韓国芸能事務所③ ADORのミン·ヒジン代表はどんな人？HYBEとの関係は？

I’M YOUR FATHER, I’M YOUR MOTHER.

パン・シヒョク代表と［HYBE］を知ってますか？

日本の韓流ファンは、これまでTWICEとNiziUなどのプロジェクトを通じて日本での認知度が急上昇したパク·ジニョン代表の［JYP］や、BoAや東方神起、少女時代などの伝統の名家イ·スマン代表の［SM］、BIGBANG、2NE1、BLACKPINKに代表されるヤン·ヒョンソク代表の［YG］が、これまで韓国３大エンターの名家と呼ばれたことを知っているはず。

そして日本での韓流も古いので、各グループと所属事務所ごとに浮き沈みする流れの中、BTSというグループが世界的なアイドルグループになったというニュースも聞いたことがあると思う。

しかしBTSの人気が世界的で、韓国最高のアイドルグループだということだが、実はこれまでの記事を読む皆さんの中には相変わらず、BTSとパン·シヒョク代表、そして［HYBE］についてよく知らない人が多いと思う。

上の写真は、2022年アメリカのTIME誌選定 “影響力のある世界100大企業” に選ばれたBTSとパン·シヒョク代表の表紙写真だ。

TIME誌の表紙写真にはもう何度も登場しているので目新しくはないが、選定項目が、影響力のある “企業” だということに注目しなければならない。BTSがすなわち企業であり、パン·シヒョクが［HYBE］であり、BTSそのものが［HYBE］という意味だ。

ミン·ヒジン代表の記者会見が気になるが、なぜBTSの話をするかというと、［HYBE］を知ってこそ記者会見の理解が容易になるから(笑)

パン·シヒョク代表はBTSというグループを作ってから、潰れる直前になるほど大変な苦労をし、諦めずに自分の意地を押し通したあげく、BTSの成功を引き出したのだ。

韓国のエンター会社の順位を知っていますか？

そうして成し遂げた会社が、今は既存の韓国３大エンター会社をすべて抜いて、現在は圧倒的な皇帝の座を占めている。時価総額12兆ウォン、韓国のすべての上場企業の中で50位圏内。

エンター会社１位は当然で、今では韓国全体企業の中で大企業50位内に属する企業だ。最高順位は23位だったから、日本企業の時価総額の順位と比べてみると分かると思う。

まさにこの部分を正しく理解してこそ、今回の［HYBE］事件の波紋を実感できるのだ。［HYBE］というエンター会社で経営権簒奪事件が発生したのではなく、［HYBE］という巨大企業で経営権問題が発生したとなるのだ。

［HYBE］で［ADOR］の監査開始を知らせた2024年4月22日たった１日で、株価下落により［HYBE］の時価総額の約１兆ウォンが消えた。１兆ウォンだよ。１千億ウォンじゃない(笑)

そのため今現在でも、この事件が韓国で波及力の大きいニュースなのだ。文化から経済まで影響が大きいから。

この規模を知ってこそ、今回の事件の反乱の規模を知ることができるが、［HYBE］が持っている［ADOR］持分80%の予想金額を普通４千億ウォン程度、そしてミン·ヒジン代表が保有している［ADOR］持分20%価値は１千億ウォン水準と評価している根拠だから。

しかし呆れることに、これを詳しく知るほど、今回の事件の理解が難しくなる(笑)

５千億ウォンの会社が12兆ウォンの親会社に反乱を起こしたって？
12兆ウォンの会社が子会社が気に入らないと監査内容を公開して、１兆ウォン以上損することをしている？ 静かに処理すればいいのに？

ミン·ヒジン代表とNewJeansを知っていますか？

2022年にデビューした［ADOR］のNewJeans（ニュージーンズ）は現在、IVE（アイブ）、LE SSERAFIM（ルセラフィム）と共に、韓国第４世代ガールズグループの代表と呼ばれている。そしてこの３つのグループの中では一番ファン層が厚くて多様なことで有名だ。

NewJeansが最も幅広いファンの支持を受けている理由には、親会社［HYBE］の初ガールズグループというタイトルが大きな役割を果たした。

同じ［HYBE］所属の韓国No.1のBTSのファンクラブの愛情を受けて育つことができたから、もしかしたら当然の結果だろう。BTSの妹グループ？という感じというか？

アイドルファンなら、普通は自分が応援するアイドルグループの次に、そのアイドルグループが属するエンター会社を優先視する雰囲気を知っているはず。会社がうまくいってこそ、応援するグループもうまくいくから。

１年に数十のアイドルグループがデビューし、音もなく消える熾烈なアイドルの世界で、アイドルグループの “出生地” はそれだけ重要にならざるを得ないのだ。

NewJeansもやはり［HYBE］所属という後ろ盾のおかげなのか、それより前にはいつも “ミン·ヒジン流ガールズグループ” という修飾語がついていた。

“ミン·ヒジン流ガールズグループ” という名称がさらに優先されるほど、NewJeansの成功には［HYBE］以上の価値があるのがまさにミン·ヒジン代表だ。

韓国エンター社の皇帝［HYBE］とミン·ヒジンのタッグは、実は成功しないわけがないレベルだったので、NewJeansの成功に驚かないという意見もあるほど。

それなら、ミン·ヒジン代表がどんな人で、なぜ４大エンター会社の名前よりも優先されるのだろうか？

ミン·ヒジン代表は、SMエンターテインメントでクリエイティブディレクターとして活躍し、SMアイドルグループのビジュアルディレクティング、コンセプトを担当した人物だ。職責が独特だよね？ クリエイティブディレクター。

既存の韓国の３大エンターの社名だけ見ても、私たちは韓国アイドルグループの歴史を知ることができる。イ·スマンのSM（スマン）、パク·ジニョンのJYP（ジニョンパク）、ヤン·ヒョンソクのYG（ヤン君-ニックネーム）。

作曲やダンスに一見識のある総括プロデューサー（会社代表）がすべてを几帳面に指揮し、音楽や振り付けに重点を置くために、長期間の合宿訓練も厭わない製作方式だった。そうして誕生した歌唱力と刀群舞(ぴったり揃った踊り)は韓国アイドルの象徴となる。

ミン·ヒジン代表はこうして作られたアイドルグループに “ビジュアル(視覚)” と “コンセプト(テーマ)” という概念を積極的に適用させた人物だ。ヘア、衣装、ファッションからアルバムジャケットや写真、ミュージックビデオまで、文字通り “目に見えるすべて” を一つのテーマに統一させたと思えばいい。

BTSのお父さんはなぜNewJeansのお母さんを迎え入れたのだろうか？

アイドル音楽に聴覚、視覚の他に味を追加したRed Velvetの＜Red Flavor(빨간 맛)＞(2017)コンセプトに続き、2013年f(x)のセカンドアルバム＜Pink Tape＞は夢幻的で独特なコンセプトで、ミン·ヒジン代表の力作として挙げられるほどだった。

美術学部視覚デザイン学科出身の彼女は、2002年SMエンター公開採用平社員として入社し、少女時代、SHINee、f(x)、Red Velvet、EXOなどSM所属アイドルのコンセプトを主導し、入社15年目の2017年にはSMエンターの登記取締役になるほど立志伝的な人物だ。

そのような人が一つのレーベルの代表にまでなったのだから、エンター業界の平社員たちには伝説だ。視覚だけを担当していたビジュアルディレクターからコンセプトディレクター、続いてクリエイティブディレクターという名称自体が、ミン·ヒジン代表のおかげで作られたと言っても過言ではないほどだ。

ミン·ヒジン代表が担当したアイドルたちの新鮮でクリエイティブなコンセプトは、K-POP業界の流れを変えたため、韓国のエンター業界の注目を集めてきた革新的な人物だった。

2018年下半期、月にミュージックビデオを５本ずつ撮影しながら、忙しく大変だったミン·ヒジン（当時［SM］所属）は、一種の燃え尽き症候群によって、［SM］のイ·スマン代表を訪ねて苦情を打ち明けたが、２人とも号泣したという。

イ·スマン代表はミン･ヒジン代表にSMエンターの代表職を提案し逃したくはなかったが、拒否されSMエンターを退社した。そのニュースは2019年１月、韓国のすべてのエンター会社の熱い話題だった。

この時、ミン·ヒジン代表のスカウトを始めたのが［HYBE］のパン·シヒョク代表だ。 退社３日後に会おうという提案が来て、ミン·ヒジン代表も驚いたそうだ。［SM］の職員さえ、彼女の退社の知らせを知らずにいた時期だったから。

［HYBE］では彼女に破格的な提案をしたと知られ、ミン·ヒジン代表の自律権が保障された独立的なレーベル［ADOR］はそのように誕生したのだ。

パン·シヒョク代表はミン·ヒジン代表を迎え入れるために誰よりも素早く動き、どんな会社よりも破格的な条件を提示し、彼女の心を動かすために自分自身を “성덕（成功したオタク）” という表現まで使った。（성덕（成功したオタク）：韓国の新造語で、成功＋オタク、熱狂的なファンのことを言う）

エンター業界のトップなら誰もが欲しがっていたスター、ミン·ヒジン代表の迎え入れを成功させたことで、夢をかなえた熱烈なファン（バン·シヒョク代表）になったという意味で、究極の尊敬の表現だ。

それほどパン·シヒョク代表はミン·ヒジン代表の迎え入れに精魂を込めていたから、ミン·ヒジン代表に対する契約条件がどうだったかは想像できるよね？

それでは、すでに多くのことを成し遂げたBTSのお父さんのパン·シヒョク代表は、なぜそこまでミン·ヒジン代表を迎え入れようとしたのだろうか？という質問をしなければならない。

それは、“足りないパズル” そして “叶えられなかった恨”

消された［BIG HIT］の歴史、新しい［HYBE］の歴史

BTSの大成功を収めた［HYBE］には、強制的に消された黒歴史がある。全ての歴史から消されたパン·シヒョク流のガールズグループ第１号 “GLAM（グラム）”。

［BIG HIT］と［Source Music］の合作で、３年間準備をして2012年にデビューしたガールズヒップホップグループだった。パン·シヒョク代表が音楽人生14年ぶりに、初めてプロデュースしたガールズグループで、存在すら知られないほど大失敗したグループだ。

BTSが成功する以前なので、パン·シヒョク代表を本当に破産直前まで追いやったグループで、３年で解散したが、このグループは突拍子もなくニュース社会面によく出て有名になった。

その事件がまさに有名な “俳優イ·ビョンホン脅迫事件” だ。俳優のイ·ビョンホンと不倫関係だったGLAMメンバーのダヒが、50億ウォンを要求して脅迫したが拘束エンディング(笑)

その後、BTSにだけ集中し、女性ガールズグループは着手すら出来なかったパン·シヒョク代表にとって、GLAMは未練であり、傷であり、恨みとして残っているのだ。

特にBTSの大成功で、［BIG HIT］は2020年を目途に株式上場を準備していたので、総合エンター会社の名声を維持するためには、ボーイズグループだけでは弱く、ガールズグループは必ず成し遂げなければならない目標だったので、急ぐしかなかった。

その時点でガールズグループのディレクティングの革新をもたらしたミン·ヒジン代表が自由人になったとすれば、バカでない限り無条件にオールインしなければならなかったのだ。

パン·シヒョク代表と［HYBE］の最後のパズルを埋めてくれる人、ミン·ヒジン代表はそうやって［HYBE］に迎え入れられた。

韓国最高の資本力の会社で、“ミン·ヒジン流ガールズグループ” を全面的に支援してくれるとしたら、ミン·ヒジン代表の立場でも絶対損する選択ではなかったと思う。自分が独立して会社を作るには資本も足りないし、危険要素も多いから。

そんな彼女が［HYBE］入社後、一番最初に引き受けた仕事は、まさに色んな報道で叫ばれている［HYBE］という名前だ。株式上場を準備し、既存の［BIG HIT］から脱した総合エンターテインメント企業に転換するため、全面的なブランディングを実施した。

BTSの象徴ともされる［BIG HIT］という名前の代わりに、すべてを含む親会社レーベル［HYBE］を通じて、本格的なマルチレーベルに挑戦するという意味が込められた非常に重要な作業を、ミン·ヒジン代表に任せたのだ。そして、［HYBE］新社屋のインテリアまで総括した。

［HYBE］の名前からロゴ、社屋のインテリアから建物の構造配置と家具のピックアップはもちろん、職員の名刺から事務用備品まですべてを統合する［HYBE］の企業CI(Corporate Identity)まで、全てがミン·ヒジン代表の任務だった。

［HYBE］の企業CIは2021年世界３大デザイン授賞式であるレッドドットアワードで本賞を受賞したこともあるから、能力者は能力者なのだ(笑)

［HYBE］は成功的なブランディングを終え、本格的にマルチレーベル体制を準備し、ミン·ヒジン代表は新しく設立された［ADOR］レーベルの首長を務めた。

彼女の任務は当然［HYBE］第１号ガールズグループのローンチングだった。

では、ミン·ヒジン代表の目標のように、NewJeansは［HYBE］の第１号ガールズグループになれたのだろうか？

今までの記事の流れとは違って、［HYBE］の本当の第１号ガールズグループは［Source Music］のLE SSERAFIM（ルセラフィム）だった。

いや、なんで～？第１号ガールズグループのためにミン·ヒジン代表を迎え入れたんでしょ？ また理解できない状況になったが、まさにこの部分が今回の事件の根本の原因なのだ(笑)

NewJeansが第１号ガールズグループだったが、［HYBE］が約束を破り、助けてくれなかったという［ADOR］の主張と、NewJeansも最善を尽くして支援したという［HYBE］の主張。この争いはもう３年前から始まっている。

記者会見でミン·ヒジン代表が裏切りを叫んで鬱憤を吐いた理由が「［HYBE］が騙した！」なのだ。