今回は、私も2019年度に受験した韓国の国家試験である “観光通訳案内士(관광통역안내사)” という試験について経験談やコツを交えて紹介するシリーズ!第1回は試験の概要から~★
韓国の観光通訳案内士(관광통역안내사)とは?
韓国の観光通訳案内士は、国内(韓国)を旅行する外国人に外国語を使って観光地・観光対象物を説明したり旅行を案内するなど旅行の便利を提供する業務をする人のことをいいます。その国にくる外国人にガイドをするため、“民間外交官” などと言われたりもします。
日本では平成30年に改正通訳案内士法が施行され、資格を持っていない人でも有償で通訳案内業務を行えるようになりましたが、韓国の場合は、この資格がないと旅行業として外国人観光客を対象に案内をしてはいけないと観光振興法で定められています。
よくある事例で、在韓日本人が韓国で日本人観光客を対象に観光案内をして報酬を貰うなどの行為は、この資格がないと不法ガイドとみなされ罰金を払わないといけなくなってしまうそう…
他にも、観光案内をする場合には観光通訳案内士の資格証を首にかけて行わないといけないなどの色々なルールがあるそうです。
そういった外国人向けに観光案内を行うための資格試験が “観光通訳案内士(관광통역안내사)” の試験です。韓国では略して관통사(観通士)などと言ったりします。
英語、中国語、日本語だけではなく、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語、イタリア語、タイ語、ベトナム語、マレー/インドネシア語、アラビア語など様々な言語での観光通訳案内士の試験があり、言語を指定して試験を受けます。
韓国産業人力公団が実施する観光通訳案内士の試験に合格した後、文化体育観光部長官から登録を受けた者が、観光通訳案内士として認められます。
試験について
受験資格
基本的には誰でも受験できます。(ただし試験で不正行為をした者に対しては3年間受験資格なし)
受験者の年齢の内訳や国籍は公開されていませんが、1次試験を受けた時は私も含め外国人も数名おり、2次試験では、大学生~60、70代の大人の方まで幅広くいたように思います。(20~40代が多かった印象)
ただ注意しないといけないのは、受験申込時に“語学成績を証明するもの”を提出しなくてはいけません。日本人の場合で、日本語分野での観光通訳案内士を受験する際は、ネイティブでも日本語の語学試験を受験し、成績証明を準備する必要があります。
また、外国語試験の免除対象者として教育機関で3年以上講義をしたり、4年以上当該言語圏の外国で勤務、留学した経歴のある者などがありますが、その証明方法や認定もちょっとややこしいので、試験を受けて成績証明をした方が確実かと思います。
私はJPTを受けました!受験申込時に成績証明が必要なので、余裕をもって語学試験証明書の準備をしておくことをオススメ!
受験料と試験日程
受験料は1・2次合わせて20,000ウォンです。国家試験にしてはかなり安いと思います!
試験は年1回、韓国で行われます。参考までに今年度(2023年度)の試験日程を載せておきます。
受験申請 | 2023年7月3日(月)~7月7日(金) |
1次試験 | 2023年9月2日(土) |
1次試験合否発表 | 2023年10月11日(水) |
受験資格種類提出 | 2023年06月26日(月)~2023年7月7日(金) |
2次試験 | 2023年11月18日(土)~2023年11月19日(日) |
合格者発表 | 2023年12月20日(水)~2024年02月17日(土) |
試験科目と合格基準
1次試験(筆記)と2次試験(面接)があり、1次試験に合格した人のみが2次試験を受けることができます。1次試験は問題用紙を持ってかえって、その日に公開される解答で自己採点が出来るので、合格点に達していればすぐに2次試験の準備が出来ます。
1次試験 | 筆記4科目(国史・観光資源解説・観光法規・観光学概論) |
2次試験 | 面接(韓国語・外国語) |
1次試験は4科目(25問ずつ計100問)で全て韓国語で出題されます。
科目 | 配点 | |
① | 国史(국사) | 40% |
➁ | 観光資源解説(관광자원해설) | 20% |
③ | 観光法規(관광법규) | 20% |
④ | 観光学概論(관광학개론) | 20% |
公式サイトによると2023年度から、4科目を100分で解く試験方式に変わったようです。(今までは1次試験は2時間あり、1時間目に国史と観光資源解説、2時間目に観光法規と観光学概論の2科目セットでそれぞれ50分ずつでした)
各科目25問ずつ出題されるので4科目で合計100問。試験時間は100分なので1問1分以内くらいのスピードで解いていかないといけません。
1次試験の合格基準は各科目の40%以上のかつ全体で60%以上の点数です。
2次試験は面接で、韓国語と受験する言語の2種類で出題されます。範囲は一般常識、観光常識、観光実務、時事、韓国史、観光資源などの観光と通訳ガイドに対するすべての範囲で出題され、だいたい1人あたり10~15分の面接です。どちらの言語でどんな質問が来るのかは全く分からないので、2言語それぞれの回答を練習しておく必要があります。また外国語に関しては、外国語が分かるレベルというよりは、会話が出来て自分の考えを発言出来るレベルが求められます。
2次試験も合格点は60%以上の点数が必要です。
それぞれの科目や面接、問題を早く解くコツなどについては、また別途記事を用意します♪
合格率と傾向
過去5年間の合格率を調べてみました。新型コロナの影響で2020年からは申込者がかなり減っていますが、合格率はだいたい1次試験は平均68.4%ほど、2次試験は平均66.3%で、年々合格率が上がってきています。(ただし2次試験は該当言語により合格率にばらつきがあります)
概して、6~7割の受験者が合格する試験なので、きちんと対策をすれば合格は決して難しい試験ではないかと思います!
でも正直、合格率が高いのは試験が難しくないからというよりは、それだけ相当な試験準備をしている受験者が圧倒的に多いというのもある…(笑) 実際、観光通訳案内士の試験用の塾に通う人も多い…ㅜㅜ
観光通訳案内士のサイト
どんな試験なの?と気になった方のために、関連するサイトを集めてみました!
韓国語が得意・韓国の歴史と地理が好き・韓国の観光が好き!という方には、実際に試験を受けなくても試験内容は面白いと思います☺★私も試験勉強がとっても楽しかった試験でした!各科目と面接の試験についてはまた記事にまとめるのでお待ちください~♥