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映画『KCIA 南山の部長たち』レベルA 登場人物&撮影エピソードとロビイスト

映画・ドラマで学ぶ韓国
ペコム
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前の記事では事前情報を紹介したけど、今回はさらに踏み込んで、ちょっとした映画の情報を紹介するよ!

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映画『KCIA 南山の部長たち』

KCIA 南山の部長たち

映画『インサイダーズ 内部者たち(내부자들)』(2015)で大成功を収めたウミンホ(우민호)監督の2019年韓国靑龍映画賞最優秀作品賞受賞作品。『インサイダーズ 内部者たち』に続き、2回目の最優秀作品賞受賞。

「南山の部長たち」は、1990年、東亜日報に連載されていた小説が原作で、日本でも出版された。イビョンホン(이병헌)、イソンミン(이성민)、カクドウォン(곽도원)など、演技派俳優が出演する男性的なスタイルの映画で、キャスティングだけでも映画が完成されたっていう評価もあるほど。

キャストと実際の人物

同じテーマを扱った映画『ユゴ 大統領有故(그때 그사람들)』(2004)は、公開当時、訴訟と議論が多くあったため、すべての登場人物は仮名を使用し、「この映画はフィクションです」という案内文が必須になった。

『ユゴ 大統領有故』の場合、幾度なる訴訟の末、映画の中のシーンで何か所かカットしないと公開が出来なかったんだよね。

出典:네이버

俳優名役割映画内での名前 モチーフとなった実際の人物
イビョンホン中央情報部部長キムギュピョン金載圭(김재규)
イソンミン大統領パク統朴正熙 (박정희)
カクドウォン前中央情報部部長パクヨンガク金炯旭 (김형욱)
イヒジュン青瓦台警護室長カクサンチョン車智澈 (차지철)
キムソジン政治家?デボラシムSUZI PARK THOMSON
写真左から紹介

4人の男性については他の記事でも紹介したのでもうお分かりかと思うが、いきなり出てくる謎の女性… SUZI PARK THOMSONさん。

この女性がどこか独特でありながらすごいのが、アメリカ連邦行政府下院議長秘書室長、国会議長秘書室長を歴任し、アメリカの政界でも人気が高く、コリアゲート事件当時、ロビー活動をしてて、アメリカの9選下院議員と結婚し、現在もアメリカで政治活動をするほど影響力がある人物!

※ロビー活動とは特定の主張を有する個人または団体が政府の政策に影響を及ぼすことを目的として行う私的な政治活動のこと。

若いころのSUZI PARK THOMSONさん
出典:DVDPrime
2018年の下院議員選挙の出馬当時のSUZI PARK THOMSONさん(右) 出典:한국일보

映画ではデボラ·シムだけが出てくるが、実際のコリアゲート事件の比重がより大きい核心人物は、朴東宣(パク・ドンソン)という在米韓国人事業家出身のロビイストだ。朴東宣については、レベルBの記事で詳しく紹介する。

コリアゲート事件とは

コリアゲートとは、1970年代に韓国人実業家の朴東宣が、韓国中央情報部などと連携し、アメリカ合衆国下院議員への買収工作を行なった工作のこと。動機はニクソン政権が示唆した米軍の韓国撤退を阻止するものである。 1977年9月に朴東宣は「アメリカ政界への贈賄」などの罪でアメリカで起訴された。 (出典:Wikipedia

撮影地と海外のロケーション

国内シーンは、主に青瓦台の執務室と宮井洞のセット場で撮影し、映画の全体の雰囲気と色味がまるでノワール映画やギャングスター映画を観ているような暗くて冷たい感じを与えている。暗くても影を適切に生かす部分照明、俳優たちの節制された演技とセリフだけでも、のめり込んでしまうような緊張感を与えてくれる演出でとても良い評価を受けた。

海外撮影は、実際の出来事が起きたアメリカのワシントンとフランスのパリで撮影を行ったが、評価が分かれてしまう部分でもあり、監督は残念がっていた部分。コストの問題で短期間で多くの撮影をしなければいけなかったせいで、昼の場面や明るい画面が多くなってしまったからだ。

映画全体の冷たく重たい雰囲気の演出バランスが崩れたという評価と、暗くてもどかしい韓国のセットのシーンで広く明るい海外のシーンがあることで飽きなかったという評価に分かれた。

金炯旭が拉致された場所であるパリのヴァンドーム広場は、撮影の許可が簡単に降りる場所ではないが、フランス側も歴史的な事件の再現に関心があったようで、異例的に韓国映画初の許可を得たそうだ。

パリのヴァンドーム広場での撮影の様子
出典:네이버영화

ビハインドストーリー

イビョンホンさん
出典:네이버영화

実力派俳優イビョンホンさんは監督から「肌の色も変わったみたい」と言われる程に、目つきや表情の演技だけでも多くの表現が可能だということを見せてくれ、とても高評価を受けた。

イソンミンさん
出典:네이버영화

イソンミンさんは、役を演じる朴正煕大統領がかなり有名な人物だったので、可能な限り似せるために、本人の耳の形に似せた特殊メイクをしたり、発音を似せるために矯正器具を付けて撮影をしたそうだ。

イヒジュンさん
出典:네이버영화

車智澈警護室長の役割のイヒジュンさんは、ウミノ監督の前作の映画、『麻薬王(마약왕)』(2017)の出演がきっかけでキャスティングされ、演技力に関してはすでに知っていたので、1つだけお願いしたという。
「体重だけもうちょっと増やしてくれたら嬉しい」
それで、イヒジュンさんは体重を約25㎏も増やして撮影したそう!

全斗煥の役を演じたソヒョヌさん、本当は髪の毛が多い。
出典:아시아경제

一番意外なキャスティングは、全斗煥の役割をしたソヒョヌさん。これまで、あまり知られていなかった俳優で、特殊メイクも可能だったが、この役割のために6ヶ月間実際に髪を剃った姿で過ごし、ある日近所の銭湯に行ったとき、銭湯に居たお年寄りたちがビックリして自分を避けて出ていったと話す。

キムソジンさん
出典:네이버영화

デボラ・シムの役を演じたキムソジンさんは監督の前作『麻薬王(마약왕)』(2017)で俳優ソンガンホさんが演じるイドゥサムの妻役として出演。絶好調の演技力で、最近は”女ソンガンホ”などと呼ばれ、認知度が上昇中の俳優。

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