最近のドラマ『イルタ・スキャンダル』や『SKYキャッスル』、『未成年裁判』まで試験用紙流出シーンがよく出てくるのは、みんな同じ実話事件をモチーフにしているからだよ 2018年に摘発され非常に有名になった “双子姉妹試験紙流出事件” について調べてみよう!
ドラマ『未成年裁判』5~6話の内容がこの事件を素材にしているよ!記事1を先に読んでくると理解しやすいよ~。
どうしていつも教務部長なんだろう?
教務部長の業務
ドラマ『イルタ・スキャンダル』では2度の試験用紙流出事件が登場するが、共通点は過去と現在の事件ともに “教務部長” の教師が試験用紙を流出した。
そしてドラマ『SKYキャッスル』では、カン·イェソの入試コーディネーターのキム·ジュヨンが、教師たちに圧力をかけて試験紙を獲得すると出てくるが、この時の試験紙流出が可能な教師もまた “教務部長” しかいない。
どうしていつも教務部長なのかまず調べよう!(笑)
教務部長または教務主任と呼ばれるこの職責は、学校で教務を総括する責任を負う教師のことで、主に学校長が経歴や能力が優れた教師に任せる。
普通、年齢や経歴順に指定するため、校長と教頭の次の学内序列3位~4位に位置する教師として、一般教師の中では最もパワーがあると考えれば良い。
校長、教頭は名誉職の役割をすることが多いので、実務に対する実質的な最終責任者だと考えればいい。
法律的には平教師で仕事量が多いが、教頭と校長に昇進するためには必ず必要なコース。
学籍、授業過程、成績管理、学生簿とナイス記録管理などの総責任者なので、仕事量が多いという。
“業務量が多い”、重要業務の “総括責任者” という短所から生じる長所が1つあるが、それがまさに試験用紙の最終権限も教務部長にあるということだ。
そのため、いくらセキュリティを徹底しても、結局教務部長の手を経なければならず、平教師たちは教務部長の指示に従うしかないため、大部分の試験紙流出事件は教務部長が関連している。
共犯か主犯かの違いがあるだけだ。
平教師の場合は担当科目程度だけ流出できるとすれば、教務部長の場合は全科目流出が可能だよ(笑)
韓国で最も有名な試験用紙流出事件
双子姉妹試験紙流出事件
韓国で最も有名な試験紙流出事件であり、すべてのドラマのモチーフとなったこの事件は、”双子姉妹試験紙流出事件(쌍둥이 자매 시험지 유출 사건)”と呼ばれている。
2018年7月、ソウル淑明女子高等学校の2年生1学期の期末テストで、当時2年生の在学生だった双子姉妹がそれぞれ文系、理科の内申成績全校1位を修めたが、全国模擬試験の成績は中上位圏だった姉妹が内申成績1位になり、全校生が見守る中で成績優秀賞状をもらってから始まった。
前の記事(リンク:韓国の大学入試制度①)を読んだ方たちは、内申成績1位も重要だが、学生簿に “優秀賞状” をもらったという記録がなぜもっと必要なのか分かるだろう。 [ ium ] 優等生たち~(笑)
これどこかで見た気がするんだけど…『イルタ・スキャンダル』で、チェ·チヨルの個人課外授業を受けたナム・ヘイが全校1位で賞状をもらったじゃん(笑)
うん、あの時のパン·スアの表情覚えてる? 大騒ぎだよね? 淑明女子高校でも大騒ぎだよ(笑)
実際の事件とドラマの違い
怒った保護者たちがすぐにソウル市教育庁に試験用紙流出疑惑に対する苦情を投げ込んだ。
『イルタ・スキャンダル』のパン・スア母とオールケア班のおばさんたちは口先だけで怒っていたが、実際の状況ではすぐに法的措置に入ったのだ。ドラマより現実の方が殺伐としている。
淑明女子高校側は「絶対に試験用紙を流出したことはない」と釈明したが騒ぎは収まらず、保護者の調査要求が殺到すると、結局ソウル市教育庁で監査を進めた。
監査の結果 “情況はあるが物的証拠はない” という結論だったが、保護者たちのデモがさらに激しくなるとソウル市教育庁は結局警察庁に捜査を依頼。
生徒たちと保護者、教育庁の監査でも “疑う” 理由は、双子姉妹の父親が淑明女子高校の教務部長だったからだよ(笑)
では、私たちはまた最初に戻らなければならない。
この事件はソウルの淑明女子高校の期末試験で、試験用紙の検討および決裁権限を持つ教務部長の娘で在学生だった双子姉妹がそれぞれ内申成績全校1位を占めた事件に変わるのだ。
疑うことは十分理解できるが、保護者たちがデモまでする?という気がするかもしれない。
もう一度前の文章を見てみよう。 “ソウルの”
正確にはソウル特別市江南区道谷洞に位置する淑明女子高校だ。江南8学区。
そしてこのブログ[ ium ]の優等生たちが頭脳をフル稼働したら…!
そう! “道谷洞(ドコクドン)” は江南の記事(リンク:韓国のアパート③外国人は知らない江南の秘密)に出てきたタワーパレス!そのタワーパレスが学校のすぐ前にある。
韓国最高価格のアパートの象徴と呼ばれるタワーパレスがある江南の新興富裕層であり、ドラマ『ペントハウス』のモチーフ!まさにその町だ。
ところで高校図書館の建物の見た目が尋常じゃないよね?
淑明女子高校は1906年、高宗皇帝の側室である純獻皇貴妃オム氏が設立したミョンシン女子学校が前身だ。高宗皇帝まで登場した(笑) これくらいなら何かもっとありそう…
江南1の記事(リンク:韓国で1番地価が高い土地 ソウル・江南(カンナム)の始まり)の内容の中にこのような文章がある。
“韓国最高の名門だった京畿高校を皮切りにソウル高校、フィムン高校、淑明女子高校など計15校が江南区と瑞草区地域に移転”。
ただ江南8学区にある学校ではなく、江南8学区の伝説を作った核心の学校(笑)
その中でも “私立学校” なので入学から熾烈な本当の江南8学区中の8学区学校なのだ。江南の本当に金持ちの子どもたちが通う名門私立高校。
これだけで淑明女子高校の生徒たちの基本成績、保護者たちの社会的位置と財力がどんな状況なのか十分予想されると思う。
韓国で最も成績競争が激しい学校の1つで発生した試験不正事件だったから、生徒たちも、保護者たちも大騒ぎだったのだ。
現実版『SKYキャッスル』 事件の発生~。もちろんこの事件が元祖だけど(笑)
双子の姉妹を疑った理由
この程度の名門学校は生徒個人だけでなく保護者と教師たち、周辺の入試関係者たちもまた他の生徒たちの現況を注意深く見守っている。
内申書9等級で勉強を完全にあきらめた学生でない以上、ここの学生たちはほとんど同じ時間と費用を内申書に投資しているため、特異な場合を除いては中学校、高校入学当時の成績がほとんどそのまま維持されると見なければならない。
特に最上位圏の学生同士はどうせSKY(ソウル大・延世大・高麗大)、または医大進学を狙っているので『イルタ・スキャンダル』の “オールケア” クラスのように、似たような塾に通ったり、各種競技大会で出会うことが多い。
だから他の学校の学生でも、お互いの主要科目の成績やスペックをすでに知っている場合がほとんどだ。
でも双子の姉妹の場合、他の生徒の質問や授業中の教師の質問にきちんと答えられなかったケースもしばしばあったそうだ。
模擬試験は点数が低いのに内申成績は全校1位? パパは教務部長?ここまでくると怪しいよ(笑)
双子姉妹2人とも1年生1学期の中間テストでは全校生約460人のうち全校300位程度から出発したが、期末テストでは全校59位と121位、1年生2学期では全校2位と5位、2年生1学期両方とも全校1位(文科、理科)で本当にファンタスティックに急上昇した。
しかし淑明女子高校は英語科目で例えれば、全国模擬試験基準全校で1等級が100人以上出る学校だ。
満点ではなく、1問間違えたら全国レベルでは依然として1等級だが、学校内部では4等級に落ちるほど最上位圏が集中している状況だ。
こんな学校での成績急上昇だったので、教務部長の父親と連結するしかなかったのだ。
江南8学区で300位から1位はやりすぎじゃない? (笑)
どうやって摘発したんだろう?
捜査結果
警察の捜査結果、周りが疑っていたように1年生の1学期末の試験から試験用紙が流出した。
さまざまな証拠物が発見されたが、まずあらかじめ答えを覚えるために使用したと見られる正解が書かれている暗記帳が発見され、小さなポストイットメモ用紙に書かれた正解は、試験中にカンニングペーパー用に使用したと見られる大きさだった。
そして双子姉妹の試験用紙の前面には共通してぼやけて小さな文字で客観式と主観式正解を書いておいた部分が発見。試験用紙を受け取ってすぐに覚えていた正解をあらかじめ書いておいたものと疑われる状況。
そして双子姉妹の携帯電話には英語の主観式問題の解答が保存されていたが、携帯電話のフォレンジック解析結果、試験前に保存されていたことが明らかになった。
しかし、父の教務部長を含め、双子の姉妹2人ともが容疑を強く否定した。
試験用紙や暗記帳に書かれた正解は、試験問題を解いて時間が残って書いておいた、試験後の解答採点用に書いておいたものだと主張した。
試験前に保存された英語の答案の場合は、偶然保存した文章だという言い訳。
あまりにも強く否認していたので、これらの証拠だけでは不十分だった状況だった。
化学教師の餌食
困った捜査を終結させた決定的な証拠は、2年生1学期の化学試験叙述形問題から出たが、
(A)と(B)に含まれる水素原子数の割合を求める問題で、この問題の最初の正解は “10:11” だった。
淑明女子高校の在学生の大部分が “15:11” と解答してメンタル崩壊に陥っていたが、“10:11” は教師が誤って提出した解答だった。
担当教師が最初に提出した解答が間違いだったのだ。
でも双子の妹が書いた答えは最初の答案用紙にあった “10:11″。(姉は文系なので化学科目は除く)
全校生徒の中で “10:11” と書いた生徒はたった1人、双子の妹。最初の解答は全校で唯一正解を当てた学生だった。
この問題は難しい問題でもなく、非常に基礎的な問題だったにもかかわらず、全校1位だった双子の妹だけが誤答。
それも問題から全く出てこない数字の割合なので、最初の解答だけを覚えたということが確実になった。
日本語と科学試験の主観式答案でも、双子姉妹は解答に書かれた文章を100%そのまま使う特異さを見せてくれた。
これが話題になった理由は、決定的証拠をつかんだこの問題の正解を化学教師がわざと間違って提出したことが分かったからだ。
私立学校だったのでほとんどの教師は教務部長の顔色を伺わざるを得なかったが、当時期間制教師として臨時採用中だった化学教師が餌を投げたという噂(笑)
さらに、試験用紙流出の他に双子姉妹は校内大会で計44個の賞を受賞したことが分かったが、もう一度言うが、このような受賞内訳は学生簿にとって非常に重要だ(笑)
裁判の結果
最後まで容疑を否認していた父親は2018年11月に拘束され、双子の姉妹たちは未成年であることを参酌して少年保護事件(少年犯)事件として処理しようとしたが、容疑を全面否認していたため一般成人刑事裁判に送致された。
裁判の結果、父親は懲役3年刑を宣告された後、現在満期出所した状態で、双子姉妹は1審懲役1年6ヶ月に執行猶予3年、2審懲役1年に執行猶予3年の宣告を受けた後控訴して現在最高裁判決を待っているところだ。
子どもたちではあるが執行猶予は本当に嫌だ…(一一”)
自主退学と退学の頭脳戦
学校側の「3審判決が出るまでは双子に対して懲戒できない」という立場を固守したため、保護者たちが再びデモをする事態が起きた。
当時双子姉妹は学校に自主退学届を提出したが、自主退学をすれば学生簿から不正関連記録が削除されるからだ。
学生簿に不法行為記録が残らないようにして、既存の記録だけで大学に進学しようとする小細工だった。
逆に他の生徒たちの場合には双子姉妹が退学処理されてこそ、全校1位の成績が無効になって自分たちの順位が上がるので退学を早くさせろというデモだった。
問題は随時願書受付期間直前までも学校で持ちこたえていたため、他の保護者たちが大騒ぎになった。 結局、自主退学ではなく退学処理で終了。
『イルタ・スキャンダル』15話で保護者たちがイ·ソンジェの退学を要求するデモをする理由がまさにこの部分だ。
すべての基準が大学入試が優先の両者の熾烈な頭脳戦だった(笑)
この事件が可能だった理由の1つは、淑明女子高校が私立学校だったので双子の父親は勤務地の変動なく約25年間勤続し校内で強大な権力を持っていたおり、かつ、実力者教務部長なので試験用紙流出の他にも遂行評価や校内受賞内訳などで他の教師たちに影響力行使が可能だったのだった。
親子が同じ学校に通ったこと自体が問題だったため、この事件以後、教育部は教師と子どもが同じ学校に通えないようにする “相避制度” 導入を決めた。
韓国の激しい教育熱の副作用と、内申に基づく随時制度の問題点もそのまま見せてくれた事件だ。
韓国の教育熱から学校の内申文化、大学入試制度の長所短所、江南の8学区と不動産文化まですべて盛り込まれていた事件だったので、多くの韓国人が覚えていて、多くのドラマの素材として登場している(笑)
おまけ★おすすめ映画
タイ映画『バッドジーニアス』(リンク:Amazon prime)
タイ映画に拒否感があるかもしれないが、全く~恐れる必要のない映画で軽く没頭して見ることができる。
アメリカ留学に必要な英語試験STIC試験の国別の時差を利用して成績を操作しようとするタイ人学生たちの奇抜なカンニング作戦の話で、内容も簡単で軽く、ハラハラ緊張感が維持される映画。
私たちがよく知らないタイの教育熱も間接体験できる。