前回の記事ではソウル江南の始まりを簡単にご紹介したけど、今回は江南の“大峙洞塾街”と韓国の学生たちの話をもう少し詳しく紹介するね!
ドラマ『SKYキャッスル』の韓国教育熱物語~(笑)
すべてが集まる場所、江南
ソウル “江南区、瑞草区” に集中している名門高校によって、現代韓国社会は意図しなかった大きな代価を払うことになった。
保護者が揃って江南に集まり、狂った住宅価格! 狂った授業料! 何でも想像以上を見せるところになってしまった。
韓国の教育問題と住宅問題、そして貧富格差の経済問題と社会問題まで、始発点の役割を果たしたのが江南だ。
上にある最近のアンケート調査を見ても、依然として江南の住民たちは “良い教育環境” が第一の理由であり、その次が不動産価格上昇の “投資価値” を居住理由として挙げているほどだから。
“職場に近くて” の項目が最下位なのを見ても、1970年代の韓国の状況を十分類推できるのだ。
そのようにソウル江南には韓国のすべてが集まっていた。学校、社会インフラ、お金。
今では集まりすぎて、韓国の貧富格差の象徴のような場所がソウルの江南。
韓国人が 「江南で会おう~」と言うと、普通は上の写真にある江南駅の交差点のこと。人もたくさん集まるところ(笑)
大峙洞(テチドン)の塾街の成長に込められた韓国の教育熱
8学区の住所が必要!偽装編入
名門学校が江南に移転したからといって、大峙洞の塾街が最初からあったわけではない。
“SKY”(韓国最高名門のソウル大学(S)、高麗大学(K)、延世大学(Y))と呼ばれる名門大学進学のためには “江南8学区” の名門高校に行かなければならないが、これらの学校は居住地と居住期間によって割り当てられるので、子どもたちの住所だけをあらかじめ他人の家に登録する “偽装編入” が大流行した。
そのため、1つの住所に名前も姓も違う数人の学生が住んでいるという、話にならない状況もよく起きた。
子どもの住所でも他人の家に移すにはお金(裏金)が必要だから、貧しい保護者には出来ない方法だった。
そこに実際に8学区地域に引っ越すくらいならもっと金持ちだったから、江南8学区では金持ちだけの静かな競争が進行中だったのだ。むしろ江南開発初期に仕方なく引っ越した中流層の子どもたちは、学校の定員超過で他の学区に通学しなければならなかったほどで、8学区地域で40ヶ月以上居住者という基準ができた。
もちろんお金持ちは小中学校の年齢から偽装編入をしておくという方法を使ったよ(笑)
不法家庭教師の誕生と貧富の格差
そのように8学区の名門高校に入学した後は、8学区内部の競争を勝ち抜くために正規授業以外に “高額個人家庭教師” というもう1つのアイテムを探し出し、名門大学生の家庭教師、前職が教師の家庭教師、現役教師の家庭教師、大学教授の家庭教師、名門塾の家庭教師、試験出題委員まで…
まるで進化の起源を見つけるかのように、家庭教師で出来る全ての段階の不法を犯すほどにまで至った。 教育の貧富の格差が広がった時点だ。
結局、一般庶民と政府の忍耐心も限界きて爆発し、1980年に全斗煥(チョン・ドゥファン)大統領の新軍部は “全ての家庭教師は全面禁止” という超強硬姿勢を取った。
もちろん、そのように綺麗に消えたら、現在の8学区と大峙洞はなかっただろう。彼らは簡単に諦めずこっそり隠れて家庭教師をするという “007家庭教師(007과외)” と、金持ちの地方別荘に送って勉強する“別荘家庭教師(별장 과외)” 、取り締まる公務員たちが退勤した後の時間を狙った “フクロウ家庭教師(올빼미 과외)” と呼ばれた深夜訪問の家庭教師、親戚や家政婦として偽装する家庭教師、家の下宿生のふりをして家庭教師をする下宿家庭教師などが盛んだった。
私も007家庭教師を受けた経験があるけど、取り締まり員の目につかないように窓には遮光カーテンをかけて、家の全ての照明を消してスタンドライト1つだけつけて、授業を受けたよ。SKYに行けなかったのは実力不足(笑)
不法家庭教師の全盛時代と呼ばれるほど大混沌の時代によって、家庭教師費は天井知らずに上がり、上流層の子どもたちだけが家庭教師を受ける貧富格差の問題が生じると、教育の公平性のために1988年、大学生と塾講師に限って部分的に許容された。
名門学校を止めろ、高校平準化
政府はいわゆる名門学校の成長を防ぐために、高校入学試験もなくし “高校平準化” を通じて過熱した熱気を冷まそうとしたが、実力が平準化された学校では以前よりもさらに勉強が必要だとして、1990年代の “私教育ブーム” を作って放課後には1人、2人と大峙洞の塾に集まり、今回は各種の塾の進化を見せることになった。
名門高校の出身者が通ったという大峙洞の塾には、これまでの20年間に蓄積された “8学区” の学生たちの入試成果が広報用データとして加わると、二度と破ることができない不敗の鉄壁を構築し始めた。
私教育のラスボス、大峙洞はそうやって誕生したのだ。
※高校平準化:学校別入学試験なしに全ての生徒がランダムに学校が割り当てられる方式
自律ではない自律学習
0限目と夜間自律学習
1980年代と1990年代の高校生たちは、夜遅くまで学校に残って “夜間自律学習” をした。
自律ではない自律学習(笑) 韓国の学生たちが出てくる映画やドラマでよく出てくる単語 “ヤジャ(야자)” は夜間自律学習を略して呼ぶ言葉だ。
私、ぺコムの場合には午前7時登校後 “午前自律学習”、午前8時から “0時間目” の授業をして、正規授業が終われば18時まで追加補充授業をし、18時に夕食を食べて19時から22時まで “夕方自律学習”、そして塾に行かない学生たちは23時か24時まで “深夜自律学習”をするという日課だった(笑)
ちなみに22時に家に帰るんじゃないよ。塾に行くんだよ~(笑)
“3当4落 ”という言葉が流行ったため、帰宅後午前2~3時まで復習後就寝、6時起床し登校の繰り返し。(3当4落:3時間寝たら大学合格(当選)、4時間寝たら大学不合格(落ちる))
当時、ほとんどの高校生が似たような日課だった。
最近の韓国の小学校では逆に、“4当3落 ” が流行語だそう。
4学年分をあらかじめ先行学習すれば合格、3学年分だけ先行学習すれば不合格。
小学生たちが中・高校の数学と英語を事前に学んでいるというから、最近の子どもたちはもっとかわいそうだㅠㅠ
消えた自律学習
今考えると、どう耐えていたのかと思うこの狂ったスケジュールが1990年代に消え始めたのは、塾の登場のおかげ?だ。
韓国の学生たちが入試地獄から解放されたからではなく、学生たちが夜遅くまで塾に通わなければならないから場所だけ変わったのだ(笑)
もちろん、塾に通っていない生徒たちは今も夜間自律学習は進行中だ。
夜10時以降、各地域の塾街の広い道路の両側にいっぱいになる数多くの塾のバスと親の乗用車が車線2、3列を占めて待機中の姿を見ていると、苦しさを感じるしかない。
今では大峙洞だけでなく、各地域と都市ごと、高校生だけでなく小学生にまで範囲が広がり、韓国の狂った教育熱を象徴する場面になってしまったから。
このような殺人的な日課の中で勝ち抜くために、『ウ·ヨンウ弁護士は天才肌』の9話解説記事2で紹介した “スヌーピーコーヒー牛乳” やカフェイン飲料が学生たちの必需品にならざるを得なかったのだ。
500mlの大容量に総カフェイン含有量237mgが入っているコーヒー牛乳。
普通のエナジードリンクより、そして元祖のコーヒーよりもカフェインが沢山入っていて、一時は品切れ騒ぎになった牛乳だ。
ドラマ「SKYキャッスル」と入試コンサルティング
家庭教師の果てしない進化、入試コンサルティング
2000年には教育の選択権を制限するという理由で、家庭教師禁止が憲法の違憲判決を受け、家庭教師は正式に復活した。
“江南の塾+高額の家庭教師” の組み合わせで終わることを望んだこの旅は、2018年ドラマ『SKYキャッスル』が放送された時、ほとんどの国民が「えぇ、あれはオーバーだよ~」と話すほど、彼らだけの世の中は私たちの世の中と離れていることを再確認させてくれた。
良い学校、良い塾と先生、金持ちの親、お金では足りず、今では “良いコンサルティング” まで必要だというドラマのような現実の話。
“入試コンサルティング”
中学生基礎相談1時間に20~30万ウォン、高校生は相談1時間に数百万ウォンまでし、大学入試の自己紹介書と戦略の支援を受ければ、1件当たり数百万ウォンから数千万ウォンがかかるというニュース。
1年に数千万ウォン、数億ウォン、医大や名門大は3億ウォンも惜しくないという人たちの話。
そして早朝5時から子どもの塾の席確保のために、代わりに並ぶ親たちと、その列を代わりに並ぶ時給2万ウォンのアルバイトの登場まで。
多様な子どもたちの環境と特性に合わせて選べるという意図の入試制度は、むしろ複雑で多様な入試規定を作り、“情報の格差”をうみ、その格差と制度の複雑さは、もうニュースを一度見るだけでは理解もできないレベルにまで変化し、本当にコンサルティングなしでは大学志願もできないような気がする韓国入試制度は、今では大学卒業後の就職にまで延長された。
今では就職まで、無限競争
特に、明け方に公務員受験生の娘の塾の良い席を先取りするために、4人家族が出て親と兄まで各塾ごとに分散して並んでいる状況を見ながら、2万ウォンのアルバイトを払うお金がない家族に対する残念さよりも大きな悲しみが感じられたその日のインタビュー。
一体子どもにどんな “教育” をしたいのか…
最近の子どもたちがかわいそうで悲しくなったあの日のあのニュース。
相変わらず韓国には、塾にも行けない学生と高額の家庭教師を受ける学生が一緒にいて、今ではコーヒーショップより良い施設のカフェ型読書室とプレミアム読書室が流行しているという韓国の私教育ブームの話。
ソウルの救済者として登場した “江南(カンナム)” が、ソウルは助けても、韓国は滅びつつある今日、江南の2022年。
次の記事では江南と韓国のアパート文化についてみていくよ!お疲れ様~^^