮に対する安保態勢を強化するため、住民登録を実際の居住地と一致させ、発給対象年齢も18歳から17歳に引き下げた。

1983年、裏面に変更された内容を記載する方式が追加されるまでは世帯主が変更された場合、毎回再発給を受けなければならなかったので、引越しする度に新しく受けなければならなかった。

ビニールコーティングした紙だったので、水に濡れると形が分かりにくくなることが多く、再発行することが非常に多かったという。

写真が古いと身分確認が難しく、ビニールコーティングによる偽造·変造が容易だという点が問題点で、1999年9月にプラスチック型住民証に変更、ホログラムなどの技術が適用され、偽造変造が難しくなった。

もともとの計画は、1997年から住民登録証と医療保険証、運転免許証、国民年金証の4つを統合したカード型住民登録証とICチップを内蔵した電子住民カードが採択される予定だったが、1997年の韓国を象徴する経済危機(韓国の通貨危機）「IMF」による緊縮財政により全て失敗に終わった。

経済事情が回復しだした2000年代初め、より多くの情報を盛り込んだ電子住民登録証に変えようとしたが、今回は “個人情報流出問題” で反対が激しかった。 世の中が変わっていたんだ。

結局、国民の反対で電子住民登録証は取り消され、2006年に偽造·変造防止印刷技術だけを追加することで終わった。

2006年に新しく追加された技法も、技術の発達に伴い偽造変造が容易になり、既存の身分証の耐久性問題もあり、韓国政府は2020年1月から新しい住民登録証を発給している。

14年ぶりに変更されるもので、光によって色が変わるホログラムや角度によって写真や数字が現れる多重レーザーイメージ、凸状に印刷される文字などのより強化された偽変造防止技術が適用され、現在まで続いている。

日本は購買者の責任、韓国は販売者の責任（梨泰院クラス法）

モデル・チョン·ジヒョンを韓流俳優のチョン·ジヒョンにした映画『猟奇的な彼女』(2001)の名場面の１つだ。学生時代に着ていた制服を着て居酒屋に入る時、住民登録証を堂々と提示する場面だ。

ちょっと前に、プラスチック住民登録証も偽造変造が容易になり社会問題だと言ったが、特に未成年者が酒とタバコを買うための身分証偽造事例が急増した。

未成年者たちと身分証、酒とタバコが何の関連なのかお話しよう。

韓国と日本で構造的に大きな差があるところ。未成年者に酒やタバコを販売した場合、日本は購買者が責任を負う反面、韓国の場合には販売者がすべての責任を負わなければならないため、販売者が徹底的に検査をしなければならない。

身分証の提示を要求した時、リアルタイムで照会できる機械を設置したところもあるが、ほとんどは肉眼で確認するため、偽造変造の問題が多く発生している。

これが最近も深刻な問題なのが未成年者が意図的にだましても、全ての責任を販売者が負うため（普通は1ヵ月前後の営業停止と罰金）一部未成年者の場合、偽造身分証を提示したり密かに入場後にお酒をたくさん飲んでから、自ら警察に申告する事例が急増している。

未成年者の自主申告で営業停止になった店の社長の訴え文を見れば、最近の韓国の実態を少し感じることができるだろう。

午前２時過ぎに入店し、257,000ウォン(約25万円)分の酒を飲んで自主申告した未成年者たち(この垂れ幕を)見ろ。～(中略)～偽造身分証で、ただで飲んだ酒は美味しかったか？～(中略)～私は血の涙が出る。キッチンのおばさん、従業員、ホールのアルバイトもみんな被害者だ。頼むから、この店で終わらせろ‼

記事の日本語訳

当店は7/15～8/14まで営業休止します。～(中略)～高校生たちのせいで、一夜にしてひどい目に遭いました。警察の調査中にも申し訳ない様子もなく笑っている子どもたちの無責任な子王道は、事業主が100％責任を負うことになりました。弊社のような被害が、他の店舗にも起きないことを願います。～(中略)～8/15にまた会いましょう。

記事の日本語訳

事実、この制度は販売者にそれだけ注意深く観察して未成年者を保護しろという良い意味の法律だが、これを悪用する未成年者が出てくると、この法律は自営業者の立場ではあまりにも不合理なことだ。 やられる立場は、生計と職場がかかっている問題だから。

もちろん、すべての未成年者がこのような行動をするのではなく、いわゆる「不良青少年」たちの間で流行っていたことで、今年の大統領選挙候補だったイ·ジェミョン候補の公約の１つでもあった。

“年齢を偽った飲酒青少年の処罰強化…販売業者は免責”

これと関連した法案はすでに国会にも上程されているが、Netflixドラマ『梨泰院クラス(이태원클라쓰)』(2020)にも似たような場面が出てきたため “梨泰院クラス法”と呼ばれる法案だ。

同様に “触法少年” と呼ばれる未成年者の処罰強化に対する法案も合わせて国会で準備中だが、この部分はNetflixドラマ『未成年審判(소년심판)』(2021)を見れば分かる。

未成年犯罪者の免責によって、さらに深刻になる最近の未成年犯罪事例のストーリーで「子どもたち」とすべてに免罪符を与えるには、とても賢くて残忍な子どもたちが多くなった世の中。今では自分が “免責” で “触法少年” であることを知って行動するくらいだからㅠㅠ

青少年と未成年者の処罰免責に対する論難は日本も同じだと思うが、結局このすべては「未成年者」に対する旧時代的な基準と認識が、時代の速度を追いかけてこられずにいるためだろう。

未成年者はどの時代にも、当然保護しなければならない対象だが、時代の流れによって少しの修正は必要だと考える。

これは空腹時に韓国の田舎であった果物や野菜をこっそり盗んできた “ソリ文化(서리문화)” でも見つけることができる。 今では、もうこれ以上思い出ではない “犯罪” だから。

2017年、忠清道のある田舎にあった大学研究用農場でニンジン80kgが紛失した事件があったが、検挙された男女３人は登山に行って「ソリ(서리)」をしたと主張したことがあった。このにんじんは１億ウォンの研究費が投入され、大学院生たちが病気と品種に関する論文を書くために育てていたにんじん(笑)

すべての研究データが消えた大学院生たちは茫然自失したが、善処をしたというニュースが話題になったことがある。 笑えるけど笑えないニュース(笑)