ここまで当ブログ【ium】では、韓国の現在の国境である休戦ラインと、未だに戦争中の “休戦” 状況の正しい理解、それによって行われる民防衛訓練と予備軍制度、韓国人の戦争と軍人に対する認識まで解説してきたよ!これからは韓国の男性なら誰でも守るべき兵役の義務について本格的に話していくね!その1つ目は “軍隊に2回行った芸能人たち” の話だよ。
軍隊に2回行くこともできるの?どういうこと?(笑)
あなたが韓国人の親なら?
休戦期間中の死者6万人
前回の記事(こちら)で、我慢すればユン一等兵のように被害者になり、我慢できなければイム兵長のように加害者になる韓国軍の現実について紹介した。
国防の義務を果たすために入隊したが、家に帰ってこない韓国の息子たちの話。
以前の記事では2000年代の統計をもとに解説したが、上の表の1990年代だけを見ても年平均400人、朝鮮戦争が休戦した後の60年間で、軍隊で命を落とした若者の数がベトナム戦争で戦死した5000人を除いても約6万人。
これが国防部が発表した実際の統計だ。
イラク戦争9年間の米軍死亡者数4500人を単純に計算すると年平均900人だけど、韓国では戦争をしなくても毎年1000人の軍人が死んでいった。これが韓国休戦の現実ㅠㅠ
ユン一等兵とイム兵長事件のケースは、もしかしたら少しは状況が良くなるかもしれない理由は、あの時期のほとんどの死亡者は軍隊の不正を隠すために、単純な事故や単純な自殺として処理したからだ。
親たちは息子の実際の死亡原因さえまともに知れないまま葬儀を行わなければならなかったということだ。
ユン一等兵事件のケースを見ても、当初の軍隊の発表は、食べ物を食べていて呼吸困難で死亡。
それでもまだ、「まさか~?そこまで~?」と思う人のために事例1つを紹介すると、
1994年8月、空軍のある内務班でテレビが爆発1人が死亡し、10人余りが重傷を負った。雨の日に雷に打たれてS社のテレビが爆発したと発表。
ニュースが流れるとテレビメーカーの “S社” は誰が見てもサムスン電子だったので、サムスン電子では話にならないと緊急に技術者チームを派遣した。調べてみると、実はクレイモアと呼ばれる爆発物を弾薬庫に返却せず内務班で触っていて発生した事故だった。
軍隊ではクレイモアの破片を発見しても、サムスン電子の職員に秘密維持誓約書を書くことを強要して、事故の真実が明らかになった呆れた事件だ。
テレビのブラウン管が割れた、雷で爆発なんてとんでもない国防部!(笑)
そのため、今も国軍病院の霊安室冷凍庫には140体余りに達する遺体と遺骨が息子の死の真実を明らかにしてほしいと長期保管中だㅠㅠ
さらに、死亡ではなく負傷と障害、疾病までその範囲を広げると、その数はとてつもなくなる。
このような環境でいつでも我が子や、自分にも起こりうることをあまりにもよく知っているので、韓国では軍隊に行かないための様々な便法や不正が盛んで、2023年の今日もテレビでは “兵役不正” のニュースが流れている。
「軍隊で腰を怪我した」と「膝を怪我した」のような事例は非常によくあるほど(笑)
軍隊に2回行くこともできるの?
兵役不正に関するニュースが流れるたびに、除隊した韓国の男性たちは非常に怒るが、こういうニュース記事に毎回書き込まれるコメントが1つあり、
「そんなに怒るあなたは、あなたの息子を軍隊に行かせるの?」という質問。
腹は立つが、兵役不正を犯す有名人のように、「私にもお金があり、後ろ盾があれば、私の息子は絶対行かせない」という意見が大多数。
私は無事に怪我をせず除隊したとしても、それはただ運が良かっただけ。閉鎖されたその場所の環境についてよく知っているからだ。
私の実の姉の息子が現役兵と代替服務の中で選択が可能だった時に、私に実際に聞いたことがあるが、無条件で代替服務として送るよう主張した(笑)
このように、誰もが一度も行きたくない軍隊に2回行く場合は普通、現役兵として除隊した後に職業軍人である将校や副士官を志願した場合がほとんどで、訓練所で訓練中に病気が発見され、退所し治療後に再入隊する場合でなければ、行政ミスや特別な理由がない限り珍しくない。
この珍しい経験をした有名芸能人が今日の記事の主人公、歌手 “PSY(싸이:サイ)” だ。
2012年に「江南スタイル」でワールドスターになるまで、PSYは人生の危機が何度か経験した。
軍隊に2回行った芸能人
歌手PSYの最初の危機
歌手PSYは2001年1月に発売されたファーストアルバムの歌「鳥(새)」が大ヒットし、その年の新人歌手賞受賞が有力だったが、11月に大麻喫煙で警察に逮捕され、放送出演停止になり、少なくとも数年間自粛しなければならない状況だった。
しかし半年後、韓国を熱狂のるつぼにした2002年ワールドカップの街頭応援に出たPSYを、あるアナウンサーがインタビューしたのが放送されたため、自然に出演停止が解除された幸運児だ(笑)
大麻も麻薬と同等扱いをしていた韓国の当時の雰囲気では、最低5年は活動できなかったが、あのインタビュー以後、流れに身を任せ活動し始めた(笑)
その後、人生の最初の転換点となったワールドカップの街頭応援を考えながら作った歌「チャンピオン(챔피엄)」と共に、PSYは “大学祭ナンバーワン歌手” として名声を築いていた。
2003年、PSYは代替服務の1つである “産業技能要員” として入隊し、3年間の軍服務を終えて2005年に帰ってきた。
産業技能要員は兵役代替服務制度の1つとして“ 産業体” または “兵特(兵役特例)” と略して呼ぶが、一定学歴以上の者が国家主力業種である機械やIT関連資格証がある場合、兵務庁が指定した業者で軍隊の代わりに勤務する制度だ。
一般の会社員のように家から会社に出退勤する代わりに、義務服務期間が2年10ヶ月と長く、修習期間まで含めればほぼ3年を指定された業者で仕事をしなければならない。
代わりに現役兵よりは給料がもっと多かったから小遣いを貯められるという長所があった。
人材需給が難しい中小企業に、運転手や技能士資格証を持った高級人材を、政府の月給として支援する制度だが、その場所自体が非常に少なくて珍しい。
主に工場に就職する産業技能要員の他に、自分の学業を継続する必要がある名門大学の大学院生は専門研究要員、医大や法学部生は保健所の公衆保健医や公益法務官などの代替服務ができる。
企業によっては環境が極端で、除隊後に正式に就職する場合もあれば、最悪の奴隷制度と呼ばれる場合もある。離島のようなところにいる医師たちは代替服務中の公衆保健医の場合が多い。
歌手PSYの2番目の危機
代替服務除隊後、放送でのインタビューがPSYの足を引っ張った。2番目の危機。
インタビュー内容は「代替服務中の間を使って52回の公演をした」という発言だったが、放送以後国防部には苦情が殺到した。
代替服務でも国防部の管理下の現役軍人身分の人が、毎日出勤しながら52回の公演が可能なのか?ということだった。
それくらいの回数の公演なら準備も必要だが、代替服務出退勤はきちんとしていたのか、そして歌手であるPSYがどのように産業技能要員に選ばれたのかに対する根本的な疑いまで。
除隊した韓国の男性は、すでに各分野の経験者が周りにいるから、PSYが特恵を受けたと疑ったんだ(笑)
結局、国防部と検察の調査結果、PSYの父親が服務業者に金品を提供した事実が明らかになったが、賄賂容疑は嫌疑なしと判決され、代わりに服務期間中に公演をしていたため業者の業務をまともにしなかったことが明らかになり、現役兵再入隊判定を受けた。不実勤務による代替服務の除隊取り消し。
韓国の大学生ならほとんど取得する情報処理技能士資格証を取った後、コンピューターソフトウェア会社に選抜されたことも議論になったが、PSYは選抜要件だったソフトウェア開発業務ではなく、サウンド/企画業務を担当していたことが分かった。その中で主な業務は “テスト”。
PSY側の弁護士は、「ソフトウェア工学論にテストもソフトウェア開発業務だと明示されている」と反論して抗告したが受け入れられず、すでに3年間の服務期間を満たしたのに再入隊は悔しいという行政訴訟も敗訴した。
結局2007年12月12日、最終抗告審で敗訴、現役兵入営対象者になった。
選択可能な3番目の危機
この時、国民が注目していたのはPSYの選択だった。
現役入営対象者でも、満30歳を超えるとまた別の代替服務である “公益勤務要員” として招集されることが可能だが、PSYの誕生日は1977年12月31日。
裁判判決後、兵務庁が通知した入営日は2007年12月17日なので、2週間だけ延期すれば現役兵として入隊しなくてもいい状況で、PSYの選択が気になっていた。
選択可能な3番目の危機だったが、実は当時の韓国の雰囲気では答えは1つだった。
兵役不正犯が再び自分に有利な選択をしたなら、韓国で完全に干されるはずだから。
PSYは結局、兵務庁が通知した12月17日に再入隊し、2年の軍生活を送った。
当時PSYは生後2ヶ月の娘がいたので、現役入営が絶対嫌いだったという。わざと誰かに喧嘩をふっかけて全治2週間の怪我をしてみようかと思ったって(笑)
軍隊に2度行った芸能人たち
火が燃え移る
歌手PSYはそうして軍隊に2回行った男になり、3年+2年間の軍生活を送ることになった伝説の芸能人になった。
軍隊に2回行ってきたというイメージのおかげで、他の兵役不正犯に比べて同情の世論が多い方だが、PSYは決して単なる被害者ではない。
メインの争点の1つである “不良勤務” の問題だけを見ても、判決文によると、PSYは勤務時間のほとんどを個人時間として利用したり、自由に休息を取ったということだ。
最初に韓国の男たちが疑っていたその状況が間違いなかったのだ。何もさせない “特恵”。
現役入隊後、PSYの年齢を考慮した国防部は、主に軍隊慰問公演に出演させたが、これも実は特恵だ。
幸い、PSY本人は過ちを認め、放送に出る度にブレずに「軍隊に2回行ったのではなく訓練所に2回行ったのです」とはっきりと事実を明らかにしている。
それでも最後の選択をよく選んだから芸能界生活を続けることができたし、おかげで「江南スタイル」の神話も作られた。
除隊後、PSYは「江南スタイル」の世界的な人気でもう1つの伝説を創り上げたが、PSYの再入隊事件の時に登場したまた別の芸能人がいる。
1990年代後半、HOTと共に韓国男子アイドルの2大山脈だったグループ “SECHSKIES(ジェクスキス)” のメンバー、イ·ジェジンとカン·ソンフン、そしてソロ歌手のカン·ヒョンス。
この当時、PSYのせいで代替服務制度の全体に対する監査が大々的に実施されたが、SECHSKIESのメンバー、イ·ジェジンは自分の事務所エムスターの親企業メガエンタープライズで代替服務兵役を終えた状態だったが、公式に登録された電算業務(プログラミング)をしていなかったことが見つかり、PSYと同じく再入隊処分を受けることになった。
イ·ジェジンの勤務先メガエンタープライズは韓国でホームページ制作やメタルスラッグ、鉄拳などのゲームを流通していたIT企業だが、イ·ジェジンは絵に才能があり、イラストやグラフィック関連業務を実際に行ったと主張た。
実は所属会社の親企業に選ばれたこと自体が特恵だと見ることもできるが、企業広報資料にもイ·ジェジンが何度か登場したので、実際に仕事をしたのは正しいかもしれない。
しかし公式業務であるソフトウェアプログラミングとは全く関係のない業務だったため再入隊。
同じグループのメンバー、カン·ソンフンも一緒に服務したが、言い訳がなくてすぐ再入隊判定(笑)
イ・ジェジンは2008年に現役再入隊し、カン·ソンフンはPSYの3番目の選択状況で延期を選んで公益要員召集対象に変わった。
ソロ歌手カン·ヒョンスの場合が少し悔しいケースで、2006年にあるIT業者で産業技能要員として勤めていたが、業者の経営悪化により3ヶ月で退社することになり、他の業者を調べていた時期にPSYの出来事のせいで検察の大々的な兵役特例不正捜査で摘発されたが、
勤務当時、経営悪化により賃金を受け取れなかったことが、賃金を受け取らない条件で不法採用されたという疑惑で再入隊を通知されたケースだった。
本人が不正を犯したのではなく、働いていた会社が倒産したタイミングのせいで変にこじれたケースとして2007年に再入隊した。
PSYのインタビュー1つで、芸能人の他にも数多くの兵役不正犯が再入隊することになった事件だよ(笑) 火がちゃんと燃え移ったケースw
歌手イ·ジェジンがYG所属の理由
上の2人の立場ではPSYのように服務中に営利活動をせず、業者就職のための賄賂を供与せず、出退勤時間も遵守し、それなりの業務をしたのに取り消し処理されたので少し悔しいかもしれない。
この事件はとんでもない方向に流れたが、再入隊したイ·ジェジンが軍隊から脱営した(笑)
“ 韓国の芸能人脱走1号 ” (笑)
明確に言うと “休暇未復帰” だが、うつ病治療のために休暇を取った後、復帰せずにいたところを33日ぶりに検挙された事件だ。
今まで有名人が軍隊を脱走したケースがなかったからショッキングしたニュースだったよ。有名人は軍隊の中でも苦労しないからね。それでもって脱走だなんて。
それでこの当時ニュースを観ていた今の30~40代の韓国人男性にとってイ·ジェジンは非常にイメージの悪い芸能人だ。
軍隊にいても大変ではなく恩恵を受けていることは皆知っているのに、「それが大変だからといって逃げるのか?」、「情けない」という認識。
逮捕後、執行猶予を言い渡され、残りの軍生活を無事に終えて除隊したが、当時のイ·ジェジンの状況を見ると、少し理解できる部分もある。
産業要員服務中の2006年に父親の死亡、2007年にPSYによる産業要員取り消し裁判の進行、2008年に母親の死亡後、再入隊まで。
20代の幼い頃に2年間両親とも別れなければならなかったし、3年間通った軍服務は取り消されて再入隊する心情を考えると正気ではないかもしれないという気がする。
脱走逮捕当時、本人は自首したと言っているが、兄を心配した妹が通報して検挙されたと聞いている。
妹のイ·ウンジュは唯一の肉親である兄がまた脱走するのではないかと思ってお弁当を作って面会によく行ったというが、2010年に出産した赤ちゃんの父親がYGのヤン·ヒョンソク代表。
イ·ウンジュはYGの解散したガールズグループSweetyのメンバーで、代表ヤン·ヒョンソクと9年以上の恋愛の末に夫婦になり、2人の子どもをもうけている。
兄のイ·ジェジンが特別な活動をしていなくても現在YGエンターテインメントの所属である理由。
一言から始まった韓国の芸能人たちの再入隊事件を通じて、韓国の代替服務制度とその不正について調べてみた!次回は本格的な軍入隊不正について探っていきたいと思うよ!誰がまた登場するか期待してね~(笑)