久しぶりにカムバック記事~!韓国の芸能界にビッグニュースが舞い込んできた!実は忙しすぎてもうちょっと休みたかったんだけど、これはぜひ皆が気になるだろうなと思って解説記事を準備したよ~!
韓国ではもちろん、日本でも報道されているけど、どういう状況なのかよく分からない…。韓国人はすごい話題だって言ってるけど実感ないなぁ…
[HYBE]の事件は今後も報道が殺到する状況だから、今回の記事はシリーズ準備する計画だよ。 韓国アイドルグループの文化と歴史、問題点とこれからの話まで、全部盛り込まれた事件なので、記事の更新ペースが少し遅いかもしれないけど、段階別についてきてくれたら、記事の内容の深さと品質だけは[ium]で保障します!(笑) 早速出発~!
[HYBE(ハイブ)]事件の基礎整理
誰が誰と争っているの?
今回の事件は2024年4月22日月曜日、韓国最高のアイドルのBTS(防弾少年団)の所属事務所として有名な[HYBE(ハイブ)]が、親会社である[HYBE]のマルチレーベル(子会社)の1つである[ADOR(アドア)]のミン·ヒジン代表を含む経営陣に対する内部監査を始めたことで起こった。
ここで登場した “マルチレーベル(Multi label)” は企業でよく使われる用語で、歌謡界では一つの大きなエンター会社(親会社)の下にあるが、所属アーティストをそれぞれ担当する別途の子会社に分けて管理するシステムをいう。
親会社と子会社という単語のように、持分構造で構成されている大企業グループの系列会社の概念で、普通は子会社を作るための資金の大部分を親会社が投資して作る場合が多い。
英単語のラベル(label、商標、彫刻)から由来した言葉だけど、ラベルではなくレーベルと発音している。マルチレーベルは今後のシリーズ記事でもっと詳しく説明するよ!
BTSの所属事務所は、バン·シヒョク代表が立ち上げた[BIG HIT(ビッグヒット)]だが、BTSが大成功してお金をたくさん稼いだでしょ?(笑) [BIG HIT]はそのお金で韓国の色んな中小エンター会社を買収したり、新しく作ったりしたんだけど、新しく設立された会社の1つがまさにADORなのだ。
既存の[BIG HIT]を含め、新しく追加された子会社を全て統合して管理する親会社を作ったのが[HYBE]。そのため、ある瞬間からBTSの所属事務所が[BIG HIT]と出たり、[HYBE]で出たりするんだ。
[HYBE]という大グループ(親会社)に属しているが、各レーベル(子会社)にあるアイドルグループの個性を活かして専門化するためにマルチレーベル制度を導入したのだ。
BTS、TOMORROW X TOGETHERの[BIG HIT]、LE SSERAFIMの[SOURCE MUSIC]、NewJeansの[ADOR]、SEVENTEEN、fromis_9の[PLEDIS]、ENHYPENの[BELIFT LAB]など、全て[HYBE]の傘下にある個別レーベルだよ。
なんで争っているの?
上の初期持分構造だけを見ても、それぞれのレーベル(子会社)は[HYBE]が投資した系列会社の概念なので、“親会社が子会社の経営陣を監査する?”
これは規模の大きい企業、株式市場に公開された上場会社なら非常に自然で日常的なことだよね。でも、このニュースが韓国人にとって大きな話題だったのは、[HYBE]で発表した内部監査の理由のためだ。
ミン·ヒジン代表をはじめ[ADOR]の経営陣が、[HYBE]から[ADOR]を独立させ、経営権を奪取しようとする情況が明らかになったと主張したのだ。
“ 経営権奪取の試み ”
一言で表現すると、“反乱” で “クーデター” (笑)
なぜ面白いのか?
韓国の観客数1000万人の映画の記事(リンク)で説明したが、韓国ではそれが良い歴史であれ悪い歴史であれ、隠したり忘れないために歴史関連のドラマや映画がよく制作されていて、それらの作品の人気が高い。
そして映画『南山の部長たち』の記事(リンク)を読んでくれたiumブログの模範生たちは、韓国の現代史でクーデターが何度もあって、韓国人は民主主義に対して非常に敏感なことも知っているはずだ。
特に、反乱やクーデターという単語に。
しかも、よりによって、最近の韓国の観客数1000万人突破の映画が、1979年の全斗煥(チョン·ドゥファン)大統領のクーデターを扱った映画『ソウルの春』だ。 まだ映画の名セリフを真似る人が多いくらい。
실패하면 반역! 성공하면 혁명 아닙니까!
映画『ソウルの春』(2023)の名セリフ
失敗すれば反逆! 成功すれば革命じゃないですか!
今年上半期最高の流行語!(笑)
このように、韓国人の立場では “反乱” という単語を聞いただけで耳が反応するが、戦いの主体がBTSの[HYBE]とNewJeansの[ADOR]だと?
韓流の象徴のような男性アイドルグループと最近韓国で一番ホットな女性アイドルグループの所属事務所の対決というだけで、とても興味津々で興奮する見物なのだ(笑)
でも、ちょっと待って?[HYBE]と[ADOR]、他会社同士で喧嘩するのはよく見るけど、同じ[HYBE]なのにどうして喧嘩するんだ? どういう状況だろう?
親会社が子会社にパワハラするのはよく見るが、むしろ子会社が親会社を狙っているって? いくら最近NewJeansが売れてるっていっても、そんなこと出来るの?
第3者の立場では、何かつじつまが合わず、珍しい状況。だからもっと面白いのだ。
韓国の新造語で “ポップコーン角(팝콘각)” というのがあるけど、隣で見物するには面白い状況なんだ!(笑)
誰が悪いの?
[ADOR]に対する監査の開始を知らせる最初の報道以後、詳細ニュースが続いたが、[HYBE]側が発表した内容は以下の通り。
ミン·ヒジン代表を含む[ADOR]の経営陣が、各種契約書など対外秘である内部資料を流出し、[HYBE]が保有している[ADOR]の持分(株式)を売るように誘導する計画を立てている情況を内部告発者の情報提供で捉えた。
これはいわゆる “脱[HYBE]” 及び[ADOR]に対する経営権奪取のためと判断し、監査を開始し[ADOR]のミン·ヒジン代表の解任を要求。
最初はいくらなんでも、まだ2年目の系列会社の[ADOR]が、20年目の本社[HYBE]を乗っ取ることが出来るの?という反応が大多数だったが、発表のように[HYBE]を乗っ取るではなく[ADOR]が持分を売るようにして独立するということは可能かも?という反応も出始めた。
映画のセリフみたいに、失敗したら反逆、成功すれば革命なのに、クーデター実行前にバレちゃったね~という反応(笑)
しかし、子会社[ADOR]の持分は大株主である[HYBE]が80%、[ADOR]のミン·ヒジン代表は20%に過ぎなかったため、[ADOR]を乗っ取るというミン·ヒジン代表のクーデターの試みはあまりにも荒唐無稽ではないか? 欲深すぎるという意見が相変わらずだったせいか、[HYBE]側ではもう少し詳細で具体的な根拠を提示し始めた。
[ADOR]経営陣は今年初めから[HYBE]から経営権を奪取するための計画を立て、その計画は親会社である[HYBE]が[ADOR]に不当な要求をするという点を口実に世論を悪化させ[HYBE]が保有した[ADOR]持分80%を現在[ADOR]の経営陣に友好的な投資家に売却させるということだ。
これを実行するために[ADOR]の経営陣は証券会社アナリストと海外投資諮問会社、私募ファンド(PEF)、ベンチャーキャピタル(VC)関係者などに売却構造を検討されたりもしたと主張。
こうなると、「ミン·ヒジン、本当にやばい人だ!」という状況だ。自分の都合に合うように新しい投資家を集めようとしたということだから。
[HYBE]側が証拠として提示した上のミン·ヒジン代表のカカオトーク対話内容(左ミン·ヒジン代表、右[ADOR]関係者)を見ると、
2025年1月にミン·ヒジン代表の[ADOR]持分を全て一度に現金化(CASHOUT)すれば、[ADOR]は現金不足により資本蚕食状態になるが、この状況で[HYBE]に権利侵害訴訟を進め、[HYBE]の持分をミン·ヒジン代表側の投資家が買うよう誘導するという内容を説明している。
すると、画面左側のミン·ヒジン代表が「대박(すごい・やばい)」と答えているので、明らかな事前謀議の証拠だということだ。
また、もともと[HYBE]で勤めていた現在[ADOR]のシン·ドンフン副代表が[ADOR]に転職した当時、大量の[HYBE]内部の重要ファイルをダウンロードした情況もあるので、すべてが事前に計画されたという疑いだ。
[ADOR]のシン·ドンフン副代表は元々[HYBE]の財務と経営、投資管理と広報、株式や持分問題、買収合併など、一言でお金と関連したすべての核心業務であるIR(Investor Relations)担当者だったので、怪しまれて当然なのだ。
ミン・ヒジン代表は実際に会社の独立に関する会話をしていて、「대박(すごい・やばい)」という表現は “同意と同調の意味” だというのが核心ポイント!(笑)
明らかになった根拠は証拠になるのか?
こうなると[ADOR]やミン·ヒジン代表は[HYBE]から抜け出したい気持ちは実際にあったようだが、ミン·ヒジン代表の「대박(すごい・やばい)」という表現だけで、本当にクーデターを企てたと言えるだろうか?
職員間の私的なカカオトークの対話はミン·ヒジン代表の解任を要求するだけの証拠になりうるだろうか?
[HYBE]の監査チームは[ADOR]職員たちの電算資産(コンピュータ、ノートパソコン、携帯電話、Eメールなど)を確保した後、フォレンジック(犯罪捜査における分析や鑑識)を行ったが、追加で計3件の文書を確保したと明らかにした。
その中で、最も決定的証拠に見えても、最も中途半端な証拠に見える文書の内容は以下の通りだ。
ミン·ヒジン代表の最側近であるA氏が3月に作成した文書には、アジェンダ(Agenda)というタイトルの下で「契約書変更合意」、「外部投資家誘致1案·2案整理」等の内容が含まれていたが、そのうち5番「目的」項目の内容が核心だった。
A.究極的には[HYBE]を抜ける
B.[HYBE]の中で手を出せないようにする (全体的な自律権)
この程度なら[ADOR]は[HYBE]から抜け出したい気持ちだけは本気みたい(笑)
また、[HYBE]が保有している[ADOR]の持分80%を売却するようにする2つの方案の長所と短所を比較したシナリオ文書もあったが、[HYBE]が保有している持分を、グローバル国富ファンド2ヶ所が買収する方案がシナリオに含まれていた。
英語の略字で表示された2つの国富ファンドを[HYBE]の監査チームはシンガポール投資庁とサウジ国富ファンドといい、特にこの検討案には現職エンター担当アナリストA氏の実名も記載されているほど非常に具体的で実体的だと発表した。
後でまた説明するが、[ADOR]を買収するためには、最小数千億ウォンから兆単位の金額まで話が出てくるほどだったので、そもそも[ADOR]の販売は不可能だと見る人が多かったのだ。
数千億ウォンと予想される[HYBE]の持分金額を誰が買えるか~!ありえない~!と言っていたが、買収者がシンガポール投資庁やサウジ国富ファンドならありえるというストーリーに変身~!(笑)
この他にも[ADOR]は[HYBE]に圧をかけるために[HYBE]の他のアーティストに対する否定的な世論形成を行い、Newjeansのメンバーの両親たちへの懐柔も秘密裏に進めたという疑惑もあった。
①持分構造が8:2の状況なので、[HYBE]に対して悪噂と悪い世論を作り
②[HYBE]が自ら[ADOR]の持分を放棄させ
③その放棄した持分を買うにはものすごい金額が必要なので、グローバル国富ファンドの投資を受ければ
④Newjeansは[HYBE]と関係のない新しい会社と再契約をしなければならないので、両親たちにあらかじめ会って懐柔作業もしておいた
ここまでまとめると、荒唐無稽に見えた “反乱の夢” ではなく、“本当に真剣に準備していたのかな?” という気がするのは事実だ。
でも問題は、この全ては監査を進めた[HYBE]側の発表資料だということだ。ミン·ヒジン代表と職員のカカオトーク対話と各種文書が根拠だから。
各種文書というと大げさに聞こえるけど、実は正式な文書ではなく、職員たちのパソコンと携帯電話のメモ帳に作成したメモ形式の資料というのも面白い部分(笑)
もう一度、上の文書画像を見ると、誰かとやりとりした公式文書ではなく、職員個人のメモ帳ファイルだったということが知らされ、これが法的な効力を持つほどの証拠になるのか?という論難が生じたのだ。
また、カカオトークの会話は証拠として使用できるのか? そして「대박(すごい・やばい)」という単語だけで代表の解任が可能なのか?まで、各種の意見が飛び交った。
ここまでの発表内容の流れだけを見れば、かなり具体的で実体的な計画もあったように見えるが、逆に考えてみれば数千億ウォン価値の会社の代表を解任するための証拠としては、かなり不足しているように見える。
“最も決定的な証拠に見えても、最も中途半端な証拠” と言う理由だ。
何かすごくもっともらしいけど、考えを変えてみると反乱の試み自体から、あまりにも無謀でおかしいって(笑)
ミン·ヒジン代表を正式に告発した[HYBE]側のマスコミプレーが続くと、沈黙していた[ADOR]側も反論意見を発表した。
最近の[ADOR]では、同じ[HYBE]レーベルに属する[BELIFT LAB(ビリーフラボ)]の新人ガールズグループ ILLIT(アイリット)、自社のアーティストである NewJeans をコピーしたことに対する抗議の書簡を本社に送っただけなのに、突然、報復として解任を通知してきたという主張。
[HYBE]本社に抗議メールを送ったが、返事の代わりに監査チームが来たということだ。
[ADOR]の反乱・クーデター事件だったのに 急に ILLIT(アイリット)? Newjeansのコピー?仕返し? ここから、この事件の本当の原因を探る時期なのだ。
突然の監査と代表の解任要求も、荒唐無稽に見える経営権簒奪の試みも、突拍子もないのILLIT(アイリット)の登場理由まで、この事件の本編はこれからが本番だよ(笑) [ADOR]の反撃は次の記事で解説するね~!