キャスターさんも元気でしたか?
ぎこちない空気の不安感
時は流れ2009年、ペク·イジンはニュースキャスターになっており、ナ·ヒドのオリンピック金メダル獲得を祝うテレビインタビュー。
앵커님도 잘 지내셨나요?
ナ・ヒドのセリフ『二十五、二十一(스물다섯, 스물하나)』(2022) 14話中
キャスターさんもお元気でしたか?
生放送のニュースだからか、ヒドの挨拶にはなんだか距離感がある。結末が不安になってくるヒドの挨拶。
ヒドは3大会で連続して金メダルを取ったが、最初のメダルが2001年マドリードの試合で、現在2009年がサンフランシスコならその間、8年。
だったら、2005年までに五輪金メダル3連覇!ものすごいナ・ヒド!(笑)
最も難しかった試合は何かという質問に、ナ·ヒドはコ·ユリムとの決勝戦で、初の金メダルをもたらしたマドリードと答え、過去のシーンに戻る。
2人の間にぎこちない空気が感じられるニュースインタビューシーン。
コ・ユリムの選択
コ·ユリムとの決勝戦を思い出すと言ったが、コ·ユリムのユニフォームにはロシア語が書かれており、電光掲示板の名前は「ユリア·コ」。
私の疑問は、気にせず明るくお酒のゲームをしている太梁高校の友達たちの前で、恋人になったヒドとイジンは手をつないで現れ、ペク·イジンは、「そうなった」という一言で状況を整理した。
そうなったなんて。ヒドをあれだけ泣かせて、ただそうなったなんて~‼
お酒を飲んでいた友達はそれぞれの酒癖を披露し夜を明かし、ユリムとジウンもユリムのお父さんの歌を聞きながら甘い時間を過ごす。
ユリムのお父さんが歌った歌は、ベートーベンの歌曲「Ich liebe dich(君を愛してる)」だが、いきなり音学大学を出たという特別な設定はないかも知れない。
「Ich liebe dich」は1990年代に韓国で流行った歌曲だが、その理由は1991年に歌手シン·スンフンさんが発表した”見えない愛(보이지 않은 사랑)”という歌がきっかけだ。
韓国歌謡の初のクラシックを組み合わせたクロスオーバー曲で、歌の導入部に「Ich liebe dich」が出てくる。シン·スンフンさんの歌もアルバム100万枚が売れるほど良く、歌曲まで一緒に大人気だった。
だから韓国人にはとても親しみのある歌曲だよ。
幸せな時間は長く続かず、ユリムのお父さんが交通事故を起こした。巨額の治療費と示談金が必要な状況。
自暴自棄になろうとする父を見るに見かねて、コ・ユリムは難しい選択をする。“帰化”
実業チームと契約しようとしたユリムは巨額をもらう条件で、ロシアに帰化しようと考える。両親はユリムを止めるが、他の解決策がない。
나 약속 지켰어
コ・ユリムのセリフ『二十五、二十一(스물다섯, 스물하나)』(2022) 14話中
約束を守ったよ
다이빙장. 다시는 가지 않기로 너랑 약속했던 거
飛び込みを二度としないという約束
나한테 펜싱은 그냥 수단이야. 우리 가족 지킬 수 있는 수단
私にとってフェンシングはたたの手段 家族を守る手段
ヒドを訪れたユリムのセリフ。
ユリムの選択を理解はしても、人々からの非難を経験したヒドは他の方法を探してあげたいが、もう20歳を過ぎた彼らに出来ることはない。
そうやってユリムは国籍を変える準備をする。ヒドとユリムの思い出作りはここまでか?
겁도 없이 기자가 됐네요, 제가
ペク・イジンのセリフ『二十五、二十一(스물다섯, 스물하나)』(2022) 14話中
何の恐れもなく記者になりました
내 편인 사람들한테 비수를 꽂고, 상처 주는 일이요
僕の大切な人たちを裏切って傷つけることです
いつかこんなことが起こると思っていたけど、あまりにも早くその日が来てしまった。
悩んでいたペク·イジンは取材のためにユリムを訪ねたがためらい、
백이진 기자님, 준비해온 말 해. 오빤 해야 돼
コ・ユリムのセリフ『二十五、二十一(스물다섯, 스물하나)』(2022) 14話中
ペク・イジン記者 聞きたいことを聞いて。聞かなきゃ。
と言って、ユリムは取材を承諾した。ユリムも難しかった決断。
そうしてペク·イジンのニュースは放送され、ユリムの送別会をしていたヒドはペク·イジンを訪ねる。
꼭 이랬어야 됐어?
ナ・ヒドのセリフ『二十五、二十一(스물다섯, 스물하나)』(2022) 14話中
こうしなきゃいけなかったの?
네가 하는 일이 그런 거구나. 남의 비극 팔아서 장사하는 거
それがあんたの仕事なのか 他人の悲劇を利用する仕事
너 나랑 계속 만날 수 있겠어?
ペク・イジンのセリフ『二十五、二十一(스물다섯, 스물하나)』(2022) 14話中
俺とずっと付き合える?
혹시 또 모르잖아. 내가 네 비극 이용해서 장사할지도
もしかしたらお前の悲劇を利用するかも
誰よりも大人だったイ·ジンも、大人になったヒドも、お互いを深く傷つけていた。
むしろ、ユリムとジウンがもっと成熟した姿ではなかっただろうか。
내 불행이 너한테 옮지 않았으면 좋겠어, 지웅아
コ・ユリムのセリフ『二十五、二十一(스물다섯, 스물하나)』(2022) 14話中
私のせいで不幸にならないで ジウン
난 네가 줄 수 있는 게 불행뿐이라고 해도 난, 할래. 같이 안 하면 상관없어
ムン・ジウンのセリフ『二十五、二十一(스물다섯, 스물하나)』(2022) 14話中
君が僕を不幸にさせるとしても別れない 一緒に不幸になる
ムン·ジウンはロシアへ発つコ·ユリムに永遠の愛を約束し、2人はキスを交わした。
売国奴
ペク·イジンは自分の職業について辛かったが、一番大変だったのはやはりユリムだっただろう。
ヒドと最後の思い出作りをしていたユリムは、中華料理店でひどい目にあってしまう。
“売国奴”にはジャージャー麺を売らないという店主。
“ 国家代表が国籍を変え、帰化を選択した ” 昔は売国奴に追い込む雰囲気だった。
돈 때문에 국적 바꾸는 거랑, 나라 팔아먹는 거랑 뭐가 달라?
店主のセリフ『二十五、二十一(스물다섯, 스물하나)』(2022) 14話中
お金のために国籍を変えるのは国を売るのと同じだ
제가 뭘 팔았다면 저는 저를 판 거에요 돈 때문에
コ・ユリムのセリフ『二十五、二十一(스물다섯, 스물하나)』(2022) 14話中
私はお金のために自分自身を売ったんです
아저씨가 짜장면 팔아서 돈 버는 것처럼, 저도 제 실력 팔아서 돈 버는 거예요
おじさんがジャージャー麺でお金を稼ぐように私は実力で稼いでるんです
전 매국노가 아니라 손님이에요
私は売国奴ではなく客です
コ·ユリムは客の権利を要求しジャージャー麺を受け取り、不当なら抗議することをヒドに習ったと言う。
もともと、米国のNASAへの就職を夢見て工学部に通っていたペク·イジンが、お金のために記者を選択してから、過度な職業倫理意識で悩む場面も理解できなかったが、ジャージャー麺のシーンに対しても少し疑問を抱くことがある。
ユリムの言葉のように個人の権利と人生は保障されなければならないということも正しく、いかなる選択も自由である。しかし、以前のような国家主義精神ではなくても、“ 国家代表 ”というのは少しは違う考え方をするべきではないだろうか。
単純に「私も私の能力でお金を稼ぐ」とはいかないのが、一国の予算が入ったシステムの中で訓練して競争しながら成長し、彼らとの順位によって任されたポストだから。
“ 代表 ”。その名のとおり、他の人たちが犠牲になりながらも任されたポストではないか。選抜された選手がいればその選手によって脱落した選手もいるが、その選手の立場はどうなるの?
その競争を勝ち抜いたのは私だから私に選択権があるの、と言うかもしれないが、単純な問題ではないと思う。だから最近までも相変わらず、個人と国に対する選択の議論が続いているのだ。
もっとよく考えてみると、国家代表年金にメダル褒賞金、実業チームの契約金と給与、広告モデルまでするほど人気のある選手が、お金のため帰化を選択したのも少し戸惑う。そのくらいのお金は韓国でも十分に可能だと思うから…。
トンネルに書かれた「コ·ユリム売国奴」の落書きを見てペク·イジンは号泣し、その姿を見守るナ·ヒドの姿。
この時代にあんなに落書きまでしたの?という気もしないうちに、衝撃的なペク·イジンの発言とともにこの回は終わる。
그리고 늦었지만, 결혼 축하드립니다 나희도 선수
ペク・イジンのセリフ『二十五、二十一(스물다섯, 스물하나)』(2022) 14話中
そして遅くなりましたが、結婚おめでとうございます ナ・ヒド選手
いや、誰が誰と結婚したんだって急に~~~!!!今終わるな~!!!
仲間から敵へ
ショートトラックの伝説、アン·ヒョンス
テレビインタビュー場面のヒドのセリフとおぼろげな表情は一体どういう意味だったのか。
第13話でやっとお互いの心を確認したから、もっとラブラブな姿を期待したけど、葛藤と悩みだけがさらに膨らんだ回だったから少し負担になった回だった。
あと2話しか残っていない時点で、 どうやって締め括ろうとしているのか心配になり始めた。
映画『ララランド』(2016)と同じように流れているという話があるが、個人的にはそんな余韻は嫌だㅠㅠ ハッピーエンドが良い。(笑)
コ・ユリムの帰化の場面を見ると、最初に思い浮かぶ人が韓国ショートトラックのアン·ヒョンス選手だ。いや、ロシアの “ビクトル·アン”。
世界ショートトラック界の伝説と呼ばれる選手。 1985年生まれ。
韓国代表として参加した2006年トリノ冬季五輪金メダル3冠王。 銅メダル1個
ロシア代表として参加した2014年ソチ冬季五輪の金メダル3冠王。 銅メダル1個
アジア大会で金メダル5個、銀メダル1個。
世界選手権大会で金メダル20個、銀メダル10個、銅メダル5個。
少しよろめくだけでも順位が変わるショートトラックの特性上、順位変動の激しい種目で文字通り、圧倒的に独走をしてきた人物。
8年の間に何が起こって、彼はロシアに帰化をしたのかを調べなければならない。
韓国で冬季種目への関心と環境は非常に劣悪だったが、1990年代から新設されたショートトラック種目で良い成績を修め始めた。
成績が良くなって、支援と人気も出て、ショートトラック最強国の地位まで手に入れた。
しかし、世界どの国もいつも公務員でなければ協会が問題だが、韓国も同じだ。
アン·ヒョンスは韓国のエリート選手たちが集まる「韓国体育大学」所属で、同じ大学出身のチョン·ミョンギュという有名監督が作った「韓国体育大学派閥」があったので韓国スケート協会は何度も話題になった。
五輪の金メダルより韓国1位がさらに難しいと言われるほど、国家代表選抜競争が熾烈だったが、自分の学校の派閥に順位を後押したり、反対派閥選手の走行を妨害する事件が何度も摘発されたのだ。
さらに、五輪団体戦出場でも、練習も別々にしていたことが知られ、激しく非難された。
アン・ヒョンス選手は2006年五輪の3冠王以後、膝の手術の影響で2010年五輪代表に選ばれず、所属チームまで解散したため、行き先がなくなった。
2014年ロシアのソチで開かれる次の五輪を準備するため、アンヒョンス選手はロシア帰化を選択。
多くの支援を受けたのに帰化したことで売国奴非難を受けたが、代表チームの選抜戦や練習の派閥問題で被害を受けたことが伝えられ、少しは理解する雰囲気だった。
しかし、アンヒョンス選手の派閥が最大の派閥だったため、むしろアンヒョンス選手が派閥の恩恵を最も多く受け、他の派閥選手の被害まで確認され、世論は再び反転した。
韓国で毎月支給される金メダル年金まで一括払いで全て受け取っていた状態だったため、個人か国家かビクトル·アンをめぐる論争は続き、ロシア五輪の金メダル3冠王で締めくくられた。
ビクトル·アンが金メダルということは、韓国選手たちが敗北したということだ。ロシア国旗を持ってセレモニーをする姿を見守る韓国人たちの心情は非常に不快だった。
それでも実力は相変わらずだね、公正に競ったのだから韓国選手たちがもっと頑張らなきゃと心を鬼にした時に起きた、ロシア代表チームの薬物論争。
ビクトル·アンも摘発されて、2018年平昌五輪への出場が禁止されてから売国奴に対して再び騒がしくなった。
「復活じゃなくて薬物だったなんて」って裏切られた感じだった。メダル取り消しはできなくて、銀メダルだった韓国選手だけが悔しい思いだったから。
ただでさえフィギュアスケートのキム·ヨナ選手の銀メダルでかなり怒っていたのに、さらにロシアに対する怒りが爆発した。
当時、金メダリストのソトニコワも薬物のようだと言っていたが、結局2022年になって事実と確認されたが、結局メダルは取消ならず。
そのように売国奴ヴィクトル·アン、薬物中毒ヴィクトル·アンで消えると思ったが、2022年、彼の名前は再び登場する。今度は中国国家代表コーチ。
ここまでくると、理解しようと思っても 出来ないんじゃない?(笑) そんな中、韓国の育児バラエティーに出演して韓国でお金を稼いで(笑) 韓国人も許してあげようとしてたのに(笑)
同僚の敵としてイム·ヒョジュンとファン·デヒョン
ビクトル·アン論争があっても韓国人が心配しなかった理由は “第2のアン·ヒョンス” イム·ヒョジュン選手がいたからだ。この選手がいるから、韓国では競争が難しいと判断し、アンヒョンスもロシアに帰化したのだ。
イム·ヒョジュン選手の他にもライバルのファン·デホンという選手まで2人とも最高の技量だったので、韓国ショートトラックの未来は明るく見えた。2人の選手の世界ランキングは1、2位。
ピンチの時は、助け合うほど2人の仲は親しかった。
2019年、練習の休み時間に、ファン·デホン選手が女子選手のお尻をいたずらで叩いたが、それを見ていたコーチがセクハラになりかねないと警告。
重い雰囲気を変えようとして、イム·ヒョジュン選手がいたずらでファン·デホン選手のズボンを掴み下ろしてお尻が少し見えてしまう事件が発生。女子選手たちの前で恥をかいたとファン・デホン選手が通報したため、イム·ヒョジュン選手は国家代表資格1年停止。
イム·ヒョジュン選手は、1審で有罪判決が下され、年金やスポンサーも途絶えたことがある。
当時、イム·ヒョジュン選手はセクハラ犯とされ多くの非難を受けたが、ファン・デホン選手はもっとひどいいたずらもしていたという同僚たちの証言と供述書のおかげで、2審では最終的に無罪判決を受けた事件だ。
当時、韓国はMetoo運動でセクハラに対して厳格だった時期。スケート協会は裁判の結果も出る前に急いで資格停止という懲戒を下し、それによってイム·ヒョジュン選手は中国に帰化しなければならなかった。
親しくしていた2人の事件は、「ファン·デホンがナンバーワンになるためにエースのイム·ヒョジュンを追い出した」と、「それでもライバルチームの中国に行くのは売国行為だ」という論争が起き、2022年五輪で、ファン·デホン選手の金メダル獲得に終わった。
イム·ヒョジュン選手は中国代表選抜戦で脱落。
イム·ヒョジュンは、「私がいなかったから、ファン·デホンが金メダルを取ることができた」とし、次の五輪は覚悟してほしいと刺激している状況だ。
韓国体育大学の派閥監督の中国チーム監督赴任、ビクトル·アンの中国チームコーチ赴任、そして
女性チームでは選手間で「いじめ」の議論まで起こり、主要選手が参加しなかったため、あれこれ騒がしかった五輪だった。
2人ともまだ幼いから、イム·ヒョジュン選手とファン·デホン選手のストーリーは進行形と見るべきだろう。
ドラマの中のコ·ユリムとナ·ヒドの対決はロマンチックだったが、この2人の選手は対決はとても殺伐としているようだ。 果たして誰が勝つことになるか、 次のオリンピックに注目だ!