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ドラマに出てくる軍隊言葉 軍隊では何であんな喋り方?

韓国文化と生活

ペコム
ペコム

今日のテーマは映画·ドラマによく登場する “軍隊の言葉” だよ! 韓国の男性の声や話し方に大きな影響を及ぼしている軍隊式言語の理由、そして “難聴” が発生する原因について調べてみたよ!

おはる
おはる

この記事はNetflixドラマ『D.P.』解説の補足記事なので、シーズン1の1話と一緒に読むと理解しやすいです★

ドラマ『D.P.』解説シリーズ

韓国の男性が「トラウマが蘇る…」という程リアルな軍隊の様子を扱ったドラマ『D.P.』。ただ視聴するだけではもったいない!ドラマに隠された韓国の軍隊文化や意味など、ドラマを理解するのに役に立つ色んな話をまとめています★

【事前情報】
韓国女性が最も聞きたくない話1位は?
外国人が『D.P.』をよく知らない理由

【解説シリーズ】
『D.P.』シーズン1のおさらい & 韓国の軍隊文化

軍人の声が大きくなければならない理由

ドラマ『D.P.』シーズン1の1話序盤
出典:다음뉴스

Netflixドラマ『D.P.』シーズン1の1話には、「二等兵!アン!ジュ!ノ!」と叫ぶ場面から始まる。

韓国軍だけでなく、ほとんどの軍人は似たような話し方をする。“大きな声”、“自分の等級と名前を言う” 、“はっきりと区切って話す” くらいに象徴できると思う。

大きな声

一般人からすると、なぜそこまで叫ぶのかと思うかもしれないが、戦場での騒音を考えると普通の声では意思疎通ができないため、普段も習慣をつけなければならない。

ほとんどの軍用機器の騒音は皆さんの想像を絶するが、普段の訓練時にも対話伝達がまともにできなければ事故につながってしまうのだ。

戦車兵のヘッドセット着用の様子
出典:네이버뉴스

特に、タンクや戦闘機はエンジンをかけただけで何の音も聞こえないほどなので、戦車兵やパイロットはコミュニケーションのためのヘッドセットを着用する。

それくらいなので、すべての韓国の男性が軍隊で一番驚くことがこの “騒音” だ。

訓練所で初めて銃を打てば、その音があまりにも大きいので、テレビや映画の場面はすべて詐欺だったと思うほど。映画の中の大砲の音の大きさが実際の銃声と考えてもらえばいいだろう(笑)

射撃訓練をしたら、その日は一日中耳鳴りがするくらいで、手榴弾の場合は地面が鳴るくらいだよ。

ペコム
ペコム

これくらいなら、実際の大砲の音は言わなくても分かるよね? 絶対に想像以上!(笑)

韓国軍の射撃訓練の様子(左)、軍用耳栓が必要な理由(右)
出典:동아일보뉴시스

韓国男性の代表的な病気3つ

軍隊のおかげで?韓国の男性の代表的な病気3つが、“難聴”、“膝関節炎”、“水虫” だ。

特に、“左耳難聴” がひどいが、原因はまさに射撃騒音。

右利きが多いから射撃姿勢をとると、銃に近い左耳の難聴がもっとひどくなるしかないのだ。

統計によると、20代以前までは男女の差はないが、20代から男性の難聴が女性に比べて3倍以上急増するそうだ。

군대 사격 이대로 두면 귀 다 작살납니다
射撃姿勢による難聴を説明する耳鼻咽喉科の医師たち 出典:닥터프렌즈

ほとんどは弱い難聴だが、ひどい場合もしばしばあり、これまで国防総省はその責任を回避してきた。

しかし、韓国男性の特異な現象に対する医療界のたゆまぬ統計検証のおかげで、最近は射撃訓練時に軍用耳栓を支給し始めた。

以前まではティッシュを巻いて耳に入れたり、訓練所の入口で売っている耳栓を各自購入すること以外に備えがなかったのだㅠㅠ

訓練所の入り口には雑商人が多いが、一番人気のアイテムが “電子時計” と “耳栓” というほどだ。

ペコム
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丈夫で防水でアラームと夜光機能があるカシオ電子時計は金持ち芸能人にも入隊必須の物品(笑)

訓練所入口で最多販売アイテムであるフォーム型耳栓(左)、俳優イ·ジュンギの電子時計(右)
出典:부산일보네이버뉴스

なぜ軍人の話し方はああなのか? “다나까(ダナカ)?”

広い野外の大きな騒音の中で意思疎通をしなければならない軍人の特性上、大きくて正確に、きちんと話すことが必要なのは事実だ。

しかし、多くの階級上位者たちが大きな声を “軍紀の象徴” と認識しているため、低い階級の兵士だけに強調されることが問題だ。

だから低い階級は大きくはっきり言う反面、階級が上がるほど声は小さくなり速度は速くなる。 ドラマの中のハン·ホヨルの話し方を見ればいい(笑)

ペコム
ペコム

声の大きさと速度、発音の正確度だけでも階級がすぐに分かる。言葉尻がはっきりしてなければ古株だよ(笑)

「二等兵アン・ジュ・ノ、聞き取れませんでした!」
出典:다음뉴스

こんな状況の中で誕生した韓国軍隊の新文法?有名な軍隊の話し方 “다나까(ダナカ)” 体だ。

外国人が韓国語を聞く時に最もよく聞こえる言葉「~しました(~했습니)」「~です(~이)」のように文章の終結語尾には “다(ダ)” を使い、質問をする時には「~しましたか?(~했습니?)」「何ですか?(무엇입니?)」のように “까(カ)” を使うのが韓国軍隊で使う “다나까(タナカ)” 体だ。

おはる
おはる

다나까(ダナカ)体の나(ナ)は、日本語では “もしくは” という意味だよ!だから語尾に다(ダ)、もしくは까(カ)だけを使わないといけないというルールが다나까(ダナカ)体!!

実はダナカ体は社会でよく使う話し方の「~しました(~했어:ヘッソヨ)」「そうですか?(그래?:クレヨ?)」のような “요(ヨ)” がついた言葉を使わないことが核心だ。

ペコム
ペコム

上の写真のアン·ジュノの場合、「何ですって?(뭐라고요?:モラグヨ?)」、「聞き取れませんでした(チャル モットゥロッソヨ)」と言えば殴られるんだよ(笑)

『太陽の末裔』“이건 좀 아니지 말입니다?”
出典:네이트뉴스

“다나까(ダナカ)” 体は韓国の時代劇に登場する、とても敬った格式用文体と似ているが、正式文法ではない。

しかし、この言い方を強要した理由は “ダ(다)” と “カ(까)” で終わると発音が明確で音もよく伝わりやすいという長所がある。

軍隊では情報を正確に伝えなければならないが、「~しました(~했어요:ヘッソヨ)」、「違うと思います(아닌 것 같아요:アニンゴッガタヨ)」 のように文章の語尾がはっきり終わらないと正確な意味伝達が難しく、音が中に入る発音なのでよく聞こえないのだ。

ペコム
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それでもこの言い方の問題は~ドラマ『太陽の末裔』でとてもよく現われる~(笑)

“ダ(다)” と “カ(까)” を最大限使うのではなく、 “ダ(다)” と “カ(까)” だけを使っているので、韓国語法に全く合わない変な言葉が生まれたということだ(笑)

すべての会話を “ダ(다)” と “カ(까)” で終結した結果、「~してください(~하시지 말입니다:ハシジマリmニダ)」という変な語尾が誕生した。

「おやすみなさい(주무세요:チュムセヨ)」、「おっしゃってください(말씀하세요:マルスmマセヨ)」のように “요(ヨ)” で終わる文章を無理やり “다(ダ)” で終わろうとして文法に全く合わない文章に変身(笑)

「~してください(~하시지 말입니다:ハシジマリmニダ)」は、ドラマ『太陽の末裔』で非常によく使われる口調で韓流ファンに人気を集めたが、問題は…···

ペコム
ペコム

『太陽の末裔』が放映された2016年、国防部は다나까(ダナカ)体の使用を全面禁止したんだ(笑)

軍隊でも「キム兵長、食事しましたか?(식사하셨어요?:シクサ ハショッソヨ?)”が可能になります
出典:더코리아뉴스

これまで다나까(ダナカ)体の使用がハングル語法破壊という指摘と、将兵のいじめ道具に使われるという非難が続いたため、国防部では2016年3月付けで全面禁止を熱心に広報していたが、ドラマの人気のおかげで全て水の泡となった(笑)

다나까(ダナカ)体使用の最大の問題は “不適応” だ。

ただでさえ軍隊という新しい環境に適応するのも大変なのに、一生口に染み込んでいる習慣である “~요(ヨ)” が出てしまうのは仕方ないことじゃない?

社会では全く使わない話し方を入隊したばかりの訓練兵や二等兵に強要しているので、すべての苦しさの始まりが将兵が話し方を皮肉することから始まるんだよ。

ペコム
ペコム

無意識のうちに一言間違えると、「ヨ~???」、「こいつ正気じゃないな~」で始まる殴打やいじめが始まるんだよㅠㅠ

復命復唱をする理由と官等姓名

海軍女性軍人出身の絵本のタイトル『聞き間違えましたか?』
出典:싱글플러스

こういう状況で韓国軍人が一番よく使う言葉は「よく聞こえませんでした」だ。

社会では全く聞いたことのない軍隊用語や変形した単語をよく使うので、何を言っているのか理解できない場合が多く、上級者の指示事項を聞き返す時によく使う。

理解できなかったと言ったら怒られるから、聞いてないふりをする行動で、社会では普通「はい?(예?:イェ? / 네?:ネ?)」のような表現で問い返すと簡単だが、“ダ(다)” と “カ(까)” で終わらせようとして、またもう一つ変な文章誕生(笑)

ペコム
ペコム

それでいて上級者は説明はちゃんとしてくれないくせに、「お前は耳が塞がったのか? なんで聞こえないの?」という言葉でいじめるけど、私の耳は大丈夫だよ~!!! 聞こえなかったんじゃなくて 理解できなかったという意味なんだけど(泣)

かわいいインコカップル
出典:인사이트뉴스

このように聞き間違えを防止し、意思伝達がうまくいったか確認するために軍人たちは “復命復唱” をする。

復命復唱は上級者が下した命令や指示を繰り返して言うもので、その指示事項が正確に伝えられたことを確認する方法だ。

社会では相手が言ったことを何度も問い返したり繰り返したら相手を怒らせるが、軍隊ではオウムのように真似しなければならないのだ。

ペコム
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例えば上級者が「書類をコピーしてきて」と頼んだとき、「はい、分かりました」ではなく「はい、コピーしてきます」と言うのが伏兵伏槍だ。

手術室メスの伝達の様子
出典:JTBC뉴스

こうすれば指示した人も相手が確実に伝達されたかを確認できるので、軍隊では必要な方法ではある。

ドラマの手術室のシーンで医師が「メス」を叫ぶと、看護師が「メス」と答えて伝えるのも復命復唱で、手術道具を渡す看護師も自分がすべき行動をもう一度点検する効果まである。

もちろんこれも社会では馴染みのある表現方式ではないので、兵士たちを苦しめる要素になるというのが問題だ。

ペコム
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新兵の立場では気を使わなければならない要素が多すぎるのに、口からは自動的に社会の話し方が出てくるのが問題(笑)

「二等兵!アン!ジュ!ノ!」

このように普段の習慣の多くを変えなければならない軍隊で、もう一つの行動方式の一つが “官等姓名” だ。

上級者が自分を見たり、体を触ったり、名前を呼んだ時に自分の階級と名前を言わなければならないが、入隊初期にはほとんど無意識的に「はい(예:イェ/네:ネ)」という答えが先に出てくるので、この場合もやはりいじめの始まりだ(笑)

ドラマ『D.P.』 1話の最初の場面のように、ファン・ジャンス兵長が体を触るたびに繰り返し「二等兵~アン!ジュ!ノ!」を叫ぶ状況自体がいじめになるため、今では兵士間の官等姓名は禁止された。

ペコム
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訓練所に行くと、下の映像のように必ず「はい!」と叫ぶ人がいる(笑)

[공감영상] #2. 첫 관등성명_ 이런 훈련병 꼭 있다!-!-
初めての官等氏名_こんな訓練兵必ずいる! 出典:Love story

軍隊の言葉とパワハラ文化

韓国軍の軍隊文化はほとんどが日本統治時代の日本と朝鮮戦争以後、アメリカの影響を受けたものだから、こういう文化が韓国だけにあるわけではない。

ベトナム戦争を扱ったアメリカの有名戦争映画『フルメタルジャケット(Full Metal Jacket)』の訓練所の場面(下の映像)を見れば字幕がなくても内容が把握できるほどかなり似ている。

このような “軍隊の言葉” と話し方は、上級者が下級者を苦しめるための道具として使われるのが問題であって、簡潔で明確なコミュニケーション自体はそれなりに効率的だから。

ペコム
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韓国企業で軍隊式の話し方やマナーをよく使う理由がここから始まったんだ。 韓国の男性には馴染みがあって、それなりの長所もあるから。

풀 메탈 자켓(Full Metal Jacket) – 훈련교관 하트먼
映画「フルメタルジャケット(Full Metal Jacket)」の訓練所シーン

問題は軍隊式文化の長所だけを利用するのではなく、いじめまで真似する会社が多いということだㅠㅠ

会社だけでなく日常生活でも軍隊式暴言やパワハラがニュースに登場し、ましてや体育大学や芸術大学側の規律文化がひどくてよく論難になったりする。

最近はアパートの警備員が住民に復命復唱をしなかったと暴行された事件があるほど、韓国社会の奥深くに弊害となっている。

軍隊の階級文化が社会のパワハラ文化に広がっていく感じというか。軍事政権時代を比べると、かなり減ったものの、パワハラ関連ニュースが消えないㅠㅠ

ペコム
ペコム

軍隊でも社会でも人を人らしく思いやりのある世の中がやってくることを願いながら、今日の記事は締めくくり!

企業代表が職員に暴行を加える場面(左)、体育大学で団体気合を受けている姿(右)
出典:한국일보조선일보

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