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韓国の有名な仮面の話② 鳳山タルチュムとBTS

韓国史コラム

おはる
おはる

前の記事では河回タルの由来と種類について紹介したよ!『ペーパーハウスコリア』 の両班(ヤンバン)タルと、映画『カクシタル』のカクシタル(仮面)。今回は『ペーパーハウスコリア』で隠れた仮面として登場したもう1つの韓国の有名な仮面について紹介するよ~!

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仮面が必要だった理由

自分の正体を隠すために仮面をかぶらなければならなかったバットマンと、自分をより強く見せるために顔に仮面を扮装したジョーカー
出典:매일경제

仮面が象徴する意味の1番目は東西古今を問わず “匿名性” だ。

基本的にはまず顔を隠すためで、それは自分の身分や正体までも隠したいという行動からだ。

20世紀初めの西洋人のピエロに対する認識と差別をよく見せてくれる推薦映画『グレイテスト・ショーマン(위대한 쇼맨)』(2018)
出典:한국일보

もちろん広大(芸人)やピエロの扮装のように笑いを極大化させたり、役割を誇張するために使う概念として使うこともあるが、“広大(芸人)”という職業は東洋と西洋ともに冷遇された職業だったので、彼らもまた自分たちの日常で無視されないための保護具の役割は明らかだった。

特に彼らの口から出てくる社会批判や権力層に対する嘲弄が激しい場合には、仮面という最小限の“保護道具”は必須だった。 その他に、昔も今も犯罪を犯す時の用途ではより必須なものだ。

オススメの映画『ハートブルー(폭풍속으로Point Break)』(1991)の犯罪シーンに使われる米国の元大統領の仮面
出典:imdb.com

ペコム
ペコム

『グレイテスト·ショーマン』はミュージカル形式の映画だけど、当時の時代像を考えながら鑑賞すると内容も面白くてオススメの映画だ。俳優たちの華麗な公演だけでなく、耳が楽しくなる感じの音楽までもとても良くて、別の記事でレビューしたいほど本当に推薦したい映画!『ハートブルー』も古いけど有名で面白くてオススメの映画だよ!

韓国の仮面遊びの特徴

このような仮面は韓国でも主に様々な公演で使われたが、歌舞伎形式の正劇の形態で発達した日本とは違って、韓国では仮面踊り・仮面遊びと呼ばれる野外での公演形態が大きく発展した。

仮面をつけて踊ることを、韓国ではタルチュム(仮面踊り/탈춤)”や“タルノリ(仮面遊び/탈놀이)”などという。

その種類も多様で、伝統芸能としてユネスコ世界無形遺産に登録されたものもあるが、その中の1つが先に紹介した河回タルをかぶった仮面遊び、“河回別神クッ仮面遊び(하회별신긋탈놀이)”だ。

[ENG SUB][TV 악학궤범] 17. 하회별신굿탈놀이
[ENG SUB][TV 악학궤범] 17. 하회별신굿탈놀이

高麗時代から伝わる河回村の仮面遊びは、村の安全と豊作を願う宗教と祭祀の意味を持つ “グッ(굿/祭祀)” に由来する行事で、村で誕生し、村の人々から代々受け継がれてきた。

日本の神社で神に捧げる公演芸術である神楽の中でも、これに似た自生的な民俗仮面劇の例もあるそうだ。

その後、朝鮮後期の実用性を強調する実学の流行と共に、庶民も芸能と文化を楽しむようになり仮面遊びはより活発に行われたが、身分社会が厳しかった当時の社会風刺的要素が多く含まれていた。

支配階級だった両班の話し方を真似したり、動きを馬鹿みたいに演じながら両班たちの虚礼虚飾を容赦なく風刺するのを見て笑って民衆たちは普段積もった鬱憤を晴らしたという。

タルチュムの様々な仮面(目·鼻·口がすべて歪んだ仮面もある)
出典:朝鮮日報

俳優たちは仮面をかぶって演技をしながら、観客たちに声をかけて劇中に引き込んだりアドリブもよくしたが、現代で言えば “観客参加型公演” といえるだろう。

仮面の“チュム(踊り/춤)” より、仮面“遊び(ノリ/놀이)” とも呼ばれるほど公演者と観客が広場で一体となって楽しむスタイルだったので、一体感も鼓吹させ劇に登場する両班たちを懲らしめる達成感を得ることができた村祭りのようだった。

北東アジアの日中韓とも仮面踊りや仮面劇は存在するが、韓国の場合、ストーリーに重点を置く正劇スタイルの他の国よりは踊りがより多くの役割をし、観客と一緒に “遊ぶこと” の比重が大きいため、韓国人自ら “飲酒歌舞の民族” と呼ぶことはこれが起源かもしれない。

映画『卑劣な街(비열한 거리)』(2006)カラオケ会食のシーン
出典:일요신문
おはる
おはる

日本にもカラオケがたくさんあるけど、韓国には本当にカラオケが多い理由かもしれないね。会食の時、韓国人を見るとみんなダンスと歌が上手で情熱的で“狂ったように遊んでる”って感じがする(笑)

ペコム
ペコム

今の韓流アイドルを作ったのは遺伝子の影響かもしれないと、韓国人も冗談で話しているよ(笑) 3次会以上行かないとそれは会食じゃないよね(笑)

鳳山タルチュムとBTS

ドラマの中で河回タルから再び新しい仮面に変身する場面がある
出典:TV REPORT

Netflixドラマ『ペーパーハウスコリア』には、また別の仮面が登場する。日本の獅子舞のように赤い顔に白いたてがみを持った獅子の姿だ。

赤色のこの仮面も、韓国の有名な伝統仮面踊りの1つである “鳳山仮面踊り(봉산 탈춤) ” の5課程(5番目のパート)の獅子舞パートで使われる仮面で、韓国人にとってはとても有名で見慣れた仮面だ。

だから『ペーパーハウスコリア』の韓国の視聴者は「お~ボンサンタルチュム!(鳳山仮面踊り)」と言いながらその場面を楽しむことができた。

鳳山仮面舞の獅子の姿
出典:한국민속대백과사전

鳳山タルチュム(ボンサンタルチュム/봉산탈춤)は、現在の北朝鮮地域である黄海道鳳山郡に伝承する仮面踊りで、国家無形文化財第17号に指定されている、黄海道地域の代表的な仮面踊りだ。

他の仮面踊りのように身分に応じた様々な種類の登場人物の仮面があり、滑稽と笑いを誘いながら庶民の貧しい暮らしと両班に対する風刺、そして一部の多妻制による男性の女性に対する横暴などに対する現実を風刺をしているが、獅子の可愛い姿のせいか韓国人にも獅子踊りが特に広く知られている。

ペコム
ペコム

幼い頃、一度は兄弟たちと布団をかぶって真似した場面だよね(笑)

しかし韓国の最近の世代には、この場面がもっと有名だろう。 もしかしたら日本人もたくさん見たであろう場面、まさにBTSの鳳山タルチュムだ。映像から観てみよう!絶対観て!(笑)

[BANGTAN BOMB] 'IDOL' Special Stage (BTS focus) @2018 MMA – BTS (방탄소년단)
BANGTANTV(公式YouTube)[BANGTAN BOMB] ‘IDOL’ Special Stage (BTS focus) @2018 MMA – BTS (방탄소년단) 

2018MMA授賞式のBTSのこのライブを見ながら、多くの韓国人たちは本当に感嘆した。BTSのファンでない人たちも「うわ~」と言った場面だ。

すでに歌「IDOL」の歌詞の合間にタルチュムで使われる代表的な合いの手である“オルスー(얼쑤~)”、“チファジャー(지화자~)”、“ジョッータ(좋~다~)”(気持ちの良い状態を表現する感嘆詞)が出ることも、改良された韓服スタイルの舞台衣装を着て出てくることも知っていたが、MMA授賞式の舞台は、伝統文化の現代化の終わりを見せてくれた感じというか。

以前にも歌詞やメロディー、舞台衣装、公演演出に伝統文化要素を追加する多様な試みがあったが、すべてが調和した完璧な演出だと思った。 パーフェクト!

“BTSジョングク、歴代級の「仮面踊り群舞」が話題”(ジョングクの後ろに鳳山仮面が見える)
出典:세계일보

上の写真記事のタイトルのように“歴代級仮面踊り群舞”であり、韓国伝統の “興” をこれほど現代的にうまく表現できるかと思うほどだった。

おはる
おはる

ジョングクの鳳山タルチュムも、ジミンの柔らかいダンスラインを活用した扇子ダンスも良かったけど、個人的にはJ-hopeをさらに見直すきっかけがこの公演だった。裸足で登場して”三鼓舞(サムゴム)”を踊る場面は本当に歴代級だった!(三鼓舞:3つの太鼓を同時に弾く韓国伝統太鼓踊りの一種)

J-hopeの三鼓舞

韓国人自らが私たちは “興(遊ぶ楽しさ)と滑稽の民族” と呼ぶこともあるが、カラオケと会食飲酒文化で説明しにくかった部分を、BTSを含む色々な文化人たちがよく伝えていると思う。

韓流という単語が入るほとんどの記事には “経済的波及効果” と莫大な収益の数値がよく登場するが、文化と伝統を広く伝えることは数字では計算できないからだ。

Netflix韓国ドラマ『今、私たちの学校は…(지금 우리 학교는)』(2022)を全部見たある外国人の反応。(シーバル:くそ,ケセッキ:犬野郎,シーバルノマ:このくそ野郎 全て韓国で使われる罵倒の言葉)
出典:dvdprime.com

もちろん、文化の輸出というのは、上記のイメージのように毎回肯定的な効果があるわけではないが、誤った文化と直さなければならない慣習があるなら、それも受け入れるのが子孫の役割だろう。

ペコム
ペコム

ドラマ『今、私たちの学校は…』の場合は、高校と高校生たちがメインだから実際に学生たちがリアルに使う悪口がたくさん出てきたよ(笑) 上の画像は、外国人たちも今では韓国の悪口言葉をよく知っているから、韓国人も海外で韓国語で悪口をむやみに言ってはいけない時代が来たってことだ。気を付けよう(笑)

おはる
おはる

ドラマや映画で俳優たちがたまに悪口言う演技がぎこちなく感じることもあるけど、学生たちのリアルな韓国語発音を聞きたいならおすすめするドラマ(笑)

鳳山タルチュム
出典:문화유산포털

ドラマ『ペーパーハウスコリア』のレビューをきっかけに韓国で有名な“河回タルチュム”と“鳳山タルチュム”について簡単に紹介し、韓国人の “飲酒歌舞の民族説” や “興の民族説” についても紹介してみた。

以前の記事、モッパンの流行は大食い遺伝子の影響であり、飲酒歌舞も伝統ではないかという誇大妄想に近い話だが、あまり真剣に受け止めずに軽く読んでほしい(笑)

おはる
おはる

仮面踊りと広大(芸人)といえば欠かせない、韓国の名作映画1本をおすすめしてこの記事は終わるよ。

仮面遊びが題材のおすすめ映画『王の男(왕의 남자)』

おはる
おはる

仮面踊りと言えば、この映画は絶対オススメしたい。実は、ぺコムに勧められてやっと観た映画なんだけど、本当に面白かった時代劇映画だったよ!

映画『王の男』(2005)
出典:네이버영화

カム・ウソンとイ・ジュンギ主演の『王の男』。2006年第42回百想芸術大賞大賞、第43回大鐘賞映画祭監督賞と最優秀作品賞受賞作。

タイトルの『王の男』の王とは、朝鮮でも類を見ない暴君として有名な朝鮮王朝第10代燕山君(ヨンサングン)のことで、燕山君の在位期間の1495-1506年頃が映画の時代背景だ。

『王の男』の男は、仮面劇や綱渡り、人形劇、パンソリなどを演じる芸人“広大(クァンデ:광대)”の男たちのことだ。

『王の男』主人公のコンギル
出典:네이버영화

王は愛妻の張緑秀(チャン·ノクス)に溺れ、政事はまともに機能していなかった時期、臣下たちと主導権争いに血眼になって暴政にだけ没頭したため、民衆の生活は息苦しいばかり。

2人の主人公チャンセン(カム·ウソン)とコンギル(イジュンギ)は、生まれつき芸人として優れた才能を持っていたが、両班たちの不当な待遇に耐えられず漢陽(ハニャン)に夜逃げ出す。

偶然、王の前で愛妻チャン·ノクスと欲張りな官吏の不正を風刺する公演を行ったのが燕山君の目に留まり、宮中専用の芸人グループになって…と展開される話で、重い政治部分や歴史の内容はメインストーリーではない。

名場面の1つである仮面をかぶった人形劇をしている主人公の姿

朝鮮時代を賎民として生きなければならなかった2人の男主人公の愛の物語で、絶対権力者だった王も持てなかった “自由な魂” と “愛” そして芸人たちの悲しい運命について描いている。

当時、韓国では非常に珍しい時代劇映画に、同性愛まで扱った映画であるにもかかわらず、1,000万観客を動員し、20年余りが経った今でも全体の韓国映画観客順位15位である。

韓国映画の中でも名作で有名な作品なので、できれば燕山君やその時代についての基本情報は事前に準備して鑑賞するのがおすすめ。

ペコム
ペコム

燕山君がどんな王だったのかだけ分かれば映画がはるかに理解しやすくなるから下のリンクを参考に貼っておくよ! みんなお疲れ様~☺

映画『王の男(왕의 남자)』

*Filmarksリンク → 

*NAVER映画リンク → 

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