LGがモバイル事業を撤退するって決めたんだけど、なんか寂しいような清々するような気分だな。
私も韓国留学中はLGの携帯を使っていたからか、なんか寂しいなぁ。
寂しいのは寂しいんだけど、LGモバイルが撤退するしかないエピソードがあるから、今日はその話をするね!なぜ韓国でLGが “マーケティング失敗者” と言われていたか分かると思う!
最初はおかしくなかった! LG携帯の全盛期
LG携帯の全盛期
今のイメージと違って、LGの携帯にも全盛期があったんだ。
2005年に発表されたチョコレートフォン(초콜릿폰)が大人気で世界販売量5位に突入し、今のスマートフォンと似ているプラダフォン(프라다폰)を2007年に発売、Sonyを抜き2008年には世界3位にまで上りつめた後、長い間順位を維持していた。世界3位もすごいことなんだよ。
当時、サムスンの場合は、丈夫なことを強調していたが、“基本の携帯”、“おじさんの携帯”という感じで多く売れたとするならば、滑らかなデザインのLG携帯は全世界の若者を熱狂させていた。
若者の携帯、ファッションアイテムといった感覚だったから、今のアップルのiphoneと近いかもしれない。新製品を出す度に連続ヒットしていたLGは、これ以上怖いものはないように見えた。
“あいつが出てくる前までは”
アップルの登場 サムスンとLGの分かれ道
実はその始まりはすでに1年前からだったが、誰も気には留めていなかった。
“リンゴの登場”
最初はみんなこのリンゴのマークの価値を知らなかったんだ。
2007年に発表された初期のモデルを改良した iPhone3GSが2009年に発表され、アップル神話は本格的に幕を開け、全地球人たちがアップルに熱狂し、多くの業種が誕生したり、または落ちぶれてしまった。本当に、歴史に残る “革命” で、“革新” 。
ここで私たちは、人生の真理を学ぶことになる。
“並ぶときはちゃんと考えて並ばなくてはならない”
会社の運命が分かれる選択で、サムスン電子は素早く「真似する」を選択し、LG電子は「独自路線」を選択した。
私たちは世界3位なのに新人のアップルなんてちょろいもんだ!
世界1位のNOKIAも、4位のSONYも、5位のMOTOLOLAもみんな独自路線を選択してたし、LGだけがおかしかった訳じゃないんだよね。むしろサムスンがおかしかったよ。
世界で最初のフルタッチ携帯の “プラダフォン(프라다폰)”が当時は人気だったから、本格的なスマートフォンは急いで作らなくてもいいだろうと考えていたLGの自信満々の計画は、半分は間違いで、半分は正しかった。
この後もしばらく何年間は、世界3位を維持していたから。
すぐ翌年の2010年、サムスンは本格的なスマートフォン「galaxyS」を素早く発表し、LGはスマートフォンもどきの「Optimus」シリーズで耐えなきゃいけなかった。
フルタッチフォンを最初に発売し、ブランド品とのコラボや高価格作戦、初期のスマートウォッチに至るまで、今のアップルの戦略と非常に似ていたLGが遅れを取り始めた時期だ。この頃から、LGは恥ずかしがり屋な性格だったみたい。周りよりも “先に” 出ることを躊躇していたから。
そうやって携帯の新人アップルに追いやられている間、売り上げは急落し始め、急いで作ったOptimusシリーズは、色んな不具合が出てしまい、LGのイメージは少しずつ悪くなっていった。LGの高級なイメージはプラダフォンで終わってしまったのだ。
“コピー騒ぎ” と “独自的物議”
1年ぶりにあまりにもそっくりな製品を作り出したサムスンのgalaxySは、サムスンの運営体系を捨て、グーグルのアンドロイド運営体系を採択し、アップルより簡単な使い方で大成功を収めた。
すでに1位だったアップルが、追撃者のサムスンを牽制するために “丸い角のデザイン” を理由に起こした1兆ウォンの盗作訴訟が全世界のニュースになり、“だったらiPhone4はエゴマの葉の缶詰を剽窃した” と主張するサムスンも有名になり、この頃から他のメーカーの名前は完全に忘れられ始めた。剽窃が物議をかもし、認知度上昇のプラス効果。
“悪い書き込みよりも、何も書き込みがないほうが怖い”っていう言葉通り、時代の流れに乗れなかったNokia、Ericsson、Sonyのような伝統的な携帯メーカーの名家が仲良く衰退していく頃、それでもLGはひたすら独自的な物議を作っていた。
さっき話した、Optimusシリーズの見事な失敗から得たものはなかったのか、2012年、「今更、なにこれ?」っていう反応の OptimusG の発売をしたんだけど、既存のOptimusシリーズと差別化を図るために “高価格販売戦略” で販売量は激減。
プライドのせいなのか、性能はいまひとつなのに価格はアップルとサムスンを真似したのだ。
多分、この頃からかな?
LGのマーケティングの担当者たちの脳内がどうなってるのか、みんなが気になりだしたのは(笑)
LG스러운(LGらしい)マーケティング誕生 伝説の事件たち
空からG2が降ってくるなら?
独自的な物議を醸しだしていたLGは、それでも諦めず、2013年にまあまあ使えるG2フォンを発売した。これぐらいならかなり良くなったという評価だった。
内部的にも自信があったのか、大々的なG2フォン発売イベントを準備したが、ここで伝説の「LGらしさ(LG스러움)」を見せてくれた。
ディズニーアニメ『カールじいさんの空飛ぶ家』(2009)でインスピレーションを得たのか、韓国の5つの都市で携帯引換券500枚を風船にぶら下げて飛ばし、風船をつかまえた人にG2フォンをプレゼントする小学生が考えるようなビックリイベントをLGが実施したのだ。
イベントの人員・準備不足、人間の欲と集団心理によって、風船が空に飛んでいく前に人々が押し合い、奪い合うという修羅場になってしまい、数十人の負傷者までも出してしまう。
LGのマーケティング担当者たちはどんな想像をしてたんだろう?
多くの決裁過程をどうやって通過してきたんだろう?
イベントの説明だけ聞いても大企業のイベントって思えないほどの企画なのに…
たぶんLGは恥ずかしがり屋で純粋な性格の集団なんだろう。
それでも…人間の怖さを忘れちゃダメ!
ロマンティックなアニメ『カールじいさんと空飛ぶ家』のポスターのイメージの代わりに、ゾンビ映画『ワールドウォーZ』(2013)のイメージが残ったこのイベントは、実はカールじいさんの空飛ぶ家のポスターの風船をそのまま盗用し、その日の夕方のニュースの<事件・事故>のコーナーに出てしまうっていう栄光にまで輝いちゃった。
広告費が不足しているからニュースを利用するっていうアイデアだったなら結果は大成功。少ない予算の中、数十人の負傷者の治療費を出した結果を考えたら、大失敗。
もちろん、この事故はLGだけの過ちではないけど、韓国人にとって「LG」といえば思い出してしまう、消せない出来事のひとつ。何だか一貫性があって原因がLGにあるようにしか思えないから。
LGマーケティングの伝説 “マック、ブック、エアー”事件
LGはすでに2000年代初期に、大企業の公式の広告に、韓国式の罵詈雑言が入ったキーボードの広告で新鮮な衝撃を与え伝説になり、
2013年に発売したSSDハードディスクの名前に、麻薬の名称である “LSD” をつけて、こいつ本当に麻薬をしてるんじゃない?っていう疑うほどで、同年に発生したG2フォンのイベント事故はやっぱり、“LGらしい”とみんな納得したのだ。
LGのマーケティングチームがまたやらかしたのか、っていう反応だったよ。
これくらいなら担当者も何回か替わっただろうけど、一途なLGが今回は本当に何を考えてるのか分からないイベントをしたんだ。
2015年に発売した無線イヤホンの購入時に“맥.북.에어(マック、ブック、エアー)があふれる”というイベントをしたんだよね。実は…
맥(マック):MAXという名前の小さなソーセージのおやつ(맥스봉)
북(ブック):BOOK、本の商品券
에어(エアー):ナイキのAIRシューズ
をプレゼントしますっていう保険会社の約款みたいに小さく書かれていて、大企業がこれが面白いと考えて企画していることがビックリ。消費者を釣ろうとしているようにしか思えない。
しかもLGもノートブックを販売しているのに、ライバルの製品名を利用して広告している何とも呆れてしまう理解が出来ない行動まで…。
もちろんこれもまたニュースで報道されたよ!
本当に理解が出来ないマーケティング方法(笑)
この程度で済むと”伝説”になれないと思っていたのだろうか?
2020年のLGV60フォンの広告では、盗撮しても盗撮してないふりができるというデュアルスクリーンフォン広告で、「私のことを忘れないで~」と叫んだ。
盗撮犯罪擁護騒ぎとセクハラ騒ぎまで、実に多様に世間をざわつかせたLGマーケティングの伝説たち。
考え方が変わっていたLGのおかしな歩み
売れすぎてダメになった携帯
こんな風に、なんか独特な存在感を表していたLGは、それでもなんとか生き残って、デザインとスペックでとっても良い評価を得たG3モデルが発売される。
LGのG3モデルは、映画『パラサイト』のギテク家族も使っていたスマホだ!
ポンジュノ監督のディテールだったら、なぜこの携帯を選んだか分かる。
G3はこれまでLGの不振を挽回するように、かなりの販売量を記録したんだけど、アップル、サムスンとの価格差は大きくて、欲を出しすぎたのか、各種機器の不具合や、ソフトウェアの問題で悩まされることになる。
発熱、タッチが反応しない、無限に再起動になる、画面が落ちる、バッテリー不良、通信エラー、外側が割れるなど、色んな問題で有名になったんだけど、OSのアップデートなどアフターサービスをきちんとしてくれないと、大騒ぎになったんだ。
携帯で想像できる全ての不良・不具合・問題が起きたってくらい。
一番ひどかったのが、OSのソフトウェアの問題の修正アップデートもすごく遅れて、設計ミスや部品の不良によるものが明らかでも、責任を顧客に転嫁したり、アフターサービスを有償にしたりしたせいで、多くの顧客の反感を買うことになった。
2009年以降、最大の販売量を記録し、営業利益が赤字から黒字に転換し、販売量も世界3位に復帰にしたこの頃に、むしろ今のLGのモバイル事業の衰退がはじまったと考えられる理由だ。
あまりにも多くの人にLGの携帯の短所を体験させてしまったこと。
それでも以前のブランド価値を信じて買ったのに、「やっぱりスマホはLGを買っちゃダメだった」って思わせちゃったんじゃないかな。
前作のG3がこれほど問題が多かったにも関わらず、製品の完成度よりは、販売マーケティング集中し、研究開発費がむしろ減っている、“おかしな選択と集中”を見せたが、結局翌年に発売した皮の服を着たG4モデルも、相変わらず色んな不具合が続き、2年も経たないのにOSのアップデートが中断される方針が出されると、ものすごい批判を浴びることとなった。
ただでさえ不具合が多いスマホなのに、修正もしてくれないなんて誰が買うの…?
“発売2年も経たないうちにG4、OSアップデート中断”
“騒ぎを落ち着かせようとLG電子、今後もアップデートする”
騒ぎが大きくなって、方針を撤回し再びアフターサービスをすると言ったけど、出ていく彼女は戻ってこない。それでもLG携帯を買った顧客たちをがっかりさせた出来事だった。
心機一転するように2016年、分解型のG5モデルを発表したLGは、革新的アイデアとそれを実行したことは評価を受けたが、いつものように問題が多かった。
全ての機能を1つにまとめる時代に、「それぞれの機能を購入し、別々に持ち歩く必要があるのだろうか?」っていう疑問と共に、1年で消えてしまう…。
それぞれの機器の機能と完成度が高かったらマニア層も作ることができただろうが、それぞれごとに問題が発生する構造だったので、痛いところをもっとたくさん作ってしまったのだ。
落ちていくエレベーターはどうやったら止められるんだろう?
重力加速度の法則 長点を捨てる
会社の基本方針自体が右往左往している間に、安価の中国製スマホが急成長し、販売量はもっと減り、今では信じてくれる彼女もいなくなり、赤字スマホはもっと加速していった。
G6モデル以降、製品の完成度はマシになったけど、原価削減の為、ひと世代低い等級のモバイルAPを採用したり、低価格の部品を使用したりして、高価格ラインでも低価格ラインでもないあいまいな身分に。
特に、今までの色んな騒動があったにもかかわらず、音楽マニアには人気だったサウンド関連の“Quad DAC機能”も消されて、唯一残っていたLGスマホの “忠誠な顧客層” まで自ら手放してしまう最悪の選択をする。「それでもやっぱり音楽はLGフォン」を唱えていた人たちへの別れの挨拶だ。
今消えたらダメ!ローラブルフォンだけ出して!
低価格部品を使用し自身の唯一の長所も削り、23期連続、合計5兆ウォン近く赤字を記録した会社が、売り上げが下がり、新製品をそんなに作らなかったから、赤字が少なくなったっていうから笑えるけど悲しい現実。それでも、相変わらず赤字ってことは秘密で(笑)
結局、LGのモバイル部門は2021年、今年の1期も赤字を記録し、24期連続での赤字の新記録を出したというニュースと共に、母体であるLG電子は今年1期だけで1兆5千億ウォンの営業利益で最高記録を出したというニュースが同時に入ってきた。
これまで、モバイル部門の赤字のせいで1年に1兆ウォンずつマイナスだったLG電子を考えたら、むしろ今まで諦めずによく耐えてきていたのが不思議ってくらい。
今となっては本当にLGのスマホを見れなくなるっていうと何か寂しくもあるが、特に唯一、期待していたローラブルフォンの発売を見ることが出来なかったのが残念。
2021年の1月、試作品の発表の時だけでも、これから本当にLGが復活するかもって期待したのに、いきなり全部を終了しちゃうという、なんとも “LGらしい” 展開で終止符。
●Optimusをスマートフォンだと言い張っていたあの頃のLG
●名前だけにVを追加して、プレミアム等級で販売していたLG
●みんなが一体型のバッテリーに変身(변신)しているのに、本当に病身(변신)になって一人だけモデュールフォンを作ったLG
●サムスンが横に開く折り畳みスマホを作ったら、液晶を2つ組み合わせてデュアルスクリーンフォンを作り、
●サムスンが新しく縦のフリップフォンを作ったら、液晶2つを組み合わせてスライドフォンを作ったLG
バイバイLG、LGらしい追加の事件たち
この全てが技術力の問題ではないといえる、韓国で有名ないくつかのLGらしい事件を集めてみると、
●最も好評を博した「クワッドビート3」イヤホンは、有名音響会社AKGとの協業を明らかにしていない。
●ブルートゥースイヤホン「トーンプラス」はJBL、ハマンカドンとコラボしたが、明らかにしていない
●「V10携帯」の枠に20K金メッキを施したが明らかにしていない。
●「V10ケータイ」にハイファイDACを初めて搭載したのにオーディオ性能を強調しない。
●超軽量ノートパソコン「gram」は、前作の980gより軽いのに実際より重く宣伝。
●数百万ウォン台のモニターに入るハードウェアキャリブレーションが可能なモニターを20万ウォン台で発売し、知らずにいたが人々に噂になっていたため、80万ウォンに急に値上げ。
これほど自分をPRするのを恥ずかしがり屋だったので、顧客たちが明らかにしなければ教えてくれなかった会社。
こうしてみると、毎回変なマーケティングをしても、どこかバカだけど純粋で、見物の面白さはあった名残惜しさが残る会社。
感傷に浸りそうだったけど、ホームページの事業終了案内の最後の挨拶を見て誰かが書き込んだコメントが思い出される。
“顧客が愛してくれていたなら、何で潰れるの”
とか、
“大切な思い出?私のスマホの不具合の時は悪夢だったよ!”
っていう人も(笑)
気を取り直して、見送らなきゃね!バイバイLG!
“一緒に過ごせて楽しかった!もう2度と会わないようにしよう”
LGモバイル関連案内
LGモバイル
顧客の皆様にご案内いたします。これまでLG電子モバイルをご愛好いただき、深い感謝を申し上げます。顧客の皆様と一緒に過ごした時間を、大切な思い出として大事にしたいと思います。