ドラマ『財閥家の末息子』の日本での放映を待っている間、韓国の財閥について事前に調べてみようと思う! 財閥の意味と韓国財閥の特徴、日本とはどんな違いがあるのか紹介するよ!できるだけ簡単に紹介しているので、気軽にゴーゴー!
ドラマが始まると経済用語がよく出てくるので、あらかじめ予習して視聴すればとても役に立ちそう!今回は普段、韓国のニュースに財閥の会長がよく出る理由も分かるよ☆
財閥の意味
財閥とザイバツ、財閥の意味
韓国語辞書に“財閥(재벌)”は、財界でいろんな企業を抱えて強大な財力と巨大資本を持つ資本家の群れと出てくる。
しかし、代表的な英語辞典であるオックスフォード辞典に登録された韓国語の”財閥(Chaebol)”を探してみると、その意味がより明確になる。
財閥(Chaebol):(韓国で)家族が所有する大規模企業集団
ーオックスフォード英語辞典ー
単に大規模な企業集団ではなく、”韓国で” そして “家族が所有する” という表現で、韓国財閥の特徴を明らかにしている。
世界的に韓国にだけ存在する形で、他の単語に代えることができず、韓国語そのまま辞書に登録されるほどだ。
本当に韓国にだけにあるのか?と思うが、英語辞典に登録されているもう1つの単語 “Zaibatsu” がある。
韓国では日本の “旧財閥” と呼ばれる日本の財閥、Zaibatsu。
今の日本ではほとんど消えた概念であるザイバツが現在の韓国の財閥構造と非常に似ている。
創業主がいて、成長して大企業集団を形成し、そのグループ全体を支配する持株会社があり、その一家が持株会社の持分を所有してグループ全体を掌握する企業構造。
グループ全体の規模に比べて小さい持株会社の持分だけで権力と資本を一家が所有し、代々継承するシステムによって財閥トップが経営権を独断的に行使したり、所有と経営の分離ができていない問題などで多くの批判の的となっている。
韓国の財閥と日本の財閥の違い
20世紀初頭、政府主導で三菱、三井、住友、芙蓉、パナソニックなど、財閥中心の高度成長が実現した日本のように、韓国では1960年代から日本の成長モデルを模した経済開発計画が始まり、財閥が成長するようになった。
その後、日本は持株会社の設立が制限され、以前ほどの勢力はほとんどなくなったが、韓国の場合は、1997年のIMF通貨危機事件によって多くの財閥が姿を消したが、サムスン、現代自動車グループ、SK、LG、ロッテなど主要財閥集団は依然として存在している。
韓国では、日本の一部のグループで旧社主家に忠誠を尽くし、旧社主家が企業の上層部を占める姿のため、日本企業を財閥と勘違いする場合が多いが、家族が直接その企業を所有しているのではなく、忠誠心を基盤に経営人を受け継いでいる場合がほとんどなので、韓国の財閥とは大きく違う。しかし楽天グループが韓国と似ていると聞いている。
海外では子どもの時に一度は遊んだであろうブロックを作るデンマークのレゴグループと、アメリカのウォルマートグループ、アイフォンを生産する台湾のフォックスコンなどが家族中心の経営が行われる大企業集団で似ているという。
普通、日本でブラック企業と呼ばれるところが韓国の財閥とよく似ているという話もある(笑)
韓国の財閥の特徴
持株会社って何?
先ほど話をした持株会社をもう一度見てみよう。これさえ分かれば財閥が何なのか、なぜそのように家族に継承しようと努力するのか理解できる。
持株会社(지주 회사):他社の株式を保有することで、その会社を独占的に支配する会社。支配する会社を親会社、支配される会社を子会社という。
NAVER韓国語辞典
持株会社は簡単に言えば他の会社を支配する会社、実質的なオーナーになる会社だ。もちろんこれは持分の保有量で決まる。難しければこれだけ知っておくだけでもいい(笑)
上のSKグループの場合、一番上のチェ·テウォン会長は持株会社SKの持分30.9%を持っていて、持株会社SKが持分を投資した残りのグループ系列会社全体の経営権を確保している状態だ。
上の図は、簡単でありながらも依然として難しい図ではあるが、ゆっくり見ると左と右に若干の差がある。図の矢印の方向は、該当企業の持分を所有していることを示す表示だ。この矢印を注意してみよう。
私がもしある企業の創業主になって会社を設立したら、私はその企業の創業者であり大株主になるでしょう?上の絵、左右の一番上のオレンジと青の部分が大株主だ。
このようにAという企業の大株主になるのは当然で理解も容易だが、これらの企業が大きくなるにつれて他の会社を設立したり買収するようになってから複雑になる。
A社の大株主が自分のお金でB社も、C社も全て大株主になるほどの個人資産があり、別途の追加投資をすれば構わないが、このような場合には通常A社の資産を利用したり、A社の実績を基に融資を受ける方式でB社とC社の持分を買収することになる。この時、メインにあるあのA社が持株会社になるのだ。
結局、A社の持分だけでも新たに追加される企業の持分まで確保できる構造だ。
持株会社が無条件に悪いわけではなく、長所も多い構造だけど、財閥家の総帥がこれを継承作業に悪用するために問題になっているのだ。
60億ウォンで6兆ウォン作り サムスングループの魔法
上のサムスングループの例を見ると、サムスン電子のイ·ジェヨン会長は持株会社サムスン物産の持分を17.08%持っている。図の左側の大きな数字だけ見よう!
サムスン物産はその下にサムスン電子4.1%の持分を持っていて、サムスン生命という会社の持分も19.34%持っている。
ここでもできるだけ簡単に左側のラインだけを考えてみると、サムスン電子のイ·ジェヨン会長はサムスン物産の持分17.08%だけでサムスン電子の持分4.1%の影響力を行使しているということ。
イ·ジェヨン個人はサムスン電子の株式を0.6%しか持っていなかった。父親のイ·ゴンヒ会長のサムスン電子の株式が約3.6%。家族全体の持分を合わせても6%にもならない持分でサムスングループ全体を掌握しているのだ。
サムスン電子の時価総額が約500兆ウォンで、サムスングループ全体の時価総額を考えると、さらに莫大になる金額なので、持株会社と循環出資という手を利用してサムスングループ全体の経営権を受け継いだ状態だ。
このような問題点のせいで韓国の財閥が悪口を言われている。
1996年にイ·ゴンヒ会長から贈与された約60億ウォンで持株会社の持分を買ってから継承作業が始まったので、韓国では”60億ウォンを6兆ウォンにした魔法“と呼んでいる。詳しい内容は後でサムスングループの解説記事で紹介する予定!(笑)
醜いアヒルの子 ロッテグループ
「 韓国にもロッテがあるって? 」
「 日本にもロッテがあるって? 」
韓国人と日本人がお互いに驚くグループ “ロッテ”
そしてお互いがお互いに、あなたの国の会社だとからかうグループも “ロッテ” ㅠㅠ
ロッテ(LOTTE)グループは、韓国と日本をはじめアジアに拠点を置く大企業集団で、韓国ロッテは2022年基準で財界ランキング5位。韓国の本社は皆さんもご存知のソウル蚕室(チャムシル)にあるロッテワールドタワーだ。
韓国では5本の指に入るほどの規模であるにもかかわらず、支配構造による国籍論争に頻繁に巻き込まれる企業で、韓国10大企業の中では唯一日本に本社がある企業でもある。
重光武雄として知られる在日韓国人のシン·ギョクホが1948年に日本に設立した企業集団で、1967年に大韓民国にロッテ製菓を設立し、韓国での事業が拡大した。
現在、最高経営責任者は韓国ロッテを担当していた次男のシン·ドンビン会長で、グループ継承過程で日本ロッテを担当している長男のシン·ドンジュと持分競争の末勝利した。
長男のシン·ドンジュはその後、日本のロッテの経営からも押し出された状態だそう。
2人の継承争いが本当にめちゃくちゃドラマなので、後で別に紹介するね(笑)
2人の息子の喧嘩の過程で明らかになったのがロッテグループの隠されていた “持株会社” だ。
日本にある “光潤社” という会社で、以前韓日ロッテグループ全体の持株会社として知られていた“日本ロッテホールディングス” の上にあった会社。
韓国ではあれこれロッテグループのイメージが良いわけがないのが、これまでロッテグループが日本の会社だという議論がある度に韓国ロッテの持株会社は “ロッテ製菓” なので韓国企業が正しいと広報してきたが、実際は “ホテルロッテ” がロッテグループの実質的な持株会社であり、
それさえも後で調べてみると、日本のロッテホールディングスがその上にある持株会社、そこにまた現れたのが新しい持株会社の光潤社。
持株会社の上に持株会社、その上に持株会社~ 玉ねぎの皮みたいな企業だったのだ…(一一”)
大企業集団で普通 “〇〇ホールディングス” という名称で呼ばれる会社が持株会社だと思えば簡単だよ!(笑)
韓国の財閥会長がニュースによく出てくる理由
車椅子と患者服
韓国の財閥グループは、就活生にとっては夢の職場であり羨望の的だが、国民にとっては愛憎の対象として非難の的だ。
財閥総帥の経営権問題を除いても、これまで大企業集団を成し遂げるために規模を膨らませる過程であった数多くの政経癒着不正と軍事政権との協力問題がレッテルのように付きまとい、そのように育てた企業を自分の家族に継承するために犯した数多くの便法贈与問題で国民からの視線が良くなかったのだ。
各財閥グループごとにこうした過程を数年から数十年間経てきたので、韓国のニュースに財閥の会長がよく登場するのは当たり前のことになった。
そのうち2000年代前後から今までは、韓国財閥グループの第1世代創業主がほとんど引退したり死亡した時期なので、各グループごとに継承過程の問題が複雑だった時期だ。
ニュースを見る日本人の立場では、韓国の財閥は何の罪をあんなにたくさん犯すの? と思うだろうが、ほとんどの場合はあまりにも大きくなりすぎたグループを無理に子どもたちに相続、継承しようとして、法律の抜け道を利用した手段が発生したからなのだ。
また、そういう財閥の便宜を図るために、政権や司法機関は早い判決を下さずに最大限時間を稼ぐので、忘れかけた頃にニュースに再び登場するのだ。
特にニュースによく登場する場面の、財閥会長たちが車椅子に乗って検察に出頭する姿を見て、ある外国メディアでは「韓国財閥トップは困るたびに車椅子に乗る」と言うほどだから。
結局それらのニュースはほとんどが老齢と健康問題で “執行猶予” のエンディング (ㅡㅡ;)
韓国の経済成長のために主要大グループが献身したから、今は老いてあちこち痛いの、ちょっと見てください、国民の皆さん~!っていうアピールだよㅠㅠ
選択と集中の副作用
貧しかった韓国の成長のために選択と集中は必要だったし、政権との癒着も仕方がない部分もあった。 そのおかげで韓国は本当に神話的な成長を記録したのも確か。
しかしその間、韓国の財閥は大きくなりすぎて、国家でも統制が難しい状況にまで来てしまったのだ。
国民の感情に合わせて今さら財閥に責任を問いたり解体したくてもできないのは、10大財閥グループが韓国のGDPに占める割合がほぼ50%になるほど、韓国経済は奇形的に成長したからだ。
韓国で小さくても強い中小企業やベンチャー企業の誕生が難しかった理由の1つとも言える。小さいけど強かったりアイデアが良ければ財閥グループが吸収してしまうから…(一一”)
グループの会長らを法どおり拘束しようとしても、国家経済が麻痺するという反対意見が出ている状況なので、政界でも容易ではない。
拘束されたとしても、すぐに “執行猶予” になったり、“特別赦免” になったりするケースが多い理由。
2018年のある新聞社の調査結果では、経済犯罪の執行猶予宣告率は財閥は72%にもなるが、一般人44%に過ぎなかった。 (下の画像)
ドラマ『財閥家の末息子』(2022)でも、スニャングループの長男が会長の父親の代わりに監獄に行ってきた話が登場するが、そうして韓国の財閥は成長し、今は創業3世代、4世代に継承されている時点だ。
最近、子どもに経営権を継承をしないと宣言したサムスン電子のイ·ジェヨン会長のように、彼らの約束がよく守られるかどうかは見守らなければならない。
政治·経済的状況を考慮せざるを得ないが、今までの国民の立場では “有銭無罪・無銭有罪” という言葉が出てくるしかなかったㅠㅠ
韓国経済と企業の基本となる財閥企業とその根幹となる持株会社について簡単にご紹介したけど、次は韓国を代表する財閥であるサムスングループと現代グループがどのように成長してきたのかについてお話ししたいと思うよ!ドラマを楽しく観ようと思って経済の勉強中(笑)